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Kindle Unlimited 読み放題漫画単行本たちの感想 (第四回)
2020年01月29日 (水) | 編集 |
無料期間中限定の企画のつもりでしたが、うっかり間違って有料期間に突入してしまってたのでまた一か月分。(笑)
いい加減タネも尽きるかと思ってたんですが、尽きないですねえ全然。Kindle漫画の沼深し。


というわけで多分一回では全然終わらないですが、まずはこれまでにも取り上げた作家さんのものから。



『麻雀小僧』 押川雲太朗

『Let's Go なまけもの』の人。
作品に出て来た各地の雀豪たちが一堂に会して大会戦を行うというパターンは、福本伸行『天』の東西対抗戦あたりが有名だと思いますが、この作品は最初からそれを目指して構築された凝った作りのストーリーで、その分少しわざとらしさもありますが周到に練られた様々な"雀士"のタイプの描き分けは、やはり読み応えがあります。
その中で肝心の主人公("麻雀小僧")の打ち方が、一番に近い変則な鳴き麻雀なのも、面白いというかあえて難度が高いというか。充実し過ぎてもう当分麻雀漫画はいいかなという気にも、なるところはある(笑)作品です。真面目にこの後この作者、麻雀漫画描けるのかなというのは。




『グッバイ・ボールボーイ』『はまねこのアンサンブル』 高田桂

『サポルト!』の人がその3年くらい前?に描いた、同人誌掲載作品たち。(らしい)
一言、上手いです。上手過ぎです。可愛くないです。(笑)
・・・言い方悪かったですね、"可愛げない"に直しましょうか。(同じや)
実はこういう感想は、前回の『サポルト!』の時にも感じてはいたんですが、あれはまあ言っても"プロ"としての作品なので、"新人作家が全力でプロ仕様をクリアした完成度の高さ"ということで、とりあえずは受け取っていたんですよね。・・・それでも「ぶっちゃけ『ジャイキリ』より上手い」という(意味の)、不穏(笑)な感想が既に添えられていますが。
それに対して今回は、"同人"という紹介文から言うなれば"上手い"『サポルト!』作家さんのルーツが、よりプリミティブな段階の姿などが見られるかなというそういう興味もあって読んだわけですが、完全に当てが外れました(笑)。既に上手いというかプロ仕様というか、同人だろうと何だろうと、「高田桂」はいつどの瞬間を切り取っても「高田桂」らしいというか。(笑)
まあ僕も全然詳しくないですが、"同人"と言っても最近は要は流通形態としてそうだというだけで、古典的な意味での"アマチュア"性は必ずしも求められるものではないんでしょうけどね。ピンキリでもあるでしょうし。それにしても、僕が日頃読んでいる講談社系メジャー誌の"新人"作品やあるいは今回"Unlimited"でちらほら読んだ他の同人系作品と比べての、圧倒的な完成度の高さ洗練具合、可愛げの無さ(笑)に驚きました。個人的な資質なのか何かバックグラウンド的な理由なのか。
特に『グッバイ・ボールボーイ』は唸りましたね。"選手"と"サポーター"、それぞれの「道」を分かれて歩む幼馴染的関係の二人の少年の年月を描いた、あえて言えば模範的なサッカー文化"内"ストーリーなんですが、それをここまで読ませるとは。このひねくれ者の僕に。(笑)
という感じでまだ"創作の秘密"は謎のまま(笑)なんですが、ヴェルディサポのよしみ抜きにしても好奇心をそそられる作家さんなので、今後も研究(?)を続けて行きたいと思います。(普通に読め)
今までの題材だと、さしずめ"Jリーグの吟遊詩人"という感じですけどね。違うタイプの素材だと、どういう見え方をするのか。





『今日の授業は良い授業』 左藤真通

Unlimitedでは初めてですが、以前モーニングで『アイアンバデイ』というロボット業界の漫画



連載していた人の短編集。塾講師の授業運営の自己改革を描いた表題作や、中国の「科挙」を巡る独特の狂的な情熱を描いた作品やら将棋の"見る専"についての考察的漫画やら、どれも物凄く個性的で面白かったです。得意分野はロボットと将棋という事で、基本的にはデジタルな人なんでしょうけどね。ただそれと"狂気"に近い情念性が、妙に自然に接続されているのが独特。ほぼ"天才"という印象も受けますが、反面自虐も凄くきつい感じなので、それが今後どう出るかなという感じの人。


・・・次からは初登場の人。



『ドロユメ』 倉田青昂

僕の「今週のモーニング」系の記事をいつも読んでいる人は気が付いていると思いますが、僕はアート系の漫画というか、"絵"的な表現に意識の高い漫画には平均して冷たいというか、"一枚絵"的な上手さにはほとんど価値を置かないというか、漫画なんてのは見易さ読み易さが第一で、絵もいわゆる"漫画"的な絵、情報が多過ぎない絵がむしろ望ましいというそういう体質の人です。それに関して好みという以上の理由をあれこれ言うことも可能は可能なんですがそれは置いておくとして、ともかくこの作品は見るからにどちらかというと"アート"っぽい感じの質感の作品で、内容も「死んだとは思えないほど綺麗な死体」という紹介文で始まる"ミステリーホラー"という美意識っぷりで、逆になぜ読もうとしたのかの方が謎な部分もあるくらいですが、読んでみたらかなり意外な作品でした。
とにかく滅法読み易い。見かけ通り一枚絵の多い、セリフが少なくて絵を中心に進行していく漫画なんですが、それでいて読解や語りが停滞することが全くと言っていいほどなく、セリフが少ない分恐ろしくさくさくと読めるので、目も頭も疲れないけどめくりが追い付かなくてスワイプする指が疲れるという、変わった漫画(笑)。一巻一巻もすぐに読めてしまうので、読む時は先にまとめてダウンロードしておくことをお勧めします。(尚ここでは"全7巻"となっていますが先もまだまだあるので注意)
とにかく結構珍しい読書(漫画)体験だったので、ご報告しておきます。(笑)



『プルコギ』 富沢順, ハーロマ, 具光然

一方こちらはほぼ真逆というか、大阪のド大衆向けの焼き肉屋を舞台にしたコテコテストーリー。これはこれで振り切り過ぎ(笑)なところもあるんですけど、そもそも"プルコギ"って名前はたまに聞くけどなんやねんという興味から読んでみましたが面白かったです。
まあ"プルコギ"自体は朝鮮風焼き肉という程度の意味のようですが、この作品で主に取り上げられているのは「白肉」、つまり内臓肉を素材とする(赤肉ではない)もう一つの焼き肉世界。知らない事ばかりでしたし、それをめぐる焼き肉バトルやら在日&半島系闇社会の因縁やらのドラマ展開も、濃さと読み易さのバランスが良くて楽しめました。"必ずしも好みではないのに面白かった作品"として、『ドロユメ』と並べておきます。


「大阪」が出て来たところで、"地域"性の関連する作品でもまとめて紹介しておきますか。



『漫画 黒川温泉新明館』 柴田敏明

戦後間もない時期の熊本の温泉地黒川を舞台に、一人の跡継ぎ経営者が温泉地全体を立て直し盛り上げていく実話を基にしたストーリー。
というとなんかお仕事漫画というかビジネスハウトゥーみたいな感じですけど、中身は全然違って九州の山間部の小さな集落に住む人々の圧倒的な生活感や、少しずつ変化・発展して行く戦後日本の時代感がしみじみと伝わって来る、どう言ったらいいんでしようね、"怪奇"色抜きのつげ義春みたいな(笑)。乏しい参考材料で言えば。
一番感動するというか目をみはる感じがしたのが、地域的時代的に情報も資材も資金も圧倒的宿命的に欠けている中で、平凡な温泉地の経営を成り立出せる為の誰に教わったわけでもない細々とした試行錯誤的工夫や、必要とあらば新しい温泉設備そのものも自分で作ってしまう、それを苦労と感じてる様子もない言うも愚かな天然自然の"DIY"感覚。昔の人はすげえなというか必要は発明の母というか、超ブーメランだけど(笑)俺らやっぱり甘やかされて育ってるかなという、そんな気持ちになりました。監督の教え方がとかスポンサーの姿勢がとか、甘えた事言ってんじゃねえよ的な。(笑)
そんなに"面白く"描こうとしている感じでもないんですけど、妙に面白かったです。




『流転のテルマ』 蔵西

中華人民共和国内「自治区」より更に奥地の"西チベット"地域に行方不明の兄の捜索に向かった日本の若者の苦難の旅を描いた、紀行・冒険ストーリー。割りとオーソドックスな"少女漫画"的絵なので、少女漫画家がロマンチックな興味でエキゾチックな題材に手を出したのかなと思いましたが、どっこい作者はがっつりこの地域の愛好家のようで内容は本格的。それを描く為に漫画の方がある感じで、これがデビュー作のよう。
なんか不思議な感じの漫画です。絵はやっぱり少女漫画ですし(塀内夏子を甘くした感じ)、現地ガイドをめぐる"BL"的な関係の描写なども今時感がありますし、それと"チベット"の本格感のギャップがどうにも(笑)。どういうスタンスでどういう製作体制で描いてるのかなという。とりあえずどこに住んでるんだろうという。(多分普段は日本なんでしょうけど)
でも面白いです。山岳地帯の素朴な女の子たちも可愛いです。結構萌えます。微妙にエロいし。(笑)




『Artiste』 さもえど太郎

やや強引な分類ですが、"パリ"の漫画。パリの料理界・飲食業界を舞台にした漫画ですが。
新人らしいですが、何か盤石のクオリティ。出て来るのはフランス人ばかりですが、"借り物"感は無し。直接的には「料理」「料理人」の世界を描きつつ、それが同時に表題通りの"アーティスト"の感性の世界の描写にもなっています。
"盤石"過ぎてあんまり言うことも無いんですが、ここ(1巻のみUnlimited対象)から"料理界"の重厚な人間ドラマとして展開していくのかそれとも気弱な天才料理人の主人公の内面を掘り下げて行く感じなのか、まあ両方ではあるんでしょうけど後者の比重が高くなった方が、"興味"としては増すかな「料理」そのものを描くには向いているかなという感じですが、どうなんでしょう。




『BOOM TOWN』 内田美奈子

更に強引に(笑)、"BOOM TOWN"という商業用ヴァーチャルシティという"地域"を舞台にした漫画。
主人公は、そこに起きるバグやハッキング等の治安紊乱行為・現象の防止・抑止・取り締まりに当たる職業的専門家の一人。ただ単体の巨大な敵や陰謀が登場するわけではなく、"攻殻機動隊"よりはだいぶ日常的な治安活動を描いていて、その分ヴァーチャル領域での生活についての考察や描写もきめ細かな感じ。そこが見所ですかね。
面白いと言えば面白いのは、そこに登場・常駐している"NPC"的なヴァーチャル人格たちが、自分たちがそういう存在だという事を知っているんですよね。それによる個別なアイデンティティ・クライシスのようなものも起こるは起こるんですが、そこからよくある"AIの人間への逆襲"みたいな大雑把な話にはならずに、あくまで個別の案件・エピソードとして進行処理されて行く感じが独特かも。
淡々とした描き方もあってここが面白い!と言い辛いんですけど(笑)、こういう"先端"的でSF的な素材をそういうタッチで表現している出来ているのが、一番の特徴でありまた一番の作者の力量の証な気がします。『攻殻機動隊』も表現は抑制的ではありますが、あれは一種の"ダンディズム"としてそうなっているのであって、そういう自意識すらこの作品には特に窺えないんですよね。もっと"何でもない"事のように未来的技術が取り扱われている。(説明が難しい(笑))


まだまだ沢山あってどこで切っていいのかよく分からないんですが、一応"10作"紹介したという事で、今回はここで区切りとしておきます。


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テーマ:漫画の感想
ジャンル:アニメ・コミック
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