2008年05月30日 (金) | 編集 |
録画で後追いで見ててタイミングを逸したので、後半3試合まとめて。
予選リーグ第3戦 チリ代表戦 ●0-2
”ペース配分”という問題
報道だと「力の差を見せ付けられて完敗」みたいな話だったので、おおかた”南米のテクニック”(orビエルサの戦略)にプレスをいなされて空回りでもしたんだろうなと思ってたんですが、実際に見てみると単なるガス欠による自滅という感じでした。前半はそう悪くもなかった。
直近のフル代表キリン杯コートジボアール戦でも、この時間限定プレス(笑)という問題が出ていましたが、あっさり言ってしまえば僕はこれは”慣れ”の問題だと思います。
それは代表で言えば初めてこういうことをやった加茂のチームにしても、その後のトルシエのチームにしても、あるいはヴェルディで言えば’04年に突如オジーが始めて回り回って天皇杯優勝に結び付いたアレにしても、最初は自殺的なペースに見えた危なっかしかったものが、いつしかそれなりに90分をマネージ出来るようになり、ハイペース時の安定感や連携も増していったというそういうものを見た経験からですが。
別に途中からスタミナ自体が増すわけでもなければ、逆に日本人が特段スタミナ不足のわけもないですし、シーコ、(最初以外の)オシムとどちらかと言えばスローペースの監督が続く中で・・・・反町ジャパンについて言えばここに来て初めて、攻撃的なプレスを狙えるくらいにチームが整備されて来た中で、忘れられていたorまだ獲得されていない、チームとしてのハイプレスの感覚や効率が、やり続けていく中で半ば自動的に形成されていくだろうと、割合そこらへんは楽観的です。
どのみち中途半端な入りをするくらいなら、多少オーバーペースだろうと最初にチームとしての形や意志を示してしまう方が、クソ真面目かつビビりな日本人の気質を考えても、遥かにマシだと思います。優先順位が高いというか。後のことは後で。
準決勝 イタリア代表戦 ●0-0(PK4-5)
”均質性”という武器
GK 西川周作
DF 中村北斗、青山直晃、水本裕貴、森重真人
MF 本田拓也、青山敏弘、梶山陽平、本田圭佑、谷口博之
FW 森本貴幸
放送席は”4-3-2-1”的な把握を主にしていたようですが、多分梶山本田圭両サイドの、4-2-3-1かなと。
いずれにしてもビッグネームイタリアを意識してか、「中盤5人全員ボランチ」的な手堅いメンバー構成で、それが序盤のイタリアの”カマし”に一丸となって粘り強く、かつ下がり過ぎないように対抗する中で、梶山と本田圭の比較的攻撃型の2人が、代わる代わるボランチと2列目の役割を交換するような感じで、確かに”4-3-2-1”的とも言える機能ぶり。でこれが良かった。
成り行き上梶山が普段より能動性を、本田圭が普段よりトータル性を引き出されて頼もしく見え、また均質な5人が協力して守りつつ流動的にポジションチェンジして攻撃参加もし、それに持ち前の”動きっ放し”体質も加わって、一つの生き物のように動いてイタリアの個人能力にも狡知にも、容易に穴を開けさせずに逆にイラ立たせることに成功。
多分結果として「攻撃力が足りない」と言われてしまうんでしょうけど、そこはこういうやり方への慣れとそこから来るチャンス勘や意識付け、ちょっとしたメンバー選択の変化などで、割りと簡単に解消できるような気も。”攻撃力”そのものよりも”チーム力”(成熟度)というか。
個人能力自体はそんなに足りてないとは思いませんし。頼りさえしなければ。・・・・まあカボレがいればなあとは、正直思いましたけど(笑)。頑張れ森本。
とにかく攻守共に、非常に隙が無くて自然に連動した、いいチームだったと思いますこの日は。
「日本スタイル」の一つの候補と、言ってしまいたいくらい。
3位決定戦 コートジボアール代表戦 ●2-2(PK3-4)
後は反町監督の腹一つ?
イタリア戦と比較して、水野、梅崎とよりスペシャリスト的な両サイドで、かつ李エスクデロと明確な2トップで機能性がどうかなと思いましたが、さほど遜色の無い出来。確かにチーム力がついているとも言えるし、少なくとも参考ラインであった(3バックの)アンゴラ代表戦時のレベルに、4バックでも達することに成功しているとも言える。
・・・・相変わらず伊野波の扱いは中途半端でかわいそうですけど。ここまでの功労者なだけに。森重の台頭とは裏腹に。
というわけで時間かけてディテールを積み上げてチームを仕上げる反町監督の能力には、一定の信頼をおいていいようですが、問題はそれが常に大会中に行われていること、ある意味大会のたびに仕切り直しになることで、どんだけ「仮説-検証」型なのかという感じですけど。
今大会の「成果」が、ちゃんと素直に本番(もしくは次の試合)に持ち越されるのか、スタートラインとして当てに出来るのか、まだまだ大いに不安です。(笑)
まして『OA枠』という大トピックスが待ち受けているだけにね。フィッティングが済む頃にはオリンピック終わってんじゃないかという。
今大会の「成果」の中から、どこらへんを重視しているのかというのも、正直予想しがたいところがあります。どこも”重視”しないで並列というのが一番怖いんですけど。(笑)
選手個人としては、うーん、取り立てて見るべきものは無かったかなと。
森本は少しイタリアでとは違うものを要求されて戸惑っていたようですが、どちらかと言えば僕は万能型になって欲しい、それでこその”怪物クン”だろうと思うので、そこはむしろ反町監督支持かな。オランタ行けオランダ(笑)。エスクデロも言うほどのものでは。
森重はすっかり名を上げましたが、そもそもさほど大勢に影響のある選手ではない。一方で李の堅実さ使い勝手の良さは、かなり欠かせないものではあると思います。
逆にがっかりしたのは水野で、ゲーム勘と自信の問題は割り引くとしても、同世代の中での比較として、戦術理解力や柔軟性に基本的な疑問が。よっぽど”スペシャル”な存在にならないと、今後もどうか。
まあいっぺんに色々見れて、面白かったですよ。
予選リーグ第3戦 チリ代表戦 ●0-2
”ペース配分”という問題
報道だと「力の差を見せ付けられて完敗」みたいな話だったので、おおかた”南米のテクニック”(orビエルサの戦略)にプレスをいなされて空回りでもしたんだろうなと思ってたんですが、実際に見てみると単なるガス欠による自滅という感じでした。前半はそう悪くもなかった。
直近のフル代表キリン杯コートジボアール戦でも、この時間限定プレス(笑)という問題が出ていましたが、あっさり言ってしまえば僕はこれは”慣れ”の問題だと思います。
それは代表で言えば初めてこういうことをやった加茂のチームにしても、その後のトルシエのチームにしても、あるいはヴェルディで言えば’04年に突如オジーが始めて回り回って天皇杯優勝に結び付いたアレにしても、最初は自殺的なペースに見えた危なっかしかったものが、いつしかそれなりに90分をマネージ出来るようになり、ハイペース時の安定感や連携も増していったというそういうものを見た経験からですが。
別に途中からスタミナ自体が増すわけでもなければ、逆に日本人が特段スタミナ不足のわけもないですし、シーコ、(最初以外の)オシムとどちらかと言えばスローペースの監督が続く中で・・・・反町ジャパンについて言えばここに来て初めて、攻撃的なプレスを狙えるくらいにチームが整備されて来た中で、忘れられていたorまだ獲得されていない、チームとしてのハイプレスの感覚や効率が、やり続けていく中で半ば自動的に形成されていくだろうと、割合そこらへんは楽観的です。
どのみち中途半端な入りをするくらいなら、多少オーバーペースだろうと最初にチームとしての形や意志を示してしまう方が、クソ真面目かつビビりな日本人の気質を考えても、遥かにマシだと思います。優先順位が高いというか。後のことは後で。
準決勝 イタリア代表戦 ●0-0(PK4-5)
”均質性”という武器
GK 西川周作
DF 中村北斗、青山直晃、水本裕貴、森重真人
MF 本田拓也、青山敏弘、梶山陽平、本田圭佑、谷口博之
FW 森本貴幸
放送席は”4-3-2-1”的な把握を主にしていたようですが、多分梶山本田圭両サイドの、4-2-3-1かなと。
いずれにしてもビッグネームイタリアを意識してか、「中盤5人全員ボランチ」的な手堅いメンバー構成で、それが序盤のイタリアの”カマし”に一丸となって粘り強く、かつ下がり過ぎないように対抗する中で、梶山と本田圭の比較的攻撃型の2人が、代わる代わるボランチと2列目の役割を交換するような感じで、確かに”4-3-2-1”的とも言える機能ぶり。でこれが良かった。
成り行き上梶山が普段より能動性を、本田圭が普段よりトータル性を引き出されて頼もしく見え、また均質な5人が協力して守りつつ流動的にポジションチェンジして攻撃参加もし、それに持ち前の”動きっ放し”体質も加わって、一つの生き物のように動いてイタリアの個人能力にも狡知にも、容易に穴を開けさせずに逆にイラ立たせることに成功。
多分結果として「攻撃力が足りない」と言われてしまうんでしょうけど、そこはこういうやり方への慣れとそこから来るチャンス勘や意識付け、ちょっとしたメンバー選択の変化などで、割りと簡単に解消できるような気も。”攻撃力”そのものよりも”チーム力”(成熟度)というか。
個人能力自体はそんなに足りてないとは思いませんし。頼りさえしなければ。・・・・まあカボレがいればなあとは、正直思いましたけど(笑)。頑張れ森本。
とにかく攻守共に、非常に隙が無くて自然に連動した、いいチームだったと思いますこの日は。
「日本スタイル」の一つの候補と、言ってしまいたいくらい。
3位決定戦 コートジボアール代表戦 ●2-2(PK3-4)
後は反町監督の腹一つ?
イタリア戦と比較して、水野、梅崎とよりスペシャリスト的な両サイドで、かつ李エスクデロと明確な2トップで機能性がどうかなと思いましたが、さほど遜色の無い出来。確かにチーム力がついているとも言えるし、少なくとも参考ラインであった(3バックの)アンゴラ代表戦時のレベルに、4バックでも達することに成功しているとも言える。
・・・・相変わらず伊野波の扱いは中途半端でかわいそうですけど。ここまでの功労者なだけに。森重の台頭とは裏腹に。
というわけで時間かけてディテールを積み上げてチームを仕上げる反町監督の能力には、一定の信頼をおいていいようですが、問題はそれが常に大会中に行われていること、ある意味大会のたびに仕切り直しになることで、どんだけ「仮説-検証」型なのかという感じですけど。
今大会の「成果」が、ちゃんと素直に本番(もしくは次の試合)に持ち越されるのか、スタートラインとして当てに出来るのか、まだまだ大いに不安です。(笑)
まして『OA枠』という大トピックスが待ち受けているだけにね。フィッティングが済む頃にはオリンピック終わってんじゃないかという。
今大会の「成果」の中から、どこらへんを重視しているのかというのも、正直予想しがたいところがあります。どこも”重視”しないで並列というのが一番怖いんですけど。(笑)
選手個人としては、うーん、取り立てて見るべきものは無かったかなと。
森本は少しイタリアでとは違うものを要求されて戸惑っていたようですが、どちらかと言えば僕は万能型になって欲しい、それでこその”怪物クン”だろうと思うので、そこはむしろ反町監督支持かな。オランタ行けオランダ(笑)。エスクデロも言うほどのものでは。
森重はすっかり名を上げましたが、そもそもさほど大勢に影響のある選手ではない。一方で李の堅実さ使い勝手の良さは、かなり欠かせないものではあると思います。
逆にがっかりしたのは水野で、ゲーム勘と自信の問題は割り引くとしても、同世代の中での比較として、戦術理解力や柔軟性に基本的な疑問が。よっぽど”スペシャル”な存在にならないと、今後もどうか。
まあいっぺんに色々見れて、面白かったですよ。
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この記事へのコメント
トゥーロンは全く追ってないんですが…
イタリア戦の「中盤5人全員ボランチ」と聞いて思い出すのがトルシエ時代。
サイドのスペシャリストが不足しがちな一方、
ボランチは継続的に人材を輩出している日本としては、
こういった方向性も面白いのかもしれませんね。
ただ本田圭、梶山だとサイドでスペースがあるときが怖いですが…
ちなみにhumeさんがイタリア側の問題点を指摘してくれています。
http://hume.seesaa.net/article/98731225.html
イタリア戦の「中盤5人全員ボランチ」と聞いて思い出すのがトルシエ時代。
サイドのスペシャリストが不足しがちな一方、
ボランチは継続的に人材を輩出している日本としては、
こういった方向性も面白いのかもしれませんね。
ただ本田圭、梶山だとサイドでスペースがあるときが怖いですが…
ちなみにhumeさんがイタリア側の問題点を指摘してくれています。
http://hume.seesaa.net/article/98731225.html
2008/06/01(Sun) 02:41 | URL | 酩酊 #-[ 編集]
トルシエはCBもそれ(ボランチ)っぽいところがありましたからね。FWがMF的なのも伝統(?)ですし。
反町監督の特別な選手に頼る傾向への抑えとしても、一方で裏腹のパズラー的資質を活かすという意味でも、割と上手くハマった感じはありました。
城福FCと合わせて、「4-3-2-1」モデル自体にも、色々と可能性を感じています。
イタリアは言われてみれば、「ジラルディーノがいなかったなあ」という感じ。(笑)
意外と似たものどうしの試合だったかも知れません。その中から、でもここぞという時の前に出て来る強さに、やはり違いはありましたが。
反町監督の特別な選手に頼る傾向への抑えとしても、一方で裏腹のパズラー的資質を活かすという意味でも、割と上手くハマった感じはありました。
城福FCと合わせて、「4-3-2-1」モデル自体にも、色々と可能性を感じています。
イタリアは言われてみれば、「ジラルディーノがいなかったなあ」という感じ。(笑)
意外と似たものどうしの試合だったかも知れません。その中から、でもここぞという時の前に出て来る強さに、やはり違いはありましたが。
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