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17/18NECレッドロケッツ総括 ~金と女と男とガイジン(?)
2018年03月07日 (水) | 編集 |
リーグ自体のファイナル(JTマーヴェラスと久光製薬スプリングス)は今週末に控えていますが、そこにはたどり着けずに一足先にシーズンを終了した、そして前年王者としてはかなり劇的な弱体化をしてやや物議を醸した(リーグは8チーム中5位)NECレッドロケッツについてだけ、少し総括をしておきたいと思います。

NECレッドロケッツ



結局"金"(かね)か

NEC、国内間接部門・ハードウエア事業領域で3000人削減=中計 (ロイター'18.1.30)

NEC(6701.T)は30日、2020中期経営計画を発表した。その中で、2018中期経営計画で想定していた以上に既存事業の落ち込みが顕在化したとし、固定費の削減を含む抜本的な収益構造の改革に踏み切ると表明。国内の間接部門やハードウエア事業領域で希望退職を募るなど3000人の構造改革を打ち出した。


まあビジネスのことはよく分かりませんが。

シーズン前にはロシアの有名選手コシェレワを獲得するなんてもあったので、最初は余り気にしていませんでしたが。
・・・気にしていないというのはどういうことかと言うと、そのコシェレワ獲得の失敗(?)を承けてなのかどうなのか、山田監督による「今季は純国産編成で日本人選手を鍛える」(という趣旨の)宣言を、賛否は別にして一応の"方針"として、ある程度は素直に受け取っていたということです。
加えて言うならば、昨季16/17シーズンもNECは、ニコロバという強力な外国人選手を擁しながら、試合及びシーズン終盤のみの最低限の起用で、言わば"準"純国産でリーグ優勝したという実績があったので、元々余り外国人選手を重視していないんだそういう方針なんだということも、一応納得が出来たわけです。
ただの酸っぱいコシェレワ(ぶどう)の負け惜しみではないんだと。(笑)

ところが上記のようなNEC本体の経営不振という情報や、加えて今季の新入団選手が高卒選手たった一人、しかもシーズン中人材難で苦しんだWSでもベテラン岩崎がフル稼働せざる得なかったリベロですらなく、むしろリーグの中でも選手層の厚さで定評のあるポジションであるMBの選手だったことで、どう見てもこれは能動的な「補強」とは言えない、コネなのか前から決まっていたのか、知らないですがとにかく現場の事情を受けてのものではない、特別枠的な"仕方のない"「採用」のように見えて、俄然チーム運営のやる気の無さというのが疑われるようになりました。

金が無くて誰も獲れなかったのを、無理やり"当初の方針"と強弁しただけではないのか?という。

改めて考えるとシーズン前の"コシェレワ"騒動(?)にも色々と疑問はあって、まずそもそも「噂」は本当だったのか、本当に獲りに行ったのかということが一つ。
獲りに行ってなかったとすればそもそも金が無かったということになりますし、行ったのだとすれば仮にコシェレワは獲れなかったとしても、そんな大物ではなくても必要があって獲りに行ったのだから代わりの選手を獲るべきですし、そこでいきなり"純国産"に振れるというのも極端に思います。確かに今季は来季の新リーグ移行の準備シーズンとして、ある意味成績を度外視し易いシーズンではあったんですが、それならそれでもっと前から「育成」の方針が出ていてしかるべきだと思いますし。

考えられるのは
1."コシェレワ"用の特別予算しかなかった。("ヴェルディのトッティ"みたいなもの)
2.獲得交渉の前後で、俄かに経済事情が厳しくなった。
3.現場の判断として、「大物」でないのなら要らない、半端な外国人なら日本人でいいと判断した。
あたり。

"2"が一番嘘くさいというか、都合が良過ぎる(悪過ぎる)想定だと思いますが。(笑)
1と3の間として、コシェレワが駄目となった時に、短期間で代わりを見つける為の運営の機能性や予め確保された予算が(経費も含めて)部として存在していなかったと、そういう可能性もありますね。ある意味コシェレワ獲るより大変、"程々"のでも使える選手を見繕うのは。
最初から誰も獲る気が無かったということは、やっぱり無いと思うんですよ。コシェレワに本当に行ったかどうかはともかくとして。前もっての("国産"で行くという)方針にしては、開幕時点での内外の雰囲気がバタバタし過ぎていたと思います。

最悪というか最低レベルの想定としては、実は昨季までの主力近江・鳥越両選手(後述)の唐突な引退も含めての"経済"事情で、"コシェレワ"なんて大嘘、または煙幕みたいな"真相"。駄目押しで運営の方が責任逃れでぎりぎりまで金がある振りしていて、現場を慌てさせたとか。
まあ分かりませんけどね。

とにかく要するに金が無いんだなという感触は、かなり強くなっていますね。
それはそれで仕方の無いことですけど、山田監督が分かって"正当化"したのなら、危機管理としては分からないでもないですけど結局チームを取り巻く雰囲気をおかしくしただけという感じがどうしてもします。選手は単純な戦力問題としてどのみち不安だったでしょうけど、特に僕らファンの疑心暗鬼やいらつきは、かなりのものだったというかあの発言で無駄に増えてしまったというか。後味の悪いシーズンでした。


結局"セッター"か

改めてシーズン前の"前年王者"NECの不安点を整理してみますと。

1.ニコロバの抜けたWS陣の、パワーと高さ。
2.近江あかりの抜けた、守備と繋ぎとリーダーシップ。
3.鳥越未玖の抜けたリベロ。

大きくはこの三つ。誰もが分かるというか。

加えて言うならば、

4.全日本を辞退して肘の手術に踏み切ったMB大野果奈のコンディション

というのもありましたか。

結果的にこれらがどうなったかというと。

1.ニコロバの穴 埋まらず。(埋めてないから)
2.近江の穴 埋まりはしないものの、古賀と山内がまずまず頑張って、少なくとも"サーブレシーブ崩壊"というまでの事態にはならなかった。
3.鳥越の穴 鳥越台頭まではレギュラーだった岩崎が、フルシーズン支え切ったは支え切った。少なくともVプレミア相対の中で、取り立てて弱点と言われるようなポジションにはなっていなかった。
4.あにはからんや問題なく不動のレギュラーでフル稼働。

結論として、4はいいとして2についても3についても、前任者に見劣りはするものの即ちで前年優勝チームが大崩れするような状態にはなってなかった言えると思います。それだけでは。
1は埋まってはいなかったものの、しかし上でも言ったようにそもそも昨季もニコロバはレギュラーではなかったわけで、穴は穴でもチームの"ベース"に開いた穴ではなかったはずと、単純に昨季を基準にすれば言えると思います。

しかし実際には今季のNECは、戦力の足し算レベルで"ちょっと弱くなった"なんてものではなく、ほぼ「崩壊」状態、"王者"の面影など皆無な別チームに成り下がってしまいました。最初から。そして最後まで。

なぜそうなったかというと・・・結局はセッターかなという。具体的には新人セッター塚田の起用。
一見するとよくある"戦犯"探しのようですが、単純にそういうわけでもなく。

要は近江の穴、鳥越の穴、ニコロバの穴、それぞれ苦しいながらも何とか耐えようとしていた際どいチーム状態に、止めを刺したのが塚田の起用、そこでついに耐え切れずにチームが決壊した、そういうこと。
それはセッターが"要"のポジションであるという一般論的な意味でも勿論ですが、上の1から4を見れば分かるように、今季のNECにおいて"セッター"はそもそも「弱点」として計算(?)されていなかったわけです。昨季のレギュラーセッター山口かなめは全日本にこそ呼ばれなかったものの、リーグでは際立ってと言っていいくらいの安定したかつ切れのいいトスワークで、優勝に大きく貢献していたわけです。
勿論近江や鳥越と違って引退もしていませんし、"埋めるべき穴"としては予定されていなかったわけですね。そこにわざわざ山田監督は、新人セッター塚田を起用して新たに「穴」を開けてしまったと、その負担にチームは耐えられなかったと、そういう話。

以上はある種机上の計算というか、前シーズンとの単純比較でどこが分かれ目になったかを探し出したということですが、塚田自身のプレーも良くなかったですね。ていうか良くなかったから、"穴"になってしまったわけですけど。
問題は沢山ありました、それが持ち味なのかも知れませんが硬い一方で少し乱暴な指の使い方トスの上げ方、それで安定していればまだ合わせようもあるんでしょうが軌道自体もしばしばぶれぶれ。大学時代から知っている山内とだけは物理的にも心理的にもコミュニケーションが成立している感じでしたが、それ以外の選手とはさっぱり、特に古賀とは全く合わず、タイミングはほとんど一貫してずれているし組み立て的にもある程度は古賀の役割とは言え、余りに見え見えな連続上げや丸投げにも程がある二段専用みたいな回し方で、本当に気の毒でした。バックアタックも、冗談みたいに合わなかったですね。
他にもブロードを全く使わなかったのは(終盤ようやく少し)、チームの方針と本人の技術と、両方なんでしょうかね。「速いトスだから大野の速いクイックと合う」みたいな言い方をする解説者もいましたが、それは一般論から希望的に言っているだけで、別に山口に比べて特に合うなんてことはなかったと思います。そもそも山口のトスで、長年大野は全日本選手になっていたわけですし。

まあ塚田のプレーに駄目出しするのが、目的ではないんですけどね。基本的には、使うのが悪いという話。他に埋めるべき穴が沢山あったんだから、せめてセッターのところくらい安定させておいてよという。山口がよっぽど体調不良とかならともかく。
または塚田がよっぽどいいか。
"新人"塚田の育成という観点で見ても、"外国人"や"ベテラン"の支えがある状況で初めて、そういうことは効率的に行えるんじゃないのと、これは多くの人が言っていた通り。同時に色々やり過ぎ、負荷かけ過ぎ。

とにかく単なる「弱体化」ではなく「壊した」という点で、開幕からの塚田の(根拠不明の)レギュラー起用は失策だったと思います。
あの序盤で失った自信・去年のチームのイメージを、ついに最後まで取り戻せなかったというかその後個別に出ては来たプラスポイントも、上手く"チーム"として拾い上げるベース・骨組みをあそこで決定的に壊してしまったと、そういう感じです。そういうシーズンでした。



山田晃豊という監督

と、今季については厳しい評価になってしまう山田監督ですが。
長くNECに関わって、監督としては2008年に就任して今年で10年目の長期政権。(山田晃豊Wiki)
最近4シーズンで2回も優勝しているわけで、"無能"などとはとても言えないわけですがそれはそれとして。


僕も辛うじて知っているのはここ2,3年なわけですが、山田監督/NECのバレーと言えば、「サーブレシーブを高めに上げて、攻撃(態勢に入る)枚数を増やすことを重視するシンクロバレー」とよく言われます。
これは聞くところによると現代の世界のバレーの標準に近い戦術でもあるようで、対して現全日本中田久美監督のバレーは、むしろサーブレシーブから厳密なコンビネーションで枚数よりも精度でピンポイントで点を取りに行く職人的なバレーで、これが古いと、世界標準ではないと、そういう批判が昨年の全日本活動期間中は時折聞かれました。

そしてそれとの引き合いで、山田監督の「世界標準」を賞賛する声なども聞かれたりはするんですが・・・
どうなんでしょうね。そういうもんなんですかね。ちょっと違う気がするというのが、今季を見ての僕の感想です。

まあ「戦術」自体のアウトラインとしては、そういうことでいいんだと思います。
ただでは山田監督の本質が、"世界標準の戦術家"というところにあるのかというと、そこの部分がちょっと抵抗があるんですね僕は。

では何かというと、これは"ライバル"の中田監督の方を見ると逆に分かり易いかなと。
上で言ったように「職人的」なバレースタイルを身上としている中田監督ですが、それは"戦術"として「職人」的なタイプのものを選んでいるということではなく、中田監督のバレーに対するアプローチそのものが、そもそも職人的なんだと思います。良くも悪くも。
"悪い"というのはつまり、精度頼みになり勝ちというところですが、一方で良い面は実際それで精度が上がる、戦術云々以前に"ちゃんとした"バレーになる、チームになる、基本に忠実なプレーの繋がりがチームに根付くこと。・・・これは今季、中田監督の育てた久光製薬のバレーを評して、かの名解説者ヨーコ・ゼッターランド氏も力説していたことですが。

言ってみればいわゆる「名選手型」の指導者の、体感重視現場重視の指導の比較的な成功例が、中田久美監督かなと思いますが。

対して山田監督は・・・素人臭いんですよね(笑)、一言で言って。
"戦術"というか、"思い付き"だよねどちらかというと。観念。イメージ。いいとこ"アイデア"。
勿論文字通りの「素人」なわけはないんですけど、プロレベルのプレー経験は無いですし、男女の違いはあれ"名選手"中田久美とは、やはりそれ相応の現場経験の深みの違いというものは当然あるだろうと思います。
それゆえに自由というところもあって、いい時のNECはそこらへんが楽しいわけですけど、勝てない状態を長々と見ていると、"ちゃんと"してないなあ、"薄い"なあ、素人臭いなあということは、凄く感じます。

それは大きく言えば同系の戦術を好んでいる、今季のデンソーの川北監督やその師匠格のいっときの眞鍋ジャパンなどに比べても。"戦術"はあるけど、その「下」のレベルが無い、薄い。
「戦術」的なつまり監督主導のバレーをやっているにも関わらず、コート上に監督のプレゼンスを余り感じないんですよね。「こうしたい」という希望というか方針は与えられているんだけれど、結局選手が個々の甲斐性でその場その場でやっている。
・・・"方針""結論"はあるけど"ディテール"は選手任せという意味では、少しサッカー日本代表のハリルホジッチに似てるかな(笑)。論理的にはね。別に印象的には似てませんが。(笑)

ある程度は単に未完成なチームの特徴かも知れませんが、今季に関しては特に試合中の選手交代のしっちゃかめっちゃかというか、その場のワンアイデアワンリーズンでやってるような無秩序さも、かなり目立ちましたよね。それで直接的にセットや勝ち点を逃して試合も、何試合かあったと思います(NECファンならご存知だと思いますが)。それもあって、「この人素人?思い付きマン?」という疑いが昂じてしまいました。(笑)

で、結論的に言うと、そういう山田監督の"素人"性、いい時には柔軟性でもあるそれと、「現場」を繋いでいたのが、"現場監督"の近江あかりや司令塔山口かなめといった、完成されたベテラン選手たちだったんだと思います。"バレーボール"を具体的に担っていたのは彼女たち。
それが近江が引退して山口が外されて、間を繋ぐものが無くなってしまった。それが今季の崩壊の決定因というか、"深層"かと。古賀なんてのはむしろ、彼女自身"素人"っぽいのが持ち味の選手ですからね。助けにはならない。ちなみに山田監督と古賀の組み合わせも、あんまり良くない感じがします。ある意味ではやり易いんでしょうけど、一方では安易で、いつまでたっても古賀が"玄人"になり切れない一因ではないかなと、思っているところがあります。

まあ山田監督の"10年間"を知っているわけではないのて、的外れな可能性もありますけどね。
昔は違ったのかも知れないし、それこそ近江にしろ山口にしろ、山田監督が育てたと言えば育てたんでしょうし。そこらへんはどうなのか。
とりあえずこれが、今季の山田監督を見ていて(中田監督と比べて?)、僕が感じたことです。
正直もう少しまとめて来るかとは思ってたというか、本人もそのつもりでやってたんでしょうが、ただの例年通りの「まとめ」では追いつかないくらいの底割れが、起きてしまった感じでした。


バレーは格闘技?!

V・プレミア8チーム中、唯一の"国産"チームとして1シーズン過ごしてみた実感。
強打だろうが軟打だろうが、高かろうが低かろうが、とにかく人のいないところにボールを落とせば1点は1点なので、非力で低身長だからといって絶対駄目ということはないはずなんですが。理屈の上では。実際びりではないわけですし。
ただ・・・ただね。
やっぱり人間がやるスポーツなんですよね、当たり前ですが。更に言うと、いわゆる接触プレーは無いにしても、コートを挟んで異常な近距離で異常な強打を打ち合う、実は結構"暴力"的な競技なので。

何が言いたいかというと、パワースパイク(や超高度クイック、ブロード)を打ち込まれた心の傷は、パワースパイクでしか癒せないということです。やられっ放しはメンタル的に堪える。
冗談抜きで、バシッ、ドカンという"暴力"によってひっとすぼまってしまった心を、元の大きさに復元してくれるのは味方の強打によるやり返しなんですよね。またはその期待感
それ無しにただ耐えているだけだと、どうしてもある種の"疲労"や"心痛"が蓄積する、それが一つ、今季のNECが極端に後半に弱い、スタートは良くてもセットを追うごとに失速して逆転ばかりされていた理由の、少なくとも一つではあるかなと思います。実感です(笑)。もたないんです(笑)、心が。

つまりはそれが、「外国人選手がいない」ということの、最もプリミティブなレベルでのハンデかなと。
特にNECの場合は、日本人の主力選手が極端に技巧派(代表古賀)とチビ(代表柳田)ばかりなので、"復讐"の機会が全くと言っていい程無いんですよね。強いて言えば島村のパワーはありますが、チーム事情で終盤までほとんど出番が無かったですし。将来的には廣瀬という選手もいますが、今はまだ粗削り過ぎて、敵へのプレッシャーよりも味方へのストレスの方が大きいくらいで、とても使い物にならない。(笑)

とにかくもう、疲れたよママンという、そういうシーズンでした。



以上です。(笑)


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テーマ:バレーボール
ジャンル:スポーツ
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