特にどうという話、どうというアルバムではないんですけど、Amazonで10000円も払って買ったので、少し元取ろうと思って。(笑)
今年最後の更新のネタに。
Wiki より。無名のギタリストであったKUNIは1983年に渡米し、現地で一流のミュージシャンと交わりながらソロ・アルバムを制作、 1986年に『Masque』を発表した。
"無名"というのは日本でですね。数奇な音楽生活を送っている、変わり種の日本人ギタリストのデビュー・ソロアルバム。
まあ何でしょうね、日本での無名っぷりと、えいっと出てみた"本場"での認められっぷりが、何となく三浦知良的な部分のある人です。特に"凱旋"はしてませんけど。(笑)
メインに支えているのは、交友関係の深かったらしい、フランキー・バネリ(ds)、チャック・ライト(b)の"クワイエット・ライオット"組ですが、アルバムの売りとしてはむしろゲスト的に参加した、当時ようやくD・L・ロスバンドへの参加このデビュー盤に参加したのは、ビリー・シーン、フランキー・バネリ(英語版)、チャック・ライト(英語版)、カル・スワン、ケヴィン・ダブロウ、ニール・タービン(英語版)、ジョン・パーデル(英語版)、奥本亮(英語版)など。
で名前の知られ出した、バカテク・ベーシストのビリー・シーンと、直後('87)に"ライオン"という歴史に少しだけ(笑)残る愛すべき好メタル・バンドを結成
する、カル・スワン(vo)とマーク・エドワーズ(ds)のコンビの方かなと。
名前にインパクトがあるというのもそうですし、全体としてはLA/アメリカンなメタルサウンドな中で、ビリー・シーンの"クラシック"気質やカル・スワンのイギリス(スコットランド)人魂と、言ったって日本人であるKUNIの情緒豊かなギターが"異郷"で魂の邂逅を果たした的な、そういう風情はあります。
特にカル・スワンと絡んだ8曲目、ソウルフルな『Restless Heart』は、人気の高い曲ですね。ビリー・シーンとの絡みは、いかにもまだ"ゲスト"的な部分も大きいですが。
といって別にKUNIは無理にアメリカン・サウンドに合わせているわけではなくて、自分を認めてくれたアメリカのメタル・シーンの空気、ストレートで軽快なメタル・サウンドを伸び伸びと表現しながら、そこにナチュラルに彼のギターの陰影感が絡んで行く感じはとてもいいです。なんだかんだ僕は、上の大物"ゲスト"陣の絡まない、捻りなくストレートな1曲目『When We Rock』~2曲目『Love Taker』の流れが一番好きかな。
その"アメリカン"な部分を、今度はより商業的に"バンド"として、意図的に全面展開したのが、次の『Lookin' For Action』('88)。
これは結構評価も高い、確かに完成度は高い作品なんですけど・・・僕はちょっと。あんまり。
誰でも作れそうというか、余りに日本人ギタリストの、"就職活動"的というか。不自然な感じ。
その後は・・・
1993年に帰国。ギター演奏から離れてA&Rとしてヴァン・ヘイレン、エアロスミス、オジー・オズボーン、キッス、B'z、ボン・ジョヴィ、Mr. Bigらを手掛けた。
へええ、そんなことになってたんだ。
ちなみに年代的には、上のアルバムにはまだ関与していません。有名なので挙げておきましたが。(笑)
とにかくビリー・シーンとの縁は続いていたということで。
1988年にはレコード・レーベルとしてZAIN RECORDS下にBIG M.F.を起ち上げ、ビリー・シーン、シェーン・ガラース、ジョージ・リンチ、ポール・ディアノ、イナフ・ズナフ、バリー・スパークス、MR. ORANGEらの作品を制作。
また自身の作品としてアルバム『FUCKED UP!』を2000年に発売した。
松本孝弘?どれだろう。B'Z知らないんで分かんないですけど。これはエリック・シンガー、デイヴ・スピッツ(英語版)、デレク・セント・ホルムズ(英語版)らと1990~1992年にかけて録音した音源に、松本孝弘、山口昌人、ビリー・シーン、カル・スワンらと1999年に録音した音源を加えたもの。
久しぶり(12年ぶり)の自作品ですが、録音の経緯もあって"アウトテイク"集的な感じで、'80年代の作品に比べて特に曲調に大きな変化は無いです。『Lookin' For Action』の外向きな感じと、『Masque』の内向きな感じの、中間くらいですかね。何てことは無いですけど(笑)、全然悪くはないです。
1つ過去の作品に比べた特徴、聴き所としては、さすが10年以上の付き合いを経た後だけあって、ビリー・シーンとの絡みが格段に有機的になっていること。元々相性はいいと思いますし。お互いクラシック的ヨーロッパ的なバックグラウンド・資質を持ち、かつそれゆえというのもあって、生粋の"メタリスト"である、"アメリカン・ロック"ではなく。
Mr.BIGで興味を失って以来、ビリー・シーンの近況は追ってませんが、いっそ初期TALAS
的なバンドを、二人でやってくれないかなという感じ。
クラシック、メタリック、かつポップ。
とにかくこのアルバムは、曲のコンパクトさとビリー・シーンの伸び伸びとしたベース・プレイが聴きものという感じで、あんまり"ギタリスト"アルバムではないですね。裏方歴が長かったからかな。(笑)
再びギタリストとしてティアーズ音楽事務所と契約し、2010年にLOUD PARKの舞台へ立った。その翌年、レコード・デビュー25周年を記念する2011年に、過去に録音した音源と、ギルビー・クラークやジョン・コラビ(英語版)、マーク・ボールズらと録音した未発表音源、さらにAnchangらと新たに録音した音源を加え、『KUNI ROCK』を発表。
これは聴いてません。まあ気が向けば。
しかし不思議なキャリアですね。
業界での人望があるというか、色々な人から総合的な音楽センスを認められてるんだろうなあという感じは凄くしますが。
一応まだ現役?
・・・さて最後にようやく『Masque』レビューというか、"ギタリスト"KUNIの解説ですが。
それなりに"速弾きギタリスト"の類なのかも知れませんが、テクニック的には全然大したことはありません。(笑)
デビュー当時としても、そうだったと思います。
上手い上手くないで言ったら、同じ"アメリカで知られている日本人メタルギタリスト"でも、高崎晃あたりの方が遥かに上です。ただ逆に"日本人"である意味としては、高崎晃より遥かに上です。
徹底的に"国際的"になろうとした高崎晃と、"異邦人としてアメリカに溶け込んだ"KUNIとの違いという感じですかね。
その"異邦人"性も加味して似たギタリストを探すと、マイケル・シェンカーとかかな。
KUNIの方がよりアメリカンでメタリックではありますが、ソロもバッキングも、全フレーズが満遍なく"メロディック"な感じは、よく似ています。似てるというか、"稀少"なタイプ。
オランダのエイドリアン・ヴァンデンバーグやノルウェーのジョン・ノーラムなんてのもいますが、彼らはちょっと、"メロディ"の押し方が露骨ですね。KUNIやマイケル・シェンカーはメロディックではあっても、それが曲として機能的に必要とされるフレーズに、"溶け込んで"いる感じが特徴。
そうね。技術的な中途半端さも含めて(笑)、マイケル・シェンカーとリッチー・ブラックモアの間みたいな感じのギタリストでしょうか。+"ヘヴィ・メタル世代"感。
"アルバム"としては、イングヴェイの1stに少し似てるかも。
"ギタリスト"アルバムではあるんだけど、不思議にゲスト・ヴォーカルのヴォーカルの乗りがいい感じが。
イングヴェイはあれですよね、この後に作ったどんな"バンド"アルバムよりも(笑)、この1st"ソロ"の方がそこらへんが素直で聴き易い感じがします。
・・・はて。
何か5000円台の、もっと安いのがあるな。(笑)
こんなのあったかなあ。
僕が上のを"売り切れ"にしちゃったから、出て来たのかな。(笑)
まあ何せそれでも高いので、それほど強くは薦めませんが、オーソドックスなメタルが好きな人マイケル・シェンカーが好きな人、僕の解説に興味を抱いた人は、良かったら聴いてみて下さい。
"凄く"はないけど、何かと"琴線"に触れる可能性はある、アルバム、アーティストだとは思います。
よいお年を。