2019年12月17日 (火) | 編集 |
第一回、第二回。
無料体験期間中としては、これが最後。
掘っても掘っても出て来ます。(笑)
期間中他の事が全部おろそかになっていたので、いったん離れていずれ常客として帰って来る予定。
今回もほぼ読んだ順。


『オーレ!』 能田達規
ここで登場の能田サッカー漫画。
JFL降格寸前のおんぼろJ2クラブを、嫌々出向して来た市役所職員(のち球団職員)が立て直す話。
こういうストーリーに付き物のお馴染みのメニューを一揃い忠実に揃えつつ、その一つ一つに"あるある"に留まらないディテールの力強さと創意のある傑作。
ただ"傑作"であればあるほど、主人公の"仕事"が優れていればいる程、そもそもその仕事自体に"行きがかり"や"こだわり"以上のどんな意味があるのか、零細"プロ"スポーツチームの価値なんてものを「情」(じょう)や「洗脳」以外でどのように第三者に認めさせられるのかという根本的な疑問も湧いて来なくはなく、だから作者もまず自治体職員の立場からの「町おこし」という目的を公的に軸に据え、そしてある意味蛇足にも思える「世界的クラブ」までの出世という慌ただしいエピローグを付け加えたのかなと。
つまり本来それくらいの目標が無いと、一般的には存在価値が無い、税金投入や出資を依頼する名分は無いものなのではと。そうでなければ、本当に出したい人だけが金を出して細々と続けるのが分相応なのではないかと、スポーツチームなんてと、そこまで言っては"読み"過ぎかもしれませんが。
まあ他の作品を読んでないので、想像です。


『カナヤゴ』 日笠優
少女刀鍛冶師の話。
漫画としては、"素直に描いた"という以上のものではない部分はありますが、それだけに逆に、「日本刀」「刀鍛冶」の世界そのものの凄みが、"素直"に伝わって来ます。
以前こんなの


も読んだことがありますが、(日本)刀鍛冶の世界ってほんと独特の"神"(しん)の入った迫力があって、伝統的に神職と深い関係があるのも納得が行きます。日本が「神国」である可能性を、束の間考えさせるというか。(笑)


『癒やしのエステ風俗嬢』 犬原みーたん
"風俗"(嬢)ものというジャンルには独特の難しさがあって、最低限人の興味は惹けるし(だから僕も読んだ(笑))分かり易い"裏表"があるからドラマは作り易いし、ある程度のものにはすぐ出来る。でもそれ以上のものにするのは逆に難しくて、そもそも求められているのかも怪しい。
そんな中でこの作品は、恐らくは作者自身のセンス・感性によるのでしょう、現代的な風俗嬢が直面する様々な葛藤や、もう一つの軸であるヒロインとその元カウンセラーとの間の洗脳的ストーカー的な"恋愛"関係(とそこからの解放)を、単に取材しました勉強しましたという以上のはっとさせる洞察力やリアリティで描いていて、ある種"不意打ち"的なインパクトにしばしば見舞われました。「実録」ではないけれど「迫真」というか。
今のところ同種の作品しか見当たりませんが明らかに才能のある作家さんで、ヒロインが風俗を嫌になったからではなく、風俗嬢生活を通して得られた成長によって風俗の枠に収まり切らなくなって卒業して行ったように、作者自身もいずれこういうジャンルを"卒業"して行くんだろうなと、そんな予感に駆られた読後感でした。


『麻酔科医ハナ』 なかお白亜
こちらはまあ、「麻酔科医」という珍しい世界が覗けるという以上の取り柄は特に無い作品。(笑)
でもそれだけでも、読む価値はあると思います、読み難いところもありませんし。


『B(べー)ブラームス20歳の旅路』 留守key
後の大作曲家ブラームスの青春時代を、史実を基に想像して描いたストーリー。(のよう)
音楽的な素養はしっかりある作者で色々興味深くはあるんですが、作品としては明らかに分量と設定が合ってなくて、未完成以下というかこれで評価しろと言われてもなという感じ。
むしろ一番面白いのは、折々に挿入される当時の音楽事情についての解説文の方かも。


『流水さんの霊能者行脚』 流水りんこ
第一回で取り上げた霊能者斎(いつき)&小林薫ペアの周辺人脈の人による霊能物で、世界観的な共通性が多いので、補完的に読むと面白いです。あっちが面白かった人は是非。




『KIMURA~木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか~』 作・増田俊也、画・原田久仁信
こちらも第一回で取り上げた梶原一騎の自伝的昭和格闘技界漫画『男の星座』を、作者(増田俊也)自ら"引き継ぐ"つもりと公言して書かれている作品。元はノンフィクション本。
ただこちらの主人公はあちらではやや引き立て役的だった柔道家木村政彦の方で、読んだところまででは最終的に力道山とどういう感じになるのかはまだ不明。ともかく木村政彦がいかに不世出の実績を誇る柔道家なのかと、そしてこれは意外でしたが"神経質な天才柔道家"とかではなくてむしろ豪放磊落な大馬鹿タイプであった様子がたっぷり描かれます。基本「力」の柔道なんですよね、意外。


『ちゃんと描いてますからっ!』 星里もちる
父親が漫画家なんだけれど、ネームを切るところまでしかやらないので、幼い時から作業に慣れ親しんでいる上は中学生の娘たちが(密かに)絵を描いて仕上げて連載をこなしている一家の話。(笑)
まあ別に虐待とかではなくて、単に駄目なお父さんの話なんですが、背景には恐らく「絵を描くのめんどくさい!!」という漫画家としての作者の血の叫びがあるんだろうと思います。(笑)
それが切実だから、嫌な感じを受ける話にはならないというか。
漫画家の日常みたいなものも当然見れて、楽しい作品。


『牌賊!オカルティ』 片山まさゆき
麻雀における"デジタル"(純粋確率)派と"オカルト"派(「ツキ」「流れ」「経験則」等)の対立を描いた作品。
直接的には、隆盛しているデジタル派に対するオカルト派の逆襲を描いているわけですが。
勿論体裁はギャグ漫画ですし、意外と淡々とストーリーは推移するんですが、型通りの「デジタル」に対する作者の深く静かな怒りというかやり切れなさみたいなものが感じられなくはないです。
サッカー界では、そもそもちゃんとデジタルにやれるチームの方が圧倒的に少数なので("プロ"でも)、今のところはほぼ理論的な遊戯のレベルに留まっている議論だと思いますが。
何にせよ毎度この人の麻雀漫画には、独特の迫力がありますね。デジタルな実力があった上でのオカルトというか。


『コンビニいちばん!!【完全版】』 作・末田雄一郎、画・人見恵史
今回一番驚いた作品、ですかね。
大手コンビニ・チェーンのエリア別巡回指導員の世界を描いた作品で、まあ業界物としてコンビニあるあるにでも触れられたらいいかなくらいの感じで読み始めたんですが、"仕事漫画"として出色の出来で、堪能しました。
面白かったのは「ストーリー」と「キャラ」の構造で、基本的には"ケーススタディ"として主人公が担当各店舗の"問題解決"に当たる一話完結型のストーリーなわけですが、ただ定期的に出張や新規開店などはあるものの職務形態上主人公は担当エリア内を"巡回"しているわけで、結果的に同じ店舗、同じ店長なりアルバイトなりが、それぞれ違うタイプの"例"として何度も出て来るんですね。つまり「解決」はしてもやり捨てにはならなくて、"その後"がちゃんとある。店舗とそれを取り巻く人間関係が、それ自体一つの"キャラ"として成長していくわけです。
例えば探偵もので、特別な依頼人なり被害者なりが、主人公に救われたのち助手としてレギュラーに繰り上がるみたいなケースはよくあると思いますが、この作品の場合はそういうことがあちこちで日常的に起こって、「一話完結問題解決」型にしては異例の分厚いストーリー&キャラ構造を形成している。多分それは狙ったものではなくて主人公の職業形態から結果的に生じたものだと思いますが、それをやりこなせる原作者の確かな技量もあって、非常に読み応えがあります。例えば最初の"問題解決"が内在させていた別の問題やその解決のその後の影響なども結果的にフォローされることになって、「仕事」の描写としてなかなか無い本格的なものになっている。
繰り返しますがこうした特徴は必ずしも計画的なものではなく偶発的なものだと思うんですが、ストーリー作りの一般的技法としても面白いものだと思うので、是非他ジャンルの他の作家さんもやってみたらいいと思います。(笑)
作者自身コンビニ店長体験を持っていて、勿論"業界"ものとしても十分過ぎる面白さ。
時代的には「ビデオ」と「プリクラ」と「ブラウン管テレビ」の時代ですけど、特に古さは感じませんでした。


『トリック・スター』 作・末田雄一郎、画・高梨みどり
というわけで同じ原作者のものを、探してみたのがこれ。
改めて見てみると実はかなり売れっ子の原作者(末田雄一郎Wiki)のようで、モーニングの『駅員ジョニー』あたりは見覚えもあるんですけど(他『蒼太の包丁』など)、割りと泥臭い作品が多くて食指が動かない中、これは"アイスホッケー"という素材が興味深くて読んでみました。
面白いです。これも泥臭いは泥臭いんですけど、セリフの切れ味というか冗談のセンスが訳の分からない突き抜け方をしていて、スポーツ選手の世界という事もあって、ひょっとして「頭のいい脳筋」みたいなものが存在するのかな、存在するとこんな感じなのかなこういうスポーツ選手って結構いたりするのかなと、想像したりしました。
ま、基本的には原作者のセンスだとは思うんですけど。ほんと硬軟自在というか、それこそデジタルオカルト(アナログ)両方強い感じの人で、底が見えません。いずれ片っ端から読んでみたい感じですが。
ストーリーとしては、アイスホッケーのプロ化問題を背景とした話で、結構意図的にJリーグをめぐるあれこれを陰画にしている感じで(オリジナルは94年)、それはそれとして書く目的だったのかなという感じ。二巻しかないので慌ただしくはありますが。
以上。
ではまた。(笑)
無料体験期間中としては、これが最後。
掘っても掘っても出て来ます。(笑)
期間中他の事が全部おろそかになっていたので、いったん離れていずれ常客として帰って来る予定。
今回もほぼ読んだ順。
『オーレ!』 能田達規
ここで登場の能田サッカー漫画。
JFL降格寸前のおんぼろJ2クラブを、嫌々出向して来た市役所職員(のち球団職員)が立て直す話。
こういうストーリーに付き物のお馴染みのメニューを一揃い忠実に揃えつつ、その一つ一つに"あるある"に留まらないディテールの力強さと創意のある傑作。
ただ"傑作"であればあるほど、主人公の"仕事"が優れていればいる程、そもそもその仕事自体に"行きがかり"や"こだわり"以上のどんな意味があるのか、零細"プロ"スポーツチームの価値なんてものを「情」(じょう)や「洗脳」以外でどのように第三者に認めさせられるのかという根本的な疑問も湧いて来なくはなく、だから作者もまず自治体職員の立場からの「町おこし」という目的を公的に軸に据え、そしてある意味蛇足にも思える「世界的クラブ」までの出世という慌ただしいエピローグを付け加えたのかなと。
つまり本来それくらいの目標が無いと、一般的には存在価値が無い、税金投入や出資を依頼する名分は無いものなのではと。そうでなければ、本当に出したい人だけが金を出して細々と続けるのが分相応なのではないかと、スポーツチームなんてと、そこまで言っては"読み"過ぎかもしれませんが。
まあ他の作品を読んでないので、想像です。
『カナヤゴ』 日笠優
少女刀鍛冶師の話。
漫画としては、"素直に描いた"という以上のものではない部分はありますが、それだけに逆に、「日本刀」「刀鍛冶」の世界そのものの凄みが、"素直"に伝わって来ます。
以前こんなの
も読んだことがありますが、(日本)刀鍛冶の世界ってほんと独特の"神"(しん)の入った迫力があって、伝統的に神職と深い関係があるのも納得が行きます。日本が「神国」である可能性を、束の間考えさせるというか。(笑)
『癒やしのエステ風俗嬢』 犬原みーたん
"風俗"(嬢)ものというジャンルには独特の難しさがあって、最低限人の興味は惹けるし(だから僕も読んだ(笑))分かり易い"裏表"があるからドラマは作り易いし、ある程度のものにはすぐ出来る。でもそれ以上のものにするのは逆に難しくて、そもそも求められているのかも怪しい。
そんな中でこの作品は、恐らくは作者自身のセンス・感性によるのでしょう、現代的な風俗嬢が直面する様々な葛藤や、もう一つの軸であるヒロインとその元カウンセラーとの間の洗脳的ストーカー的な"恋愛"関係(とそこからの解放)を、単に取材しました勉強しましたという以上のはっとさせる洞察力やリアリティで描いていて、ある種"不意打ち"的なインパクトにしばしば見舞われました。「実録」ではないけれど「迫真」というか。
今のところ同種の作品しか見当たりませんが明らかに才能のある作家さんで、ヒロインが風俗を嫌になったからではなく、風俗嬢生活を通して得られた成長によって風俗の枠に収まり切らなくなって卒業して行ったように、作者自身もいずれこういうジャンルを"卒業"して行くんだろうなと、そんな予感に駆られた読後感でした。
『麻酔科医ハナ』 なかお白亜
こちらはまあ、「麻酔科医」という珍しい世界が覗けるという以上の取り柄は特に無い作品。(笑)
でもそれだけでも、読む価値はあると思います、読み難いところもありませんし。
『B(べー)ブラームス20歳の旅路』 留守key
後の大作曲家ブラームスの青春時代を、史実を基に想像して描いたストーリー。(のよう)
音楽的な素養はしっかりある作者で色々興味深くはあるんですが、作品としては明らかに分量と設定が合ってなくて、未完成以下というかこれで評価しろと言われてもなという感じ。
むしろ一番面白いのは、折々に挿入される当時の音楽事情についての解説文の方かも。
『流水さんの霊能者行脚』 流水りんこ
第一回で取り上げた霊能者斎(いつき)&小林薫ペアの周辺人脈の人による霊能物で、世界観的な共通性が多いので、補完的に読むと面白いです。あっちが面白かった人は是非。
『KIMURA~木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか~』 作・増田俊也、画・原田久仁信
こちらも第一回で取り上げた梶原一騎の自伝的昭和格闘技界漫画『男の星座』を、作者(増田俊也)自ら"引き継ぐ"つもりと公言して書かれている作品。元はノンフィクション本。
ただこちらの主人公はあちらではやや引き立て役的だった柔道家木村政彦の方で、読んだところまででは最終的に力道山とどういう感じになるのかはまだ不明。ともかく木村政彦がいかに不世出の実績を誇る柔道家なのかと、そしてこれは意外でしたが"神経質な天才柔道家"とかではなくてむしろ豪放磊落な大馬鹿タイプであった様子がたっぷり描かれます。基本「力」の柔道なんですよね、意外。
『ちゃんと描いてますからっ!』 星里もちる
父親が漫画家なんだけれど、ネームを切るところまでしかやらないので、幼い時から作業に慣れ親しんでいる上は中学生の娘たちが(密かに)絵を描いて仕上げて連載をこなしている一家の話。(笑)
まあ別に虐待とかではなくて、単に駄目なお父さんの話なんですが、背景には恐らく「絵を描くのめんどくさい!!」という漫画家としての作者の血の叫びがあるんだろうと思います。(笑)
それが切実だから、嫌な感じを受ける話にはならないというか。
漫画家の日常みたいなものも当然見れて、楽しい作品。
『牌賊!オカルティ』 片山まさゆき
麻雀における"デジタル"(純粋確率)派と"オカルト"派(「ツキ」「流れ」「経験則」等)の対立を描いた作品。
直接的には、隆盛しているデジタル派に対するオカルト派の逆襲を描いているわけですが。
勿論体裁はギャグ漫画ですし、意外と淡々とストーリーは推移するんですが、型通りの「デジタル」に対する作者の深く静かな怒りというかやり切れなさみたいなものが感じられなくはないです。
サッカー界では、そもそもちゃんとデジタルにやれるチームの方が圧倒的に少数なので("プロ"でも)、今のところはほぼ理論的な遊戯のレベルに留まっている議論だと思いますが。
何にせよ毎度この人の麻雀漫画には、独特の迫力がありますね。デジタルな実力があった上でのオカルトというか。
『コンビニいちばん!!【完全版】』 作・末田雄一郎、画・人見恵史
今回一番驚いた作品、ですかね。
大手コンビニ・チェーンのエリア別巡回指導員の世界を描いた作品で、まあ業界物としてコンビニあるあるにでも触れられたらいいかなくらいの感じで読み始めたんですが、"仕事漫画"として出色の出来で、堪能しました。
面白かったのは「ストーリー」と「キャラ」の構造で、基本的には"ケーススタディ"として主人公が担当各店舗の"問題解決"に当たる一話完結型のストーリーなわけですが、ただ定期的に出張や新規開店などはあるものの職務形態上主人公は担当エリア内を"巡回"しているわけで、結果的に同じ店舗、同じ店長なりアルバイトなりが、それぞれ違うタイプの"例"として何度も出て来るんですね。つまり「解決」はしてもやり捨てにはならなくて、"その後"がちゃんとある。店舗とそれを取り巻く人間関係が、それ自体一つの"キャラ"として成長していくわけです。
例えば探偵もので、特別な依頼人なり被害者なりが、主人公に救われたのち助手としてレギュラーに繰り上がるみたいなケースはよくあると思いますが、この作品の場合はそういうことがあちこちで日常的に起こって、「一話完結問題解決」型にしては異例の分厚いストーリー&キャラ構造を形成している。多分それは狙ったものではなくて主人公の職業形態から結果的に生じたものだと思いますが、それをやりこなせる原作者の確かな技量もあって、非常に読み応えがあります。例えば最初の"問題解決"が内在させていた別の問題やその解決のその後の影響なども結果的にフォローされることになって、「仕事」の描写としてなかなか無い本格的なものになっている。
繰り返しますがこうした特徴は必ずしも計画的なものではなく偶発的なものだと思うんですが、ストーリー作りの一般的技法としても面白いものだと思うので、是非他ジャンルの他の作家さんもやってみたらいいと思います。(笑)
作者自身コンビニ店長体験を持っていて、勿論"業界"ものとしても十分過ぎる面白さ。
時代的には「ビデオ」と「プリクラ」と「ブラウン管テレビ」の時代ですけど、特に古さは感じませんでした。
『トリック・スター』 作・末田雄一郎、画・高梨みどり
というわけで同じ原作者のものを、探してみたのがこれ。
改めて見てみると実はかなり売れっ子の原作者(末田雄一郎Wiki)のようで、モーニングの『駅員ジョニー』あたりは見覚えもあるんですけど(他『蒼太の包丁』など)、割りと泥臭い作品が多くて食指が動かない中、これは"アイスホッケー"という素材が興味深くて読んでみました。
面白いです。これも泥臭いは泥臭いんですけど、セリフの切れ味というか冗談のセンスが訳の分からない突き抜け方をしていて、スポーツ選手の世界という事もあって、ひょっとして「頭のいい脳筋」みたいなものが存在するのかな、存在するとこんな感じなのかなこういうスポーツ選手って結構いたりするのかなと、想像したりしました。
ま、基本的には原作者のセンスだとは思うんですけど。ほんと硬軟自在というか、それこそデジタルオカルト(アナログ)両方強い感じの人で、底が見えません。いずれ片っ端から読んでみたい感じですが。
ストーリーとしては、アイスホッケーのプロ化問題を背景とした話で、結構意図的にJリーグをめぐるあれこれを陰画にしている感じで(オリジナルは94年)、それはそれとして書く目的だったのかなという感じ。二巻しかないので慌ただしくはありますが。
以上。
ではまた。(笑)
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この記事へのコメント
>オーレ!
別に現時点でそんな義務も義理もないように感じられる段階のクラブが「○○から世界へ」系のスローガンを掲げているのを見てると、世界と強制的に接続されてしまっているサッカーという競技で地域密着しないといけないのも大変なものだなあと最近は感じますね。
別に現時点でそんな義務も義理もないように感じられる段階のクラブが「○○から世界へ」系のスローガンを掲げているのを見てると、世界と強制的に接続されてしまっているサッカーという競技で地域密着しないといけないのも大変なものだなあと最近は感じますね。
2019/12/18(Wed) 23:54 | URL | あかさたな #T5cQRYBo[ 編集]
一見大言壮語でも、ヒューマンネイチャーとしては「世界」の方がスローガンとして自然だというところもあると思います。「地域」なら立派だ正義だというのは、ポリティカル・コレクトネスに近いところがあって、実際のところそれで高揚できる人がどれだけいるのかという。だから『オーレ!』も最後そうなっているというのが、僕の解釈なんですよね。
だから"地域"(だけ)では難しいという話に、結局戻っては来ますね。
だから"地域"(だけ)では難しいという話に、結局戻っては来ますね。
2019/12/19(Thu) 21:40 | URL | アト #/HoiMy2E[ 編集]
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