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柱谷監督のチーム作りの特徴(2)
2008年05月14日 (水) | 編集 |
(1)より。
あの後すぐほぼ書いたのを、消しちゃって頭に来てうっちゃってましたが、ようやくやる気に。
その後の何試合かを見ても、特に論旨の変更の必要を感じないのがいいんだか悪いんだか。


特徴2:Aプラン主義

(1)で述べた”スペック主義””ベストメンバー主義”は、別な言い方をすると「決定版主義」みたいなことですが、これも基本的には同じことです。(1)のメンバー選択という側面に対し、こちらはよりチーム”編成”的な側面。
別のことではないんですが、予め2つに分けておくと分かり易いか。

1.スターティングと「交代」

柱谷監督に対する批判、不満として、一番多く聞かれるのが「選手交代が遅い・消極的」または「下手・勘所を抑えていない」ということだと思います。
僕自身は本来的にはこの能力はそんなにサッカーの監督の能力として重視してはいない、または”良い監督”の十分条件ではあっても必要条件ではないと思っているんですが、柱谷監督の場合はある意味資質に由来すると思うので、無視は出来ません。

これは単純に言ってしまうと非常に単純なことで、なぜ柱谷監督が選手交代についてハシっこい閃きを見せないかと言えば、それは興味が無いからだと思います(笑)。言い換えると、理想を言えば選手交代なんてしたくないからです。
最初に送り出す(”ベスト”の)「11人」の組み合わせこそが、柱谷監督の”チーム”であって、それを交代させるというのはそれ自体一種の敗北、せいぜいが次善や背に代わる腹でしかないのです。「偉大な11人」は最後までやるべきだし、やれるはずなのです。

・・・・現代サッカーの現実からすればかなりの極論なのは当たり前ですが、こういうチーム観というのは確かにあるんだと思います。ジーコなんかもそうでしたよね。あるいはレッズも去年、オジェックで酷い目にあいました。(笑)
理由は人それぞれであり得て、”男”柱谷監督の場合はさしずめ、「やりかけた仕事を他人に任せるなんて男らしくない」といったところでしょうか。必要性は必要性として、根底のチーム観としてこういうものがあって、ノリ気じゃないので腰が重くなるし頭も働かない。

そう言えばオリジナル・ヴェルディも、ろくな選手交代をしないチームでしたが。

2.単一のAプラン主義

より戦術的に言うと、スターティングの11人の理想的な機能性以外、”チーム”としての準備をしていないということでもあります。それは選手交代による変化の可能性という以前に、11人の相手や状況による動かし方という次元で。

これは即ち、僕がよく批判するシステムごとの、ある企画ごとの”チーム”の内容やディテールを細かく詰めない、追究しない、カスタマイズを丁寧にやらない、ちょっと結果が悪いと上手く行かないと、クオリティアップや調整の努力よりは新システムや新企画に乗り換えて”解決”しようとする傾向という話に繋がります。

修理を面倒臭がってすぐ新しいPCを欲しがるというか、それ以前に本当に故障してるのか確認してるかも怪しい、あるいはソフトの問題をハード(*)のせいにしてしまうというか。アップデートかダウンロードで十分じゃねえの?どうせ新しいPCも上手く使えないよ?そんなんじゃという。(笑)

まあいい悪いを言うのが目的じゃないので、嫌味はこれくらいにして(笑)本題に戻ると、要するに開幕なりシステム変更初戦なり、節目節目で柱谷監督が送り出して来る”チーム”は、ニュアンスとしては常に「決定版」であり、最初だから叩き台とか、そのシステムで考えられる可能態の一つであるとか、そういう柔軟なor日和った(笑)含みはないのです。いきなりピークなのです。それで駄目なら次なのです。
勿論それなりに”Aプラン”の個別の修正や一部人の入れ替えを全くしないというわけではないんですが、所詮それは消極的な作業で、それを根気良くやるよりは次の丸々作り直しの方に、柱谷監督の関心・情熱は向くのだと思います。

*メンバーは変わらないので、”ハード”より”OS”とかの方が、比喩として本当は的確かも。


2(補).’07シーズン”4−4−1−1フッキシステム”の意味

以上の認識を前提として、では僕を含めた多くのヴェルディ・ファンの、’08シーズンイン時の柱谷監督への評価と期待を支えていた、’07終盤の快進撃を担った”4−4−1−1フッキシステム”の見事さをどう考えたらいいでしょう。

まずあれはあれとして、一種の決定版、最初から完成された不動のAプランではあったと思います。
実際の経過を思い起こすと、当初大野だった左サイドハーフがすぐ飯尾に代えられ、それがハマったことによって大野がボランチに固定されて実現した機能性は、その後特に修正や調整の必要も無く(能力も試されず)、J2ではほぼ無敵のクオリティで最後まで、昇格までチームを導きました。

特徴的だと思われるのが、あれはかなり周到な準備の下に作成された”プラン”だということで、つまり3−5−2で安全第一に日々をやり過ごしつつ、依然消化不良のフッキの機能性と監督/コーチ共通の本意である4バック復帰も睨みながら、途中チラっと(トップ下だった)ディエゴのFW起用という布石的実験などを挟みつつ、満を持して世に問われたもの。
付け加えるとするならば、当時は”コーチ”というやや引いた、落ち着いて考え事の出来る地位でもありました。

ここから考えられるのは、柱谷監督は一回提示したプランの柔軟な/繊細な運用にはやや極端に難があるところはありますが、一方でその最初の”プラン”の作成については、少なくとも一定の時間的精神的余裕が与えられれば、それなりによく考えられた、行き届いたものを作り上げる能力はあるのかも知れないということです。不器用だけど誠実というか。(笑)

現象的には「ゆっくり考えればそれなりだが、動いている状況には対応できない」ということであり、「理想のイレブンは考えられるがチームを動的・多層的には考えられない、素人的なところがある」とも言える。
ただそういう僕らも、また他の日本人(プロ)監督でさえ、大概はそういう面を未だに持っているので、良くも悪くも平均的監督であり、右顧左眄して(松木のように)迷走しない分、少なくともそんなに”悪い”監督ではないとは言えるかも知れない。”足りない”ところははっきりしてますが。

だから後はその資質・能力が、状況や’08ヴェルディという環境と上手くマッチしてくれることを期待するのみというか。少なくとも出来ないこと/難しいことはしていない(潔過ぎるほど・笑)ので、”限界”が来ることはあってもズルズルはまったりはしないでしょう。
一番具体的にはやはり、状況打開の新企画のネタが尽きないかどうかですが。


ま、こんなところですかね、基本としては。この標題の範囲では。
今季柱谷監督について言ったことで、まだ説明していない事柄もあるんですが。
気が向いたらまた書きます。(笑)