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ハチクロ2に関する極端な見解
2006年09月15日 (金) | 編集 |
闘病ならともかくリハビリくらい一人でやれって突っ込みはアリ?
足腰立たないとかなら別だけど、要は片手の話じゃん。

だいたい芸術家はスポーツ選手じゃないんだから、利き手一本にあそこまでこだわるのもどうも甘ったれた感じが。「芸術」も「才能」も、腕に宿るわけではない。右手が駄目なら左手で描けばいいし、絵が駄目なら他のジャンルにしてもいい。増してや負傷以前の”画風”や”作風”の再現・継続にこだわっているんだとしたら・・・・。
違うだろ、それは。そういうものじゃないだろ芸術ってのは。衝動は衝動、形は形。

関節リウマチによって時代を画されながら創作を続けたルノアールの例が、慰めになるのか戒めになるのかは分かりませんが。


要ははぐちゃんの「生きる理由」としての創作の至高性を表現しようとしたエピソードだというのは勿論分かるんですけどね。その「創作」の捉え方自体にあまり深いものを感じられなかったので、どうもノれませんでした。

そもそもあれだけ(恋愛において)「俗物性」を担うキャラとして動かされて来た山田あゆみが、よりにもよって「野趣」にあふれた陶芸作品を量産するという設定の時点で圧倒的に納得が行ってないので。豪快なのとがさつなのって違うんじゃない?イノセントとフーリッシュも違うし。誰よりも「自然体」とは縁の遠いキャラだと思いますが、山田あゆみは。

森田さんのは特に問題なし。「天才」の幸せな紋切り型。竹本くんの”塔”も嘘臭えとは思いますが、エピソード的な完成度・有効性は高いと思います。


原作は8巻までしか読んでませんが、アニメでいう「2」にあたる後半部分は、前半で打ち出したキャラたち各々の背景や行く末を丁寧に描いて、それぞれに決着をつけて行くという主にそういう内容だったと思います。
なかなか稀に見る論理性と律儀さで無事に風呂敷を畳み切ったなとは思いますが、それでそれが面白かったかというとまた別。むしろ謎解きが進むのに正比例して僕の興醒めも進んでしまいました。

丁寧に周到に満遍なく。前半長所だったものが後半はそのまま短所に見えて来てしまったというのが率直な感想。解くほどの謎じゃなかったな、きれいな幽霊だったけど枯れ尾花は枯れ尾花だなというか。

論理は作品を良くするのに役立ちますが、論理そのものが作品を生み出すわけではないので。結局最初の衝動が一番美しいというのは、ハチクロに限らず多くの作品が遭遇する運命ですが。
俗に”恋の予感”と言いますが、実際は恋とは予感そのもののことである、とか。ああ恥ずかしい。(笑)


一つ言っておきたいのは、ハチクロは恋愛ストーリーではないということ。単に片想いだらけという以上に、構造的にあるレベルを越えたものや核心部分には触れない、挑まない、周到に回避する、そういう作りになっていると思います。
それは作品の意図として了解出来るところもありますが、むしろ描けない人/体質の人なのではないかという疑いの方が現状では強いですね。それを自覚しての構成とも言えますが。

人によってはひっくるめて「馬鹿馬鹿しい」「少女趣味」で終わりになってしまう可能性も十分にある作品なんじゃないですかね。僕はそこまでは思いませんが、物足りないという後味が最後に残ったのは確か。後半の「解題」編が駄目だったのも、要はらっきょうの皮を剥いていく作業だったから。皮が中身なのに。

恋愛ストーリーじゃなければじゃあ何かと言えば、人間関係・人間行動全般についてのストーリーということになりますか。少々頭デッカチですが。そういう包括的観点から「恋愛」についても描こうとしていて、真っ当と言えば真っ当ですが綺麗事と言えば綺麗事。「芸術」の対置でうまく隠してますけど。
はぐちゃんの落ち着き先が花本先生だというのも、そういう意味では作品の本質から必然的。・・・・気持ち悪いですけど(笑)。何だよそれという感じですけど。恐ろしくダイナミズムのないドンデン返しですけど。せめて(森田/竹本の)どちらかに処女膜くらい破らせてからにしろよとは思いますけど。

ちなみにラストの竹本くんの盛岡行きの電車の中の涙。僕もつられそうになりましたが、あれだって「失恋」の涙というよりははぐちゃんを含む一つの時代/全体的状況への哀惜の涙ですよね。失恋の涙ならもっと前に泣かなきゃ。一緒くた。


「人間関係」は「人間関係」、「恋愛関係」は「恋愛関係」、この二つはそんな綺麗な包含関係にはない。
だいたい「恋愛」中の人間なんて「人間」の名に値しないですから(笑)。そこまで行ってこそというか、描いてこそというか。

まあ非常に意欲的で完成度の高い、かつ頭デッカチで綺麗事の面白い作品でした。よく見ちゃうと凄く浅いんですけど。そういう意味では京極夏彦と少し似てるかも。
”よく”見ちゃうのがいけないんですね、多分。予感とスピード感で押し切れた前半は面白かった。

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