2つの誤算?(岡田ジャパン大会総括)

内幕や力学はともかくとして、結果として表れたものについて。
岡田ジャパン全体というよりも、本大会(まで)の数試合限定の総括。


岡田ジャパンの「前提」

岡田”監督”が代表/札幌/Fマリで実績として示して来たもの、「現有戦力の過不足ない取りまとめ」「守備を中心とする(トップではなく)ボトムの確保・堅固化」という能力


・・・・『岡田監督正式就任によせて』('07.12.7)

タイトル通り、就任直後に僕が書いた文章ですが、岡田監督の能力がここらへんにあるというのは、始動前からほぼ衆目の一致したところだったと思います。

そりゃあ、手堅く予選突破ならこの人だろうけどさ。おそらく選手の能力そのままの試合は見せてくれるだろうし。ただ、それ以上はないだろうねえ。

日本人監督の中でおそらく最もリアリスティックな監督であることは横浜FMで実証済。ただ、100あるうちの100の力を出させることは得意だが、逆にオシムやトルシエのようにどこかで無理をして120のストロングポイントを作るっていう方法論は苦手(*)。まあ、日本の実力そのままの結果が本番では出るんではないだろうかね。予選でこけることは考えづらいし。嫌いじゃないんだけど、安易過ぎる。はぁー・・・。


・・・・"picture of player"『サムライブルーに塗った鳥』('07.11.28)

その上で例えば上のタカクさんのような、"120"を出させる能力についての危惧が語られているのは、要するに"100"では、"そのまま"では勝負にならんだろうという、ある種自明の前提があったからなわけですが。

それは前後関係的に言えば、ある意味誰よりも日本人選手の能力を「信じた」ジーコの失敗を踏まえてということでもありますが、それよりも何よりも岡田監督自身、普通にやっては駄目だと思ったからこそ、『接近・・・・』~『ハエ』に至る"奇策"を志向したわけで。
とにかく、前提ではあったわけですよね。

で。でですけど。
直前の仕様変更による急ごしらえの、最低限の約束事と熟成だけたずさえて"裸"に近い状態でW杯本大会に投げ出された我らが日本代表でしたが。
どう見ました?僕にはどうも、存外にやれたな、言ってみれば日本代表の"100"の力は、思ってたよりは随分と見劣りのしないものだったなというのが、素朴な感想だったんですが。

例えば同じような流行りのブロック守備を布いた各国の中で、日本代表のそれの機能性も個力も、場合によっては相対的上位と言ってもいいものに見えましたし、攻撃も無策に近いものではありましたが、各選手それぞれに十分とまでは言わないものの、見劣りのしないものを随所に見せていましたし。
100でOKとは言い切れないとしても、必ず120を望まないといけないほど悲観したものではなかったなと。事前の予測からすると。少なくとも恥を掻いたり、(フランス'98並みに?)惨めな気持ちになるようなものでは。

もっと、駄目かと思ってました。正直。そういう意味では、ここに嬉しいとは言え(笑)誤算があったなと、個人的には言わざるを得ないです。
それを見越して、協会が岡田監督を選んだとは、全く思いませんが。(笑)


加茂(-岡田)ジャパンの「前提」

更に遡ります。
大会前までの岡田サッカーの特徴、要は「ハイプレスからのショートカウンター」、勿論そこに独自のポゼッションの試みも入ってはいるわけですけど、例えばオシムなりジーコなり、"サンドニ"前のトルシエなりの前任者たちと大きな枠組みで比べた場合の基本(またはミニマムの)スタイルの起源は、間違いなく"代表"監督岡田武史を直接的に育んだ、加茂ジャパンのそれであるのは言うまでもないと思います。・・・・当たり前過ぎてあんまり言われてないですけど。(笑)

さてこの加茂ジャパンのスタイル選択には、前提がありました。
まずは攻撃面で、ゆっくり繋いで作っていては、(当時の)日本の実力では到底崩し切れない、点は取れない。だからと言ってロングカウンターでは、ただでさえ貧弱な日本のFW陣では、尚更点は取れない。
だからショートカウンターだ、それしかない、その為にそれの出来る位置でボールを取りに行くんだハイプレスだと、そういう論理。
・・・・ポゼッションについては、その後日本はそれなりの自信は付けましたね。ただロングカウンターについては事情はほとんど変わっていないですし、依然として恐らく、最も日本の攻撃でハマる可能性が高いのは、ショートカウンターの形でしょう。

それはいいとして次が本題、もう一つの、比べると少し隠れた「前提」。守備面についての。
つまりなぜ加茂ジャパン、加茂監督が、高いラインの裏を取られたり人を寄せた逆を取られたり、勿論宿命的なスタミナ切れも合わせた分かり易いリスクを承知で、このほとんど当時の日本に素地の無いハイプレスサッカーを代表でやろうとしたかと言えば、自分の趣味・・・・は置いておくとして(でも結構大きいと思う(笑))、要はそもそも引いて守っても日本は守れないという、そういう認識があったからなわけですね。

主にはCBの高さを筆頭とする、個力の問題で。"守備の文化"については・・・・特に言ってはいなかったと思いますが、例えば南米の国や欧州の二級国のような伝統に裏打ちされた耐久力は望めないという前提は、自明なものとしてあった気はします。
ともかくどうせ引いても守れないんだから、ならばより攻撃のチャンスを優先する守り方ボールの奪い方をしよう、だからハイプレスだと、ここでも同じ結論が引き出されたわけですね。

で。再び、でですが。(笑)
守れましたよね。引いて。十分に。十一分にというか。
例えば振り返ればアトランタでもフランスでも、リトリートを基本とした守備でそれなりに結果は出しましたが、あからさまに死ぬ思いでしたし(笑)、いかにも非常用シフトで、戦術ベースとしての日常性や発展可能性は、全く感じられませんでした。
それに比べれば今回は、随分と余裕がありました。守れることはある種"当たり前"として、次のことにまで普通に考えが及ぶようになってましたし、他国との比較においても決して見苦しい類のものではなかったというのは、上でも書いた通り。

まあ引けばある程度は守れるのは当たり前なので、守れる守れないの二択を言っても仕方がないんですが(笑)、要は今回の岡田監督就任の時点でも一応フランスの"実績"はあったわけで、それでも我々が大いに難色を示した(笑)のは、あんな身も蓋も無い守り方では"やれた"とは到底言えない、少なくとももう一回あれをやるのは真っ平ごめんだと、そういう認識が一つあったからではないかと。戦術的オプションの、通常の範囲を逸脱しているだろうと、恥を掻かせないでくれよと。

それが今回、もっと普通に守れたと。引いて。あれ?意外と「守備の文化」あったりするんじゃないの?とか。
育っていたというか。そういう、"誤算"


こうした"誤算"には、それぞれのまた別の事情もあったかも知れません。
最初の、日本人選手の"等身大"が意外と大きかった(笑)ということについては、大会自体の低調というか、ローテンションというか、特に"攻撃的""野心的"と目されていたチームや選手たちの不活発が、"きちんと"は必ずやる日本人選手の律義さムラの無さを、結果的に引き立てたとか。
・・・・まあ前提自体が怪しいですが、可能性としてね。いち観客としての、不満の反映というか。(笑)

そして次の"引いて守れた"件は、これはもっとまともな話で、つまり例の「4-4ブロック守備」(+アンカー)の世界標準化、この流れに日本代表も上手く乗れて、その既に確立されたメソッドを利用することによってだいぶ下駄を履かせてもらった、田舎者にも見えなかった(笑)、それが例えばフランス'98との違いとしてあったよなという。・・・・これには更に、岡田監督にそんな流行りものの指揮能力があったんだという、そういう"誤算"、驚きも、付加要素としてありますが。

細かいことを言えばその4-4ブロックは、古典5バックなどのようなタイプの"引いた"守備に比べて、さほど個力を厳しくは要求しないということもあるでしょう。勿論「闘莉王」という、厳密には「日本」の実力とは言い難い、スペシャル要素の存在も大きかったのは間違いのないところ。
ともかくこうした2つの"誤算"が、今回の岡田ジャパンの予想外の成功の陰にあったと、それが僕のミニマムな総括です。


これらの"誤算"は、今後もしばらく有効な誤算(笑)なのか、そうなら随分、(今後の成功の)条件は、楽になるはずですが。


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ども、おひさしぶりです。
そうなんですよ、意外に100(かどうかはさておき)でやれちゃったんですよねえ。笑
4-4で守れた要因のひとつとして、4-4の守備がJに根付いているというのもあるんでしょうね。ほとんどのチームが4バックですし。

問題は4年後にトゥーリオ的な存在がいるかどうか、ということなのですが。まあ、それが必要ないくらいにきちんと強化して欲しいものです。笑

ども

正攻法じゃないから等身大とは言えない・・・・という反論も一瞬考えたんですが、でもことは「岡田監督」就任に際しての話ですから、当然守備的にやるという想定も同時に浮かんでいるはずなので、やっぱり"誤算"かなあと。(笑)
ほんとの"100"というのは、"120"出すくらいの構えででも思うようにいかないことも含めてトータルで言うとだいたい100と、そんな場合でしょうね。だから"100"を目指した今回の実際の達成度は7~9割くらいで、従って不完全燃焼感は多くの人に、結局残ってるだろうとは思います。

・・・・まああれですね、最終的には我々(笑)の"欲望"の問題は残りますけどね。4年もあるんだから、要不要は別として、何か面白い趣向をプリーズという。(笑)

例えば北京世代にもそれなりの素材のCBはいなくはないんですが、速さメイン(青山、水本)や面白・ヤマ師系(吉田麻、森重、槙野)で、なかなかそのままトゥーリオを引き継いでくれそうには。("面白"だけ引き継がれても(笑))

どっちかと言うと3バックやりたいようなメンツですねえ。(ビエルサ?)

お久しぶりです。

なんかこの100と120の話が周りと噛み合わないなと感じてました。
自分は、日本が100出せばそこそこやれるだろうと思ってたんですが。

プレミア中心に欧州とJリーグ両方見てるからかもしれませんが、
そんなに差はないだろうというのが実感です。

多分、欧州でもトップ・クラブの試合を見てるから差があると感じるんじゃないですかね。
あれは「チャンピオンズ・リーグ」という特殊なリーグに所属する人たちなので別枠ですよね。
CLで特に決勝Tに出てるクラブはほとんど全ての国代表より強いでしょうから。

プレミアでボルトン対サンダーランドとかしょっぱい試合してますよ(笑)
まあ、それが本来のプレミアの味だとも思いますけど。

上にも書いたように

"100"の定義自体が、案外難しいとは思うんですけどね。"120"の方は、それ(100)に対する"超越"として、何とかなるとして。

例えばジーコ的"裸"は100なのかと言うと、実際にはマイナス補正だと思いますし。
Jオールスターや憲剛システム崩壊後しばらくの"何となくポゼッション"岡田ジャパンで挑んで負けて、それで納得が行くのかというとそれもどうも。
そもそも相手方は相手方で、やはり出来るならばそれこそ"120"出そうと努力している、少なくともわざわざ手ぶらで来るわけではないわけで。

「特別」や「奇策」は(必ずしも)必要なくても、「ちゃんと」はしていなくてはならない。かつこの世に無色で不偏のサッカーなんてものは実在しないので、必ず当該監督の個性なり偏りなり、意識的仕掛けみたいなものは存在せざるを得ないし。
プラス、これ意外と重要かと思いますが、日本代表に100ある力を100出させる為には、まず劣等感を取り去る為に、戦術的箔付けなり監督の威光なり(or信頼感)は、ある程度必要だろうと。
・・・・酩酊さんのおっしゃる比較対象についてですが、少なくともファン側の問題としては、欧州リーグというよりやはり、「代表」単位での、過去の経験の方が大きいんじゃないですかね。クラブサッカーを見てる時は、どちらかというと"レッズ"は"ガンバ"は、これと戦うにはどうすべきかと、そっちの「目」になってる気が。

結論的に言うと今回は、"100"出させる為の仕込みが、結果的に妙に上手く行ったなというのも、一つ。例えばそれは、トルシエの時に比べても、感じます。
要因としてはやはり"ブロック守備"の共通言語性と、選手たちの開き直り的集中というか、岡田監督の結果的統率力というか。

そうそう、

トルシエで思い出しましたが。

トルシエの"フラット3"(orダニッシュダイナマイトの夢?)は、確かに"120"出させる為のギャンブルの一種だったと思いますが、ただオシムの少なくともアジア杯以降というのは、むしろ"100"を出させる為の環境作り、それ以上でもそれ以下でも無し!という、そういう性格の仕事(を志向している)のように見えましたね。

俊輔をあえて組み入れたのも、夢追いではなくて日本を「代表」する選手だから、入れて当然の選手たちによる代表チームの平準化というか。
実は"ジーコ"だと、当時僕は変な騒ぎ方をしていた記憶がありますが。(笑)

なんか"あえて"そうしたようにも、僕には見えるんですが。
例えばジェフでの仕事と、同じと言い切るのは、ちょっと抵抗があります。"日本化"そのものとも、あんまり関係無いようにすら。
ま、雑談です。

・・・・ああ、日本化はもう済んだから、次は世界規格化だという、そういう順番だったのかも。
やっぱりもう完成してたのか。(当時も言ってましたが)
今週の所長さん


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