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ペップと"常識"の狭間で ~16/17ペップ・シティの1年(2)ペップのチーム運営
2017年06月05日 (月) | 編集 |
"(1)ペップの選手起用"編に続いて。
水曜に代表戦があることに気が付いてなくて慌てたのと、UCL決勝のレアルに毒気を抜かれて呆け気味ではありましたが(笑)、まあ何とか。


ペップ・シティの1年

 リーグ戦 3位 (UCLストレートin)
 UCL ベスト16で敗退
 FA杯 準決勝で敗退


以上が16/17シーズンのペップ・シティの、主な結果ですが。
こうした成績を残したペップの1年目を、「失敗だ!(クビだ!)」と、強く言うシティ・ファンはそんなにいないと思いますが、一方で「成功だ!」言いたくないシティ・ファンも、これはこれでかなり大量にいると思います。(笑)

一言で言うと、非常に評する言葉に窮する、結果及び内容。
僕自身もシーズン中は、かなり寡黙(?)な感じで過ごしていました。物理的にそもそもブログで書くのは今回が初めてですけど、ツイッターでも何か言おうとしてやっぱりやめたということを繰り返していましたし、何か言う時でも言いたいことの平均して3,4割くらいしか、言わないような感じが常でした。

ヴェルディでも代表でも、普段の僕はその監督がどんな実績を持っていようとも、それを"無視"とまでは言いませんがほぼ完全に"括り出し"た形で、今目に見えているものだけを信じてあけすけに言う人ですし、またその判定の仕方もかなり"見切りの早い"傾向のある人だと思うので、そこからすると随分と慎み深くなったものだなという感じですが。(笑)
それは別にペップの名に恐れをなしていた(笑)わけではなくて、実際のところ成績自体が、いいとも悪いとも言いづらいものだったというのと、もう一つはペップのチーム作り・運営の一つ一ついち場面いち場面に、他の監督に対するのと同じ"基準"では測り切れないものを感じていたと、そういうことです。

ちなみにペップが一年目のプレミア&シティで華々しい/圧倒的な成功を収めるイメージは最初から持っていなかったんですけど、それでも何か"隠し玉"があるのではないかもっと"奥"があるのではないかという期待は途中までは持っていて、それははっきり言えば、裏切られましたね。・・・むしろ「選手起用」編で言ったように、独特な単純さ、場合によっては"浅さ"が、ペップの(天才の)大きな特徴であったわけで。チーム作りにおいても。
とにかくそういう意味での"幻想"は、持っていないかと言えば、持っていました(笑)。ある時期までは。


ペップと"常識"の狭間で

話戻してペップのその独特の"測り切れ"なさと、それに対してこちらがコメントに窮していたということについて、もう少し。

(1)ペップ「革命」とシティ(ファン)

最初にバルサで始めた時は、その圧倒的なクオリティと斬新な合理性で「革命」の光芒に彩られていたペップ流ティキ・タカでしたが、続くバイエルンでは威力こそ十分ながら早くも"マンネリ"感がクラブの内外で漂い始め、思いの外あっさりした政権の終わりをもたらした印象でした。
そしてその後三顧の礼(?)でもってシティに迎え入れられるわけですが、そうしつつも"マンネリ"感、「要するに"あれ"をやるんだろうな」という諦めに似た感情は就任前から多くの人に共有されていたように思って、僕もさほど大きな「夢」を抱いていたわけではないというのは上で書いた通り。

見えていたのはとりあえずの近未来、「マンチェスター・シティ」という素材、選手でもって"あれ"をやるとどうなるんだろうという、若干無責任に近い単純な好奇心と、それが一通り消化されるまでの「時間」のイメージと。
ただその後は・・・特に無いというか、その時点で"マンネリ"を気にさせないくらいの圧倒的な強さがあればいいなという祈るような気持ちと、言ったってなんか色々とあるんでしょ?ペップという、やがて裏切られることになる(笑)幻想的期待があったのみというか。
まあどんな監督でもそんなに遠い先の見込みや期待などは求められないものではあるんですが、ペップの場合は「スタイル」が明確(白)な分、「閉塞」感情に強めにはっきり目に直面させられる面はありますね。

実際始まってみると「好奇心」「消化プロセス」"脳を開く"効果はペップ自身の想定をも恐らく越えたものがあって、大した内容でも大したメンバーでも(笑)ない中で、あれよあれよキャッキャウフフと、開幕から公式戦10連勝なんぞを達成してしまいました。シティ自体に自惚れることはほぼ無かったですが、プレミアやっぱ大したことないかなと思うところは無くは無くて、ひょっとしてこのままイケるかもと、思った時期が僕にもありました(笑)。キャッキャ。ウフフ。

間も無くしかし予定通り予想通り、"先"の空白への予感通り、「閉塞」の時期が訪れます。・・・訪れますというか、ぶっちゃけ"ハネムーン"の後は最後までずーっと、基本的には"閉塞"だったと思います。


(2)"飽きない""めげない" ~ペップのチーム運営

ただペップは・・・それを気にしていたのか。勿論攻守に不満は多々あったでしょうし、全ての試合には勝てない中、増して最終的に一つもタイトルを取れない、CLでも前任者の結果を下回るという状況は、大いに不本意ではあったでしょう。またその過程で3バックにしてみたり4バックに戻してみたり、3センターにしてみたりドイボラにしてみたり、勿論選手もあれこれ取り替えたり、最後まで試行・苦労はしていました。
しかしそれらは言わば通常の、"つきもの"の苦しみであって、見てる側が時に感じていた「やり方」そのものへの疲労感や閉塞感とは、次元の違うものであったように見えます。それについてはペップは一度も/特に、疑問や不安を抱いている様子は見えず、全ては"枠"の「中」での揺れの範囲に収まっていた。この言ってみれば(バルサ、バイエルンに続く)"三番煎じ"の作業に、ペップは特段何も"飽き"は感じていないように見えました。

「信念は揺らいでいない」?うーんどっちかというと、"当たり前"の方の臭いが強いですね。「選手起用」についても見られた。これが当たり前だから、やるべきことだからやっている、それだけ。
"ブラボの擁護"などの時にはさすがに(笑)少し「感情的」な様子も見られますが、それ以外は何かあってもメディアとの単に売り言葉に買い言葉のレベルで、積極的な"固執"や"意地を張っている"ようなニュアンスはほとんど感じられない。フィールド上でも、それはそう。

そしてその、見ようによっては考え無しの(笑)無敵の平常心が、必ずしも上手く行かないことも多かった今季のチームの、折々の混乱や落ち込みを最低限にとどめ、また通常(の監督に対して)なら発せられていたはずの僕(ら?)のダメ出しの、口を封じていた。(笑)

実際ペップの一つ一つの施策に"納得"していたわけではあまりなくて、色々やっていたけどぶっちゃけどれも特には"ハマ"っていなかったように思うんですよね。・・・シルバとデブライネの二枚をインサイドに並べる形くらいかな?僕がクリアなものを感じたのは。例の開幕当初の連勝を支えた。ただその後ペップがその形に、特別な注意を払っていた気配は無い。
まあ個別のことを言っててもキリが無いのでやめますが、とにかくどれもさほど持続的には上手く行かないまま変化だけは止まらず続いて行って、こういうことを繰り返していると、普通チームはどこかの時点で"変化"そのものに倦んで来て崩壊に向かうわけですけど、そういうことがペップのチームでは起きそうで起きない。見てる方も、あんまり上手く行かないなとかまた変えたのかとか思いつつも(笑)、でも決定的に駄目になったりはしないのが分かっているので、段々いちいちコメントする気力が無くなって来る。(笑)

ここらへんででもほんとに凄いなと思ったのはペップのチームのリカバリー力で、"ハマ"らない落ち着かないペップ・シティは定期的に相手構わず酷い試合をやらかして、いよいよここから落ちて行くのかなと何度も思わされるんですが、でもその都度何やかやと持ち直す。特に何か劇的な改善がなされるわけではないんだけど、むしろ直前の失敗試合が無かったかのように(笑)、実にタフに厚顔に、原状復帰をして来るんですよね。
上がらない、でも下がらない。
今年シティがタイトルを取れなかった突き抜けた強さを手に入れられなかったのは、ペップのせいかも知れない。少なくともコンテがチェルシーを"ハメ"たようには、ペップはシティをハメられなかった。
しかしその一方で最終的にプレミア3位になれたこと、CLストレートインという重大なタスクを結局達成出来たことについては、ペップの功績は大きいと思います。ペップ以外であの持続力を、チームが発揮出来たとは思えない。種を蒔いたのもペップなのかも知れないけど(笑)、それでも"収穫"の手際には感銘を受けたというか。


ペップは要するに"何"をしているのか

どうもおよそ、「常に新奇なアイデアに満ちた天才戦術家」的なイメージとはかけ離れたペップの"顔"、あるいは"手腕"について、語ることになっていますが。
では「タフで粘り強いマネージャーであることがペップの監督としての本領である」ということが言いたいのかというと、さすがにそんなことはなく。(結果的にそうである可能性は無くはないと思いますが(笑))
基本的には「選手起用」のところで言ったように、気にしない/頓着しないというのが、ペップの"タフさ"の本質だと思うので。しようと思ってしているマネージメントでは、必ずしもない。
ただ「無私」の人とは喧嘩がしづらいし(選手起用)、監督が全然気にしてないようなのを選手が気にしてもしょうがないので(チーム運営)、結果的にほぼ常に選手やチームの動揺が、最低限で抑えられているということ。

勿論その裏打ちとしては、ペップのカリスマやペップが提示する戦術や理論の魅惑力というものが、あるのでしょう。仮にペップのサッカーを好きだとも強いとも勿論絶対だとも思わなくても、それでも"ペップの要求に応える"ことには妙な「名誉」感があって、だからアグエロなんかも今のところは、キレずに前向きに、課題に取り組めているのだろうと思います。

ただ・・・思うのは、この人「革命」家ではないよねということ。確かに"常識には囚われない"んだけど、一方で例えば"新しさ"自体に特に興味を持っているようには見えない。だからここまで、"変わらない"で"揺るがない"でいられる。
では何に興味があるのかというと、むしろ"万古不変の正しさ"の方でしょう。それがたまたま、状況との関係で、「革命」的に映ることがあるだけで。バルセロナでのあの作業も、見方によっては、バルセロナの伝統に対する「温故知新」的な性格を持つものだったと思いますし。

あえて言えば、「宗教家」的なパーソナリティではないかなと。それも扇動家ではなく、内省的なタイプの。風貌的にも、"修道士"っぽいですしね。(笑)
とにかくペップは、新しいスタイルを作り出そうとしているというよりは、「正解」を求めている、または既に自分が知っていると思っている「正解」を、「真理」を、黙々と実践している、そういう感じかと。

比べて言えばリヌス・ミケルスは、なるほど革命家であって、"状況"を変える為の新しい手段を、直線的に、常識に囚われずに求めた、それがあの結果。
一方でそれを引き継いだクライフは、それをある意味では相対化して、他との対比における選択肢の一つとして「スタイル」をロマン化して、"他ではなくこれ"を選ぶよう、愛するよう、人々に求めた。
そしてペップは、それらをどう消化したのか、「出来上がった真理」として、手段や選択肢ではなく、最初から唯一の奉じるべき対象として感得して、現世に(?)もたらした。

「科学者」(ミケルス)「詩人」(クライフ)「宗教家」(ペップ)?よくある対比かも知れませんが。
ちなみに"ペップの選手起用のドライさ"についても、あれも宗教者特有の「生きている人間」への無関心、あくまで"本質"を"実存"に優先させる態度(逆ではなく)の表れであると、そう描写することは可能かと。(まああんまり比喩ばっかり増やしてもしょうがないんですけど)

ペップもバルサの時と今と、全く同じ気持ちということはないでしょうけどね。やりながら色んなものがこそげ落ちて行ったということはあるでしょうし、あるいは折に触れて"キャリアの終わり"を口にするように、単に以前ほどの熱意が無いのかも知れない(笑)。更にもう一つ嫌なことを言うなら、バイエルンの時と比べても、シティの既存戦力にペップを刺激して新しいアイデアを生み出させるだけのインパクトが、無かったのかも知れない。
ここらへんの「現世的」なことは、新シーズンに向けての編成を見て行けば、おおかた見えて来る気はしますが。


(まとめ)

とにかく、恐らく誰の目にも否定し難く"マンネリ"の臭いの濃厚だった16/17シティのペップ・サッカーでしたが、その"マンネリ"さに少なくとも当人には思い悩んでいる様子が見えずに、またマンネリなりの強さや、マンネリゆえに見えた"斬新"さ以外の監督ペップの意外な特徴があったと、そういう話です。

そしてその特にペップのマンネリへの異例な耐性の強さから、起きたことのチームへの影響の仕方がこれまでの経験則では読み切れずに、僕は口をつぐんだと(笑)。「ペップ」と「常識」との間で引き裂かれたと。
「ペップなら何とかしてくれる」「何か知らない凄い解決法や深謀遠慮があるのではないか」という当初の期待は割りと早々に消えてしまいましたが、それでもペップは"謎"の人であり、定期的に驚きを与えてくれる興味深い存在ではあり続けました。

以上が約1年間、"自分のチームの"監督としてジョゼップ・グアルディオラ氏を見ていて感じたこと、分かった気がすることですかね。来季は・・・どうなるんでしょう。あんまり変わらない気もするんですけど、それでもまた何か、驚きはあるのか。
いや、まあ、その前に勝ちますか(笑)。とりあえずどっちか下さい、発明か、勝利か。

正直ちょっと、退屈でしたよ?ペップ。最後に言うのもあれですけど。(笑)


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テーマ:欧州サッカー全般
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