2010年07月09日 (金) | 編集 |
"新時代"なのか希薄化なのか。
南アフリカW杯準決勝 ドイツ代表 ●0-1○ スペイン代表(ダーバン)
"ドイツ"代表「復活」ならず。
行かなかったのか行けなかったのか、あんまり熱心に見てなかったのでよく分かりませんが、とにかく"受ける"形になった今大会話題の新生ドイツ代表は、受けの強さも逆襲の鋭さも、特段何も見せられないまま、少なくともこの試合だけ見れば普通に力負けした格下チームとして、今大会を終了することになりました。(まだ3位決定戦はありますが)
やはり"無心"の成功だったのかな、これまではという。若い、個々にはポテンシャルのある新しいチームが、今やれることを迷いなくやってたら、それが相手関係とその"ポテンシャル"と、時にはやはり「ドイツ」という名前の力の援護も受けて、気が付くと決勝まであと一歩というところまで来てしまった。・・・・で、"気が付"いたら途端に少し固まってしまったという(笑)。万事中途半端になってしまったと。
まあ後でまた取り上げるフィンケの、基本的にはドイツの"成功"を称える文脈での戦前の会見でも、言い方としては結局「もしかするとドイツ代表にもチャンスがあるかもしれません」となっているわけで(笑)、見る人が見れば出来過ぎなのは、自明だったのかも知れませんが。
それにしても、と思うのは、クラブチームも含めて欧州戦線での「ドイツ」と「スペイン」と言えば、"逸るスペインをドイツが余裕綽綽受け止めて、最後にはきっちり仕留める"というのがほとんど永遠の定番であっただけに、単に「勝ち負け」という以上に"大人"のスペインと"子供"のドイツという風景は、結構衝撃的というか違和感があるというか。
それがたまたまのチームサイクル/成熟度の問題というよりは、もうドイツが戻れない一歩を踏み出したのではないか、移民(多民族化)と戦術・育成の変革によって、もう完全に"ドイツ"という同じ名の別のチーム伝統の中にあるのではないかと思えたのが、この試合の一番の感慨でした。
ゲルマン魂は戻って来るのか(笑)。所詮日本式の言い方ではありますが、それこそ非ゲルマン化によって、不可逆的な変質を遂げてしまうのか。
スペインの出来自体も、そんなに輝かしいものには見えなかっただけにね。
まあ(西)ドイツ代表としては、別にどの時期においても"ゲルマン魂"の体現の為にやっていたわけでも、"最後には勝つ"という神風(笑)頼みにやっていたわけでもなくて、単にその時々の技術的戦術的課題、"上手く"なる為の取り組みに注力していただけなわけでしょうから、こんなのは言いがかりに近いものではあるんでしょうけど。
ただ、でも、あったよなあ、何かが(笑)。で、それがこの試合では、感じなかった。明らかに"ここ一番"にも関わらず。
批判ではないんですけどね。あくまで感慨。
そういう意味で言うと今大会は、ブラジルもオランダも、イタリアあたりも含めて、伝統国がそれぞれに"らしく"ないと言われる、"らしさ"が見せられないまま敗れ去っているわけで、なんかそういう大会、そういう時期なんですかね。
"グローバル化"という言い方だと、ちょっと綺麗過ぎるような。やや下向きというか、それぞれが低いレベルで均衡しているような。あるいはアイデンティティも含めた「代表」サッカーへの強迫観念が、いよいよ薄れて来ているというか。
スペインだけは、相当に遅れた感じで(笑)、ようやくアイデンティティを戦闘力に昇華中?
イングランドのグダグダやフランスの注意散漫は、あれはある意味での伝統の体現かも。(笑)
アルゼンチンも、特別ないい大会以外は、だいたいあんなもんか。
正直小粒な大会な感じはしますね、ここまで。ブブゼラ以外の記憶がどれだけ残るかという(笑)。(勿論岡田ジャパンの"活躍"は別にして)
逆に最後の目玉が、ヤング(ユンク?)ドイツの躍進だったわけでしょうけど、それもここで。おしまい。
フィンケ監督「オーストリアキャンプ、ワールドカップ、ドイツ代表」から現代サッカーを説く
('10.7.6 浦和公式)
それとも結構関係した内容の、話題のフィンケ(定例)会見。
大部分は、僕にとっては"いつもの"「物凄く丁寧に長々と普通のことを説明していて、しかも結局は自己弁護」というフィンケ節に感じられますが、個別に面白いことはいくつか。
今大会のオランダを、スペイン・ドイツと並べるのは大雑把過ぎる感じもしますが、注目したのは「ボール・オリエンテッド」という用語法ですね。なるほど、そういう言葉で(フィンケは)まとめるのか、メモメモという。
対置されるのは・・・・じゃあ「マン・オリエンテッド」ですかね、後の方で、しつこく(ブッフバルトがやったような(笑))マンマークは流行らないということを強調していますから。
「マン」に対しては「ゾーン」というのもよく対置されますが、これだとちょっと、「守備」の意味合いに限定されてしまうところがあるかも知れない。フィンケの重点は攻守問わず、ボールに合わせて人が連動して行くということで、
・・・・これまた一方で「ボール」と言われると、「ボールの無いところでの動き」という言い方が対置されるように、どうも"足元サッカー"のような悪い(少なくとも古い)ニュアンスもサッカー日本語ではあるわけですが、それとは全然違う文脈なのか、いやでもフィンケ・レッズって見た目結構足元サッカーだしなと、ここらへんはちょっとこれからまた、頭の中を整理してみたい感じ。
「ボール」と「マン」と「ゾーン/スペース」との、三角関係?
続いてフィンケが関与したという、今大会のドイツ代表を生みだしたドイツ式トレセンの誕生秘話。
へえ。"オセールのギー・ルー"と言えば、確かに若手や安い選手を駆使して長年小クラブオセールで存在感を示し続けた名物監督として、サカマガのジャック・ティベールのコラムなどで名前は知っていましたが、フランスのアカデミー創設そのものに関わっていたとは、知らなかった。
言ってしまえば単なる自慢話ですが(笑)、まあ事実なんでしょう。(違ったりして)
マガトかあ。なるほどねえ。
ひょっとして知らないのかとも一瞬思いましたが(笑)、日本の"アカデミー"(ナショナルトレセン)のこともちゃんと知ってはいるわけで、じゃあ要するに何が言いたいのか、特に何の提言でもないよな、やっぱり自慢話かい(と、それを根拠とする自分の正当性の主張)という気はどうしてもするんですが(笑)、エピソードとしては興味深かったですね。
・・・・基本的には、聞かれたから答えている、という形ではあるわけですけど。どうもね。
まあ実際、"クリンスマンが変なことやってた""移民・帰化選手が増えている""何やらブンデスリーガは盛況らしい"くらいしか、今回のチームのバックグラウンドは普通に日本で暮らしてても分からなかったので、貴重な証言ではありました。
日本の"アカデミー"も、色々問題は言われるけど、少なくとも無いよりはあった方が確実にいいよなということも、改めて。「同質性」や、「同時期的なレベルの統一」というのは、それ自体として力ではあるよなと。実際にプレーするのはたかだか11人(23人)だとしても、単にたまたまそれぞれに育った上手い選手をかき集めるのとは、やっぱり違う。
実際のところ、各国どうやってるというか、どれくらいの国が"ナショナル"なレベルで持ってるんでしょうね、そういうの。詳しい人がいたら教えて下さい。
南アフリカW杯準決勝 ドイツ代表 ●0-1○ スペイン代表(ダーバン)
"ドイツ"代表「復活」ならず。
行かなかったのか行けなかったのか、あんまり熱心に見てなかったのでよく分かりませんが、とにかく"受ける"形になった今大会話題の新生ドイツ代表は、受けの強さも逆襲の鋭さも、特段何も見せられないまま、少なくともこの試合だけ見れば普通に力負けした格下チームとして、今大会を終了することになりました。(まだ3位決定戦はありますが)
やはり"無心"の成功だったのかな、これまではという。若い、個々にはポテンシャルのある新しいチームが、今やれることを迷いなくやってたら、それが相手関係とその"ポテンシャル"と、時にはやはり「ドイツ」という名前の力の援護も受けて、気が付くと決勝まであと一歩というところまで来てしまった。・・・・で、"気が付"いたら途端に少し固まってしまったという(笑)。万事中途半端になってしまったと。
まあ後でまた取り上げるフィンケの、基本的にはドイツの"成功"を称える文脈での戦前の会見でも、言い方としては結局「もしかするとドイツ代表にもチャンスがあるかもしれません」となっているわけで(笑)、見る人が見れば出来過ぎなのは、自明だったのかも知れませんが。
それにしても、と思うのは、クラブチームも含めて欧州戦線での「ドイツ」と「スペイン」と言えば、"逸るスペインをドイツが余裕綽綽受け止めて、最後にはきっちり仕留める"というのがほとんど永遠の定番であっただけに、単に「勝ち負け」という以上に"大人"のスペインと"子供"のドイツという風景は、結構衝撃的というか違和感があるというか。
それがたまたまのチームサイクル/成熟度の問題というよりは、もうドイツが戻れない一歩を踏み出したのではないか、移民(多民族化)と戦術・育成の変革によって、もう完全に"ドイツ"という同じ名の別のチーム伝統の中にあるのではないかと思えたのが、この試合の一番の感慨でした。
ゲルマン魂は戻って来るのか(笑)。所詮日本式の言い方ではありますが、それこそ非ゲルマン化によって、不可逆的な変質を遂げてしまうのか。
スペインの出来自体も、そんなに輝かしいものには見えなかっただけにね。
まあ(西)ドイツ代表としては、別にどの時期においても"ゲルマン魂"の体現の為にやっていたわけでも、"最後には勝つ"という神風(笑)頼みにやっていたわけでもなくて、単にその時々の技術的戦術的課題、"上手く"なる為の取り組みに注力していただけなわけでしょうから、こんなのは言いがかりに近いものではあるんでしょうけど。
ただ、でも、あったよなあ、何かが(笑)。で、それがこの試合では、感じなかった。明らかに"ここ一番"にも関わらず。
批判ではないんですけどね。あくまで感慨。
そういう意味で言うと今大会は、ブラジルもオランダも、イタリアあたりも含めて、伝統国がそれぞれに"らしく"ないと言われる、"らしさ"が見せられないまま敗れ去っているわけで、なんかそういう大会、そういう時期なんですかね。
"グローバル化"という言い方だと、ちょっと綺麗過ぎるような。やや下向きというか、それぞれが低いレベルで均衡しているような。あるいはアイデンティティも含めた「代表」サッカーへの強迫観念が、いよいよ薄れて来ているというか。
スペインだけは、相当に遅れた感じで(笑)、ようやくアイデンティティを戦闘力に昇華中?
イングランドのグダグダやフランスの注意散漫は、あれはある意味での伝統の体現かも。(笑)
アルゼンチンも、特別ないい大会以外は、だいたいあんなもんか。
正直小粒な大会な感じはしますね、ここまで。ブブゼラ以外の記憶がどれだけ残るかという(笑)。(勿論岡田ジャパンの"活躍"は別にして)
逆に最後の目玉が、ヤング(ユンク?)ドイツの躍進だったわけでしょうけど、それもここで。おしまい。
フィンケ監督「オーストリアキャンプ、ワールドカップ、ドイツ代表」から現代サッカーを説く
('10.7.6 浦和公式)
それとも結構関係した内容の、話題のフィンケ(定例)会見。
大部分は、僕にとっては"いつもの"「物凄く丁寧に長々と普通のことを説明していて、しかも結局は自己弁護」というフィンケ節に感じられますが、個別に面白いことはいくつか。
準決勝に残った4チームのうち、オランダ、スペイン、それからドイツのチームがボール・オリエンテッドなサッカーを展開して成功を収めています。
今大会のオランダを、スペイン・ドイツと並べるのは大雑把過ぎる感じもしますが、注目したのは「ボール・オリエンテッド」という用語法ですね。なるほど、そういう言葉で(フィンケは)まとめるのか、メモメモという。
対置されるのは・・・・じゃあ「マン・オリエンテッド」ですかね、後の方で、しつこく(ブッフバルトがやったような(笑))マンマークは流行らないということを強調していますから。
「マン」に対しては「ゾーン」というのもよく対置されますが、これだとちょっと、「守備」の意味合いに限定されてしまうところがあるかも知れない。フィンケの重点は攻守問わず、ボールに合わせて人が連動して行くということで、
ピッチ上でボールがどこにあるかを確認して、チーム全体でスライドしていくわけです。
・・・・これまた一方で「ボール」と言われると、「ボールの無いところでの動き」という言い方が対置されるように、どうも"足元サッカー"のような悪い(少なくとも古い)ニュアンスもサッカー日本語ではあるわけですが、それとは全然違う文脈なのか、いやでもフィンケ・レッズって見た目結構足元サッカーだしなと、ここらへんはちょっとこれからまた、頭の中を整理してみたい感じ。
「ボール」と「マン」と「ゾーン/スペース」との、三角関係?
続いてフィンケが関与したという、今大会のドイツ代表を生みだしたドイツ式トレセンの誕生秘話。
そしてフランスでさまざまな育成部門の改革に携わって、特に育成のために必要なエリート教育の寮のシステムを作り上げたギー・ルーという監督とも私は定期的に連絡を取り合っていました。
へえ。"オセールのギー・ルー"と言えば、確かに若手や安い選手を駆使して長年小クラブオセールで存在感を示し続けた名物監督として、サカマガのジャック・ティベールのコラムなどで名前は知っていましたが、フランスのアカデミー創設そのものに関わっていたとは、知らなかった。
私たちは、ドイツでもこのような形でのエリート教育を実践できないかと、さまざまな考えを持って実践しようとしました。そして、このようなドイツでの育成改革を進めるための委員会が設立されました。その中に3人のブンデスリーガの監督が選ばれました。それが、フェリックス・マガト、ハンス・マイヤー、そして私でした。
言ってしまえば単なる自慢話ですが(笑)、まあ事実なんでしょう。(違ったりして)
マガトかあ。なるほどねえ。
ひょっとして知らないのかとも一瞬思いましたが(笑)、日本の"アカデミー"(ナショナルトレセン)のこともちゃんと知ってはいるわけで、じゃあ要するに何が言いたいのか、特に何の提言でもないよな、やっぱり自慢話かい(と、それを根拠とする自分の正当性の主張)という気はどうしてもするんですが(笑)、エピソードとしては興味深かったですね。
・・・・基本的には、聞かれたから答えている、という形ではあるわけですけど。どうもね。
まあ実際、"クリンスマンが変なことやってた""移民・帰化選手が増えている""何やらブンデスリーガは盛況らしい"くらいしか、今回のチームのバックグラウンドは普通に日本で暮らしてても分からなかったので、貴重な証言ではありました。
日本の"アカデミー"も、色々問題は言われるけど、少なくとも無いよりはあった方が確実にいいよなということも、改めて。「同質性」や、「同時期的なレベルの統一」というのは、それ自体として力ではあるよなと。実際にプレーするのはたかだか11人(23人)だとしても、単にたまたまそれぞれに育った上手い選手をかき集めるのとは、やっぱり違う。
実際のところ、各国どうやってるというか、どれくらいの国が"ナショナル"なレベルで持ってるんでしょうね、そういうの。詳しい人がいたら教えて下さい。
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