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アルベルト・マングェル『読書の歴史 ~あるいは読者の歴史』
2014年12月27日 (土) | 編集 |
読書の歴史―あるいは読者の歴史 (叢書Laurus)読書の歴史―あるいは読者の歴史 (叢書Laurus)
(1999/09)
アルベルト マングェル

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まあ"読書日記"なんですけどね。
読み始めた早々に付箋だらけになって、こりゃ単品扱いじゃないと駄目だなと思って、こういう形に。
まだ全然最初の方です。だらだら読んでくつもりなので、何回で終わるか何回書くか、それは今後の内容次第。(笑)

書店員バイト時代に盲目の大作家ボルヘス(Wiki)の、代読というか朗読のパートナーを務めていたという経歴を持つ(アルゼンチン人の)著者による、「読書」そのものの研究書。
大したきっかけですな。(笑)

ちなみにそのエピソードの中で、しばしばボルヘスがその朗読を中断させて、いちいち注釈や感想を述べながら読み進めるのが楽しくて仕方が無かったということが語られていて、僕のこの"読書日記"も毎回少しでもそんな趣が出てくれればいいなとか。超はばかりながらですが。(笑)

では行きます。


1.「読書」の認知的構造

言語能力の"先在"性

ただ、どちらの側の脳も、その人が実際に言語が使われる環境に置かれない限り、記号化もその解読も始まらないというのである。
したがって、世界で最初の写字生が文字を刻み、これを語る時までには、人間の身体は、既に読み書きできる能力を有していたのだが、ただ、それが実践されずにいたということになる。
(p.49下)

前段にポール・ブローカらによる言語機能の大脳の左半球への局在という有名な古典的研究の話が出て来て、更にそれが条件次第では右半球にも発達し得るという補足を経ての、箇所。
ちょっと一文目と二文目の繋がりが僕にはよく分からないんですけど(笑)、結論としてはとりあえず、言語を使う中で言語的な脳が発達したのではなくて、先に"言語的な脳"が用意されてかつ普遍的な「言語能力」が準備されて、その後で置かれた環境や条件に従って具体的な言語能力・読書能力が花開くという、そういう話。種の進化としても、個人の発達のプロセスとしても。

・・・この後もそうなんですけど、正直この著者は理系の思考に余り強くなくて(多分僕以下(笑))、読んでても論理的繋がりはぼんやりしていることが多いので割りと結論を丸のみする形で読んでるんですけどね。ミニマムには、そうなら面白いねという感じで。(笑)
ただ論旨的には、そんなに変わったものではないと思います。(だから丸のみも出来る)
例えば「生成文法」という考え方とか。

 「人間は幼児期に触れる言語が何であるかにかかわらず驚くほどの短期間に言語獲得に成功するが、
 これは言語の初期状態である普遍文法(英: universal grammar, UG)を生得的に備えているためである
 と考える。」(生成文法Wiki)


それはそれとして

実際に文字を「読む」、それどころか眼前に開かれた書物のページを「見る」前から、我々は文字が読めたのだというこの認識は、事物が知覚される以前から既に何らかの知識が我々自身の内にあるのだというプラトン的な考えを想起させるものである。
(同上)

まあ言いたくはなるでしょうね。連想したくというか。(笑)
この"読む前に知っていること"という話は、後でプラトンの師匠のソクラテスの話としても、取り上げます。


聴覚と視覚、音声と記号

モントリオールのコート・デ・ネージュ病院のアンドレ・ロッシュ・ルクール教授によれば、話された言葉を聞くだけでは、どちらの側の脳にしても、言語能力を発達させるのに十分ではないという。
この能力が発達するためには、視覚的な記号の中に込められた意味を理解することを教えられなければならないのだという。つまり我々は、読むことを修得しなければならないのである。
(p.50上)

項目を分けましたが、ほぼ直後の箇所です。
ルクール教授の研究というのは、読む限り要するに言語機能が局在するとしても、脳の特定の箇所の障害が表す言語機能の障害が妙に限定的で、遺伝的に準備された脳構造だけでは「言語能力」の全体性は形成・決定出来ないというそういう研究のようです。(つまり+"読むことの修得"が必要になる)
それは分かるんだけどそれがどうして上の「聴覚」と「視覚」の話の説明になってるのか(はず)、この著者の書き方ではよく分からないんですよね。
ではなぜそもそも僕はこうまとめたかというと、この項のまとめがこうなってるからです。

中国や日本で同じ研究に従事した研究者の報告は、事態はさらに複雑である。彼らの報告は、表音文字のアルファベットではなく漢字という表意文字を読む習慣のある患者の場合、その調査結果が全く異なっていて、そのことは、表意文字に関する言語機能を司っているのは、脳内の全く別の場所であるかのように考えられるからである。
(p.50下-p.51上)

「聴覚」「視覚」の話に始まって、「表音文字」「表意文字」の話で終わっているわけですから、繋がってるのは確かでしょう。ただ間の説明がよく分からない。(笑)
ま、僕が面白かったのはただ一点、「表音文字」圏の脳障害者と「表意文字」圏の脳障害者とで、研究結果が全く違ったらしいという、そのことです。その"違い"の意味はともかくとして。
ということはつまり、それ以前に違う脳の使い方をしている可能性は、当然高いですよね。影響している部位が違うわけですから。
・・・『読書日記』なら、この程度の示唆でいいわけです(笑)。「レポ」「書評」なら、そうはいかなくても。
そしてこれは、『読書日記』です(笑)。形が変則なだけで。お見知りおきを。(?)


眼球運動

読書をしている時、我々の目は、何かに妨げられることなく滑らかにページに記された文字の行に沿って動くものであると一般には考えられている。(中略)
ところが実はそうではないのだ。一世紀ほど前、エミール・ジャヴァルというフランスの眼科医が、我々の目は実際にはページの上を跳ね回っているということを発見した。この眼球の瞬間的運動は、毎秒三~四回起こり、一秒で約二〇〇度ほど角度が変化するという。
(中略)
我々が実際に文字を「読む」のは、まさにこの眼球運動が停止するきわめて短い時間に限られるということになるのである。我々は、ページ上のテクストやスクリーン上に巻物のように繰り広げられるテクストを連続的なものとして理解し、そこに記された文章や文章に表現された思想を読み取るわけだが、実際に起きている眼球の瞬間的な運動は、どうしてこの連続的な理解に影響を与えないのであろうか
(p.51下-p.52上)

前段は単純に事実として面白いですね。
頻度とか角度とかはちょっとそれだけでは多いのか大きいのかよく分からないところがありますが、とにかく文章の流れ通りには動いていないというのが。
後段はどちらかというと、著者の解釈。疑問ありですが。(笑)
眼球運動が「停止する」瞬間だけ見ているというのは、この著者の科学的知見が信用出来るなら"面白い"指摘なのかも知れませんが・・・どうでしょ。
まず全体として言えるのは、これは「読書」のシステムというよりは「視覚」のシステムだと思うんですよね。だからこの一見忙しない眼球運動も、物を見る"妨げ"であるというよりは、むしろ"方法"である可能性が高い。同様に著者の言う「きわめて短い時間」の停止というのも、短い"のに"読めるのではなくて、逆に短い"から"こそ読めるのではないかと直感的には思いますが。それ以上停止すると、逆に知覚が形成出来ないとか。
勿論僕も別に専門家ではないので、勘で言ってるだけですけど。ただ人間の視覚像(網膜像)はそもそも"連続的"なものではなくて、言わばぶつ切りの連続写真を脳が"解釈"して滑らかな映像として知覚している、ということくらいは聞いたことがあります。(研究を見たことがあります)
だから著者が疑問に思うのは分かるんですけど、疑問の方向がどうもずれてる気がします。"運動"は(笑)ではないというか、「連続性」の問題の根本ではないというか。連続性がデフォルトであってそれが阻害されているのではなくて、不連続性(運動性)が先にあって、それをどうにか連続性に仕立て上げているのが、人間の知覚の世界なんだと、それが僕の了解です。

前段のより高次な、「意味」の形成については、確かに眼球運動による読み順の不連続が、どのように影響を与えているのか機能しているのか、興味があります。・・・恐らくは"順番"という「通時」性を、無化するような「共時」的な作業が、最終的に意味形成を完成させているんだろうと、推測出来ると思いますが。
ただそれ以前の"視覚"のレベルについては、僕らが心配しても仕方が無いというか(笑)、ほっといても脳が勝手にやってくれることでしょうし、脳科学者が勝手に研究してくれるでしょう(笑)。文系的想像力のしゃしゃり出る場所ではないだろうと。(笑)


今回はここまでです。
量的にも質的にもやや薄めですが、著者が理系的なことを扱うのはこのパート限りのようなので、切りがいいところで。
・・・なんかすいませんね、取っ散らかってて。ちょっと読んだだけでも、興味深い部分は沢山あるけど全体として押すほどの本ではないなと分かってバラで書き始めちゃったんですが、ここまで"まとめ"に苦労するとは思いませんでした。(笑)
次からは著者も自分の土俵なので、もう少し通りのいい内容になるはずです。

以上、今年最後の"読書日記"でした。(念押し(笑))


(その2)書きました。('15.2.19)


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テーマ:読書メモ
ジャンル:本・雑誌
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