2011年07月18日 (月) | 編集 |
いや、なんか。エラいもん。
ドイツ女子W杯’11 日本代表 ○2-2(PK3-1)● 米国代表(フランクフルト)
黙々と奇跡。
「粘り勝ち」(佐々木監督)と、言葉にしてしまうと非常にありきたりですが、ほんとにそうだと思います。
ドイツ戦ほどの絶望感は無かったですが、この試合も特に攻撃時の体格的ハンデ、おつりの無さというのは技術だけでカバー出来るレベルのものではなくて、仮に"ベスト"のプレーをやり続けたとしても、基本的に得点はまぎれや針の穴を通すセットプレーでしかもたらされないだろうという感じで、実際そういう2点だったと思います。
いやほんとね、ここまでシュート力の無い(劣勢な)チームが最後まで勝ち切るなんて、どのレベルの大会でも僕は見た記憶がありません。
お決まりの"決定力"ではないし、攻撃の形が無いわけでも技術レベルが低いわけでもない。ただただシュートの瞬間の体勢的体力的余裕が、突き抜ける為の余力が無くて、苦心惨憺ボールを運んでも、シュートの直前までで力尽きるという感じ。
勿論どんなサッカーでも、得点には運も必要ですし、セットプレーの占める比重は大きいわけですけど、それだけで勝ち切れることもまた無いわけで。一試合ならともかく。
どんなチームにも勝利の可能性はある、優勝の可能性はある、でもその"どんな"というのは一つの言い方であって、実際には勝てるチームや優勝できるチームというのはかなりの程度決まっている。"全て"のチームにその可能性があるというのは、あくまで理論的な可能性でしかない。
しかしそれを、この最高峰の大会でこのチームは実現してしまった。何たる。
じゃあ僕はこの優勝が"運"によるものだと言うのか。答えは・・・・イエスです。誤解を恐れず言えば。
一つ一つの結果、特に得点シーンはラッキーや出来過ぎ(上手く行き過ぎ)だと思いますが、しかしこのチームの凄いのは、一定の確率でいつかめぐって来るそれらを、それらがめぐって来るその時まで待てる、言い換えれば来たるべき「偶然」を待って、偶然以外の自力で出来ること、「必然」を、全くぶれずに同じクオリティでやり続けられる力、その部分だと思います。
それを佐々木監督の言葉に便乗すれば「粘り」と、僕も呼びたいです。
尋常の"粘り"ではないですよ?
それこそ、「理論的可能性」の範疇。下手すると精神論者の理想境(笑)。頑張れば何でも出来る!!出来ないのは頑張りが足りないからだ!!
勿論そんな単純な話ではなくて、例えば彼女たちのやったことを、「偶然」と「必然」の対比になぞらえて別の言い方をすれば、"シュート"(とその直前)以外の出来ること、技術的工夫は、ほぼ全て完璧にやり切っている、だからこそ同じ偶然を当てにするにしても効率的に当てに出来る、それさえ来ればちゃんとそこからベストの結果を引き出せると、そういうことも言えるわけです。
あちらこちらに穴が空いていては、せっかくいい風が吹いても乗れないと、まあそんな感じです。
これまたどんなチームにも出来ること出来ないこと、得意なこと不得意なことというのは、その整理は必要でかつ力にはなるわけですが・・・・まあそうそう辛抱し切れるものではないです。「出来ること」だからといって、そうそう完璧に出来るわけでは。幸運が来る前に自滅したり、出来ることすらやり切れずに後退するのが、むしろ普通。
特に「出来ない」こと「不得意な」ことについての敵との差が、大きい時には。望みがはかな過ぎて待ち切れない。
そういう意味で今回のチームの集中力と持続力は異常で、近いものとしては男子のアトランタ五輪(ブラジル戦)のチームくらいしか、僕は思い浮かばないです。・・・・つまり極端に言えばあの"コロコロ"ゴールみたいなのが、今回のドイツ戦やアメリカ戦での一つ一つの日本代表のゴールの本質的な性格だと、そう思うということですが。
勿論戦術的には今回のチームの方が、遥かに洗練されていると思いますが(笑)、ただ懸ける想いや敵の相対的強大さという点では、男子で比較対象とするにはあの頃にまで遡らないといけないのかもなという。
一方で物凄いハイクオリティではあるんですけどね、今回のチームは。体格差さえ考慮しなければ。
特に、配れてキープ出来て勿論潰せるアンカー(阪口)に、長めのパスで堅実に組み立てるゲームメーカー(宮間)+一撃必殺のスルーパスとドリブルの大野の二段構え、そして万能の澤という中盤の構成は、ほとんど"ドリームチーム"で、そうそうお目にかかれる組み合わせではない。
他のポジションも、よく知らない僕でも十分に長年の"女子サッカー"の発掘と育成と選別の成果と厚みを感じさせられるメンバーですし。永里と岩渕という特徴のある二人が、思うように機能出来なかったのは残念でしたが。
川澄って多分、"日本人ストライカー"としての、一つの理想像的選手なんじゃないですかね。
あえて言えば男子の岡崎的ですが、技術的にはもっと気が利いてるし。しかも可愛いし。(笑)
まあ僕は熊谷さん押しですけど。
安藤はさすがに、もうちょっと決めないと。悪い意味でも日本人的に。(笑)
今後も基本的にこういう方向で女子サッカー(代表)は進んで行くんだろうと思いますが、どこまで今の神がかり状態を更新して行けるのか、興味深いです。
結構持ちそうな気がするんで、怖いですが。澤の去就という問題はまた別にしても。
アメリカはアメリカで、感動的でしたけどね。"壮麗"というか。
強いとか上手いとかいうだけでなく、何とも言えない"華"がありました。
プレスかけても貧乏臭くない(笑)。パワープレイでも優雅。
あんまりそれに還元しちゃうのはあれですが、でも真面目に見てくれも、つまり一人一人の"プロ"アスリートとしての美しさの完成度も、なんか他のチームとは異次元に感じました。単に美人不美人ということではなく(笑)。さすがショービズの国だなと、感じざるを得ませんでした。"見せる"ということについての緊張感が、ちょっと違うと思います。
特にワンバックさん(20番)は惚れましたわ。
なんちゅう品格。
彫刻のような、舞台女優のような。
試合後の祝福の仕方も、実に絵になってましたね。
一方で外した時の悔しがり方は、微妙に可愛い。(笑)
まあユニホームのデザインも、なんかお洒落でしたね、アメリカは。あれいいと思います。
しかし”W杯優勝”とは。
恐ろしい字面だ。
(女子サッカーでは)五輪の権威が対等以上なのが、こちらの平常心を保つ為にはむしろ救いというか。(笑)
おめでとうございます。
ドイツ女子W杯’11 日本代表 ○2-2(PK3-1)● 米国代表(フランクフルト)
黙々と奇跡。
「粘り勝ち」(佐々木監督)と、言葉にしてしまうと非常にありきたりですが、ほんとにそうだと思います。
ドイツ戦ほどの絶望感は無かったですが、この試合も特に攻撃時の体格的ハンデ、おつりの無さというのは技術だけでカバー出来るレベルのものではなくて、仮に"ベスト"のプレーをやり続けたとしても、基本的に得点はまぎれや針の穴を通すセットプレーでしかもたらされないだろうという感じで、実際そういう2点だったと思います。
いやほんとね、ここまでシュート力の無い(劣勢な)チームが最後まで勝ち切るなんて、どのレベルの大会でも僕は見た記憶がありません。
お決まりの"決定力"ではないし、攻撃の形が無いわけでも技術レベルが低いわけでもない。ただただシュートの瞬間の体勢的体力的余裕が、突き抜ける為の余力が無くて、苦心惨憺ボールを運んでも、シュートの直前までで力尽きるという感じ。
勿論どんなサッカーでも、得点には運も必要ですし、セットプレーの占める比重は大きいわけですけど、それだけで勝ち切れることもまた無いわけで。一試合ならともかく。
どんなチームにも勝利の可能性はある、優勝の可能性はある、でもその"どんな"というのは一つの言い方であって、実際には勝てるチームや優勝できるチームというのはかなりの程度決まっている。"全て"のチームにその可能性があるというのは、あくまで理論的な可能性でしかない。
しかしそれを、この最高峰の大会でこのチームは実現してしまった。何たる。
じゃあ僕はこの優勝が"運"によるものだと言うのか。答えは・・・・イエスです。誤解を恐れず言えば。
一つ一つの結果、特に得点シーンはラッキーや出来過ぎ(上手く行き過ぎ)だと思いますが、しかしこのチームの凄いのは、一定の確率でいつかめぐって来るそれらを、それらがめぐって来るその時まで待てる、言い換えれば来たるべき「偶然」を待って、偶然以外の自力で出来ること、「必然」を、全くぶれずに同じクオリティでやり続けられる力、その部分だと思います。
それを佐々木監督の言葉に便乗すれば「粘り」と、僕も呼びたいです。
尋常の"粘り"ではないですよ?
それこそ、「理論的可能性」の範疇。下手すると精神論者の理想境(笑)。頑張れば何でも出来る!!出来ないのは頑張りが足りないからだ!!
勿論そんな単純な話ではなくて、例えば彼女たちのやったことを、「偶然」と「必然」の対比になぞらえて別の言い方をすれば、"シュート"(とその直前)以外の出来ること、技術的工夫は、ほぼ全て完璧にやり切っている、だからこそ同じ偶然を当てにするにしても効率的に当てに出来る、それさえ来ればちゃんとそこからベストの結果を引き出せると、そういうことも言えるわけです。
あちらこちらに穴が空いていては、せっかくいい風が吹いても乗れないと、まあそんな感じです。
これまたどんなチームにも出来ること出来ないこと、得意なこと不得意なことというのは、その整理は必要でかつ力にはなるわけですが・・・・まあそうそう辛抱し切れるものではないです。「出来ること」だからといって、そうそう完璧に出来るわけでは。幸運が来る前に自滅したり、出来ることすらやり切れずに後退するのが、むしろ普通。
特に「出来ない」こと「不得意な」ことについての敵との差が、大きい時には。望みがはかな過ぎて待ち切れない。
そういう意味で今回のチームの集中力と持続力は異常で、近いものとしては男子のアトランタ五輪(ブラジル戦)のチームくらいしか、僕は思い浮かばないです。・・・・つまり極端に言えばあの"コロコロ"ゴールみたいなのが、今回のドイツ戦やアメリカ戦での一つ一つの日本代表のゴールの本質的な性格だと、そう思うということですが。
勿論戦術的には今回のチームの方が、遥かに洗練されていると思いますが(笑)、ただ懸ける想いや敵の相対的強大さという点では、男子で比較対象とするにはあの頃にまで遡らないといけないのかもなという。
一方で物凄いハイクオリティではあるんですけどね、今回のチームは。体格差さえ考慮しなければ。
特に、配れてキープ出来て勿論潰せるアンカー(阪口)に、長めのパスで堅実に組み立てるゲームメーカー(宮間)+一撃必殺のスルーパスとドリブルの大野の二段構え、そして万能の澤という中盤の構成は、ほとんど"ドリームチーム"で、そうそうお目にかかれる組み合わせではない。
他のポジションも、よく知らない僕でも十分に長年の"女子サッカー"の発掘と育成と選別の成果と厚みを感じさせられるメンバーですし。永里と岩渕という特徴のある二人が、思うように機能出来なかったのは残念でしたが。
川澄って多分、"日本人ストライカー"としての、一つの理想像的選手なんじゃないですかね。
あえて言えば男子の岡崎的ですが、技術的にはもっと気が利いてるし。しかも可愛いし。(笑)
まあ僕は熊谷さん押しですけど。
安藤はさすがに、もうちょっと決めないと。悪い意味でも日本人的に。(笑)
今後も基本的にこういう方向で女子サッカー(代表)は進んで行くんだろうと思いますが、どこまで今の神がかり状態を更新して行けるのか、興味深いです。
結構持ちそうな気がするんで、怖いですが。澤の去就という問題はまた別にしても。
アメリカはアメリカで、感動的でしたけどね。"壮麗"というか。
強いとか上手いとかいうだけでなく、何とも言えない"華"がありました。
プレスかけても貧乏臭くない(笑)。パワープレイでも優雅。
あんまりそれに還元しちゃうのはあれですが、でも真面目に見てくれも、つまり一人一人の"プロ"アスリートとしての美しさの完成度も、なんか他のチームとは異次元に感じました。単に美人不美人ということではなく(笑)。さすがショービズの国だなと、感じざるを得ませんでした。"見せる"ということについての緊張感が、ちょっと違うと思います。
特にワンバックさん(20番)は惚れましたわ。
なんちゅう品格。
彫刻のような、舞台女優のような。
試合後の祝福の仕方も、実に絵になってましたね。
一方で外した時の悔しがり方は、微妙に可愛い。(笑)
まあユニホームのデザインも、なんかお洒落でしたね、アメリカは。あれいいと思います。
しかし”W杯優勝”とは。
恐ろしい字面だ。
(女子サッカーでは)五輪の権威が対等以上なのが、こちらの平常心を保つ為にはむしろ救いというか。(笑)
おめでとうございます。
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