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「ヴェルディの選手の判断力」の問題についてのいくつかの素朴な疑問
2020年03月30日 (月) | 編集 |
元々は「サッカーにおける状況判断」についての、そこそこ長大な、しかもいったんは九分九厘書き上げたつもり(笑)の文章の冒頭部分だったんですけど、改めて見てみると結構マズいレベルで曖昧な気がしたので、まずはその部分について独立して問うてみる事にしました。
どうせまたしばらく試合も無いですし、いつもより細切れで。


ヴェルディの選手は判断力に乏しい?

'17~'18年ロティーナ'19年ホワイト&永井秀樹と、それぞれタイプは違うながらもポジショナルプレーを中心とする"欧州トップモード"的な志向を持った監督を次々と迎える中で、それ以前からも言われてはいたようですけど殊更頻繁に言われるようになったのがヴェルディの選手個々の基本的な判断力の不足で、それがそれらの監督の仕事を少なからず、時に致命的に困難にしているとそういう話。

誰とはなくいつとはなく主にツイッター上で語られるそういう意見を、特段書き留めたりもしていなかったので、改めて典型的なものを捜そうとしたら折悪しくオフシーズンを挟んでツイッターの検索範囲の厳しめの限界もあって意外と思うに任せなかったんですが(笑)、幸いブログの中でまとまった形で触れて下さっている人がいたのでまずはそちらを。

ヴェルディの長年の課題である

・ボールを保持したいのに降り過ぎるのを含めボールに近寄りすぎたり、ボールをリリースするのが早く前線に時間とスペースを渡せずビルドアップが詰まってしまう事
・スムーズなカウンターを受けて一気に置いていかれてしまう事。
・みすみすボールを手放して相手に主導権を渡してしまったり守備時に人任せというか寄せが緩い時がある事

これらは誰が監督の時でも起きているので意識して改善していかないといけないですね。

(『20190720 第23節ホーム愛媛戦』 costoros-verdy’s blog)


コストロス(@costoros_verdy)さんによる、去年の永井監督就任初戦、勝利したホーム愛媛戦でのプレーに対するコメント。
その7節後、同じくコストロスさん。

保持した時にせっかく間で受けられた時にワンタッチで叩いてしまうと相手を動かせず時間とスペースを使いきってしまうので、時間とスペースを渡していく意識づけはもう少しといった所ですね。

奪った時にボールの位置に対して前目のポジションをとるタイミングが早く、急いで攻めなきゃとなっているような事もあって出し手と受け手の意思疎通が噛み合ってないように見えますので速攻でいけるのかいけないのかという判断の擦り合わせがもう少しといった所です。

(ともに『20190831 第30節アウェイ長崎戦』)


似たような事を言われてますね。
簡単に言えば、「時間」("ボールをリリースするのが早く""せっかく間で受けられた時にワンタッチで叩いてしまうと""前目のポジションをとるタイミングが早く""急いで攻めなきゃ")と「スペース」("降り過ぎる""近寄りすぎ""相手を動かせず")の受け渡しについての判断&連携ミスで、それが「誰が監督の時でも」(or同じ監督の7節後にも)起きていると。
引用した範囲だと「時間」についての言及が中心に見えますが、「時間」と「スペース」とは言っても実際には「時間」、つまりプレーのタイミングを間違えることによって生きスペースが死にスペースになったりスペースやその中の味方の状態の有利不利も反転してしまうので、表裏一体の同じことである場合も多いですよね。勿論最初からスペースの判断・選択を間違っている場合もありますが。


続いてこの"ヴェルディの選手の基本的判断能力"問題の、恐らくはtwitter上の主唱者(笑)であるふかばさん(@VCB_25)の、もっと色々言ってたとは思いますが検索で遡れた範囲のツイートから。
ちなみに上のコストロスさんの最初の愛媛戦のまとめも、それ以前からのふかばさんの一連のtwitter上での主張への、ある種の総括的賛同という流れで書かれたものと記憶しています。

元々ボール保持するとリスクマネジメントが拙くなる悪癖(富樫体制2016年のぼこられっぷり、ロティーナ体制2018年の町田戦、ホワイト体制鹿児島戦)持ちの上にポジション遵守させると動き出しもなくなる両立できない問題の合わせ技をどう解決するか。

- ふかば(@VCB_25) 午前2:02 · 2020年2月24日

ポジションを守らせれば動き出しがなくなってチャンスが作れない。カオスアタックを敢行すればカウンター祭り、そもそも敢行する前からリスクマネジメントはやっと今意識が始まったレベル。さて……

- ふかば(@VCB_25) 午前2:08 · 2020年2月24日


(ポジションを)守ると動けない動くと(ポジションが滅茶苦茶になって)守れないの二律背反。
一見するとコストロスさんが指摘している事とは別の問題にも見えますし別の問題の部分もあるとは思いますが、「判断力」の問題としては共通もしていると思います。
つまり時間とスペースについての基本的な即応的判断が出来ていないから、守備を中心とする秩序の破綻を防ぐ為には徹底的に決め事でやらせるしかないし、決め事で作っているだけの秩序では必要な時にも自発的な判断でそれを崩す事が出来ない。あるいは攻撃的ボール保持のような動的な秩序は維持が難しく、リスク管理まで手が回らない。

ツイッター程コンスタントには書かれていませんが(笑)、ふかばさんのブログの方から関連個所を探してみると。
・・・以下全て『東京ヴェルディを巡る冒険2019 ~ギャリーホワイトの奮闘と懊悩~』('19.3.25)より。

去年(アト注・2018年ロティーナ2年目)は、できうる限り保持時でも非保持時でもエラーを減らすことが優先だった。
それは決して悪いことではない。
注文通りチームからエラーを減らしたロティーナの手腕は賞賛に値する。

それまでの指導でヴェルディの選手の判断力の不足を見切ったロティーナが、徹底的に決め事順守型の秩序維持に舵を切ったチーム作りをしたという話。
しかしそれによるチーム力の限界も明らかだったし、勿論選手の判断力も向上はしなかった。

昨シーズン、ハーフタイムに相手に修正された途端混乱に陥るチームを見ていて身に染みている。


それを承けての2019年新任のホワイト。

ギャリー・ホワイトはそこでこのチームはもう少し積極的にプレーをしなければならない、と考えている。
もちろん、今まで塞いでいた穴が問題になる。
そこは重要ではなく、その穴を「認識」して「埋められる」ように個人チーム双方ともに成長をしなければならない、と。

固定的な戦いから、より自律的な戦いへ。
そこには、スペインのトップで奮闘してきたロティーナの下でやってきた選手ならある程度そういうこともできる、という読みがあったようには思う。
結果としてギャリーは読み違えたわけだが。


通して読む際には、少し整理が必要かな。
まず"コストロス"文脈が直接問題にしているのは、ヴェルディの選手の判断力の不足によって、ロティーナが当初やらせようとしていた&永井監督が去年やらせようとしていたレベルのポジショナルプレー(と面倒なので簡単に言ってしまいます)は、当面実行困難であるらしいこと。それに対して相当程度"後退"した実行可能なレベルの部分的ポジショナルプレー(?)のようなものをロティーナは選択し、その選択の結果の保守性を問題視した、チームの"問題"の要だと認識したホワイトは(ふかばさんがここでそう書いている訳ではないですが)恐らくはロティーナが"当初"やらせようとしていたプレーより更に流動性の高い個々の即応的判断を要求するスタイルを指向し、当然失敗した、"読み違えた"と。それが"ふかば"文脈。

なるほど、「判断力」ということで上ではやや強引に関連付けてしまいましたが、つまりコストロスさんが問題にしている判断力の不足への、2018ロティーナ的対処の結果の事態をツイートの方のふかばさんは述べていて(ただし根はそれ以前から)、やはり同じと言えば同じことなんですね。
ホワイトだけは、解決されていない問題を解決済として勝手にそのを見てしまったので別物で、別にそれが目的ではないでしょうがそこからの永井体制へのチェンジは、もう一度ロティーナのレベルに難度を戻したということも、結果的には言える気がします。

ともかく、

ロティーナで洋式になってたかってーとそうではなくて、課題はやっぱ先送りされてるんですよ、色々残していったものはあっても大本はここ10年ずっと変わってない。

- ふかば(@VCB_25) 午後5:46 · 2020年2月24日


10年、ですか。(後でまた問題にします(笑))


おまけで今季開幕徳島戦後の、"新加入"大久保嘉人選手のチーム評

・行く時、行かない時の区別がこのチームはできていない
・あそこは自分がミスしてしまうようなシュート性のボールを入れれば、僕はきっちり止めます。ただ、ああいう弱いボールではディフェンスに寄せられてしまいますし、試合を通して見受けられる部分だったので最後に強く伝えました
・わざとスペースを空けているのに入ってこないとか、チャンスを作っているのにチャンスにならないのは判断の問題があります
・落ち着けるように言っているのですが、どうしても急いでしまう部分があります


やはり「時間」(タイミング)についての判断、「スペース」について、あるいは「スペース」との関係においての「時間」の判断の雑さを、総じて指摘しているようですね。
大久保レベルから見ると、いい悪いというより「お前ら"判断"してないだろ!」とすら言っているようにも見えますが、読み過ぎでしょうか。(笑)


とにかくまあ、概ねこんな類の話が、特に去年あたりからのヴェルディサークルでは一定の頻度で話題に上がっていましたよねという、この項はそういう話です。

・・・とはいえコストロスさんもふかばさんも僕のまとめでは大いに不満でしょうから(笑)、出来ればご自分でまとめ直してでもいただけると、こちらの理解も進んでありがたいかなという。(笑)



どういう意味での"ヴェルディの選手"なのか

それに対して僕自身はほぼコメントした事が無いと思いますが、それは単純に、ピンと来てなかったからです。不賛成という程ではなくても。
・・・もしピンと来てればその都度"いいね"を押していて、今回のソース探しもこんなに苦労はしなかったはず。(笑)

どうピンと来てなかったのか。

まず"判断力批判"派(カント?)の主張するところによれば、

1.ロティーナ~ホワイト~永井秀樹3代に渡る欧州系理論派監督の苦戦の、見方によっては"主因"に近いものとして、ヴェルディの選手個々の基本的な判断力の不足がある。

・・・それは直近ではそうした抽象度の高い戦術実行上特に目立ったものではあるが、実は

2.ヴェルディが長年抱えている問題である。(ふかばさんによれば例えば10年というスパンで)

これに関して現に足りていないのは確かだし、僕自身も不満を感じる、少なくとももっとレベルが高い方が望ましいと思うのは確か。
ただ"主因"とまで見るべきなのか、そしてそれが"ヴェルディの宿痾"(しゅくあ)なのかと言われると、賛成していいのかどうかよく分からないんですよね。


それを妨げている疑問としては、まずヴェルディの選手の判断力が"低い"と言った時に、

問1 それはヴェルディの選手が"特に"ということなのか。(ないし特有の判断の悪さなのか)

単により向上を望むという、自チーム選手への叱咤ではなくて。
つまりですね、例えば欧州トップシーンの選手などとの比較は置いておいて、更に自国上位カテゴリー(J1)の選手との比較も大目に見て(笑)置いておいて。要は同カテゴリーの他のJ2常駐ライバルチームの選手たちとの比較において、あるいはJ2の平均に比して、ヴェルディの選手の判断力は目立ってor特有に低いのかという事。
もしそうであるならば、たまたまヴェルディの監督になってしまった監督は災難で、上記監督たちも("失敗""限界"の部分においては)"被害者"で、"主因"はヴェルディの選手たちの判断力の低さだと、言えると思います。
でもそうでなくて、ヴェルディの選手たちのその方面の能力が高くはなくてもJ2の平均というか予算規模相応のものならば、事前に予測出来る範囲の"低さ"であるならば、"失敗"の責任をあえて問う対象としては、分かって引き受けたはずの"責任者"としての監督の方に、筋としてはなるだろうと思います。(まあそこを問題にしているわけではないですが例えばの論点)

・・・いや、答えは分からないですよ?僕は持っていません。物足りないなとは思いつつも、でもまあそんなもんだろうと思ってのほほんと暮らしていただけなので。

一つ面白いというか分かり易いだろうと思う想定としては、ヴェルディで選手の質に苦しんだ(とされている)ロティーナが、セレッソ・・・は"J1"常駐組なので上記の通り(笑)別にして、ヴェルディ以外の他のJ2常駐クラブの監督になったならヴェルディより楽に仕事が出来たのか、同様に逆に徳島で現状ヴェルディのそれよりもレベルの高いスムーズな個々の判断に基づいたサッカーを展開しているという恐らく定評だろうリカルド・ロドリゲスが、ヴェルディに来たら徳島でより苦しんでレベルの低い仕事しか出来ないのか、そう考えるのか考えられるのかという想定。
どうなんですかね。まあ単純に見てみたいとは思いますが(笑)、皆さんはどう予測されるのか。
それでロティーナどこやらがあっさり昇格して、リカロドヴェルディが徳島に比べてお寒い様相を呈したりしたら、どうもすみませんでした僕らが悪かったですという話ですが。(笑)


問2 問1がyesだとして、ではなぜヴェルディの選手の判断が特に(or特有に)悪いという事態が存在しているのか、その原因は?

逆に言うと、どのような理由から、"ヴェルディの選手の"判断が特に悪いと、考えている人は考えているのかという問いでもありますね。"原因究明"しろとまでは言わないですけど(笑)、一通りの"論拠"らしきものは欲しいなという。"ピンと来てない"勢としては。
これも勿論、主張者でない、"ヴェルディの"悪さを骨身には感じてない僕には答えが出しようが無いですが、一般論で言うとやはり、ヴェルディ自慢の育成システムに、実は特有の欠陥があるみたいな、そういう想定は当然出来ますね。いや、知りませんけど(笑)。ただヴェルディの「固有性」と言ったら、まず思いつくのはそれですから。
まあ一昔前の「個人技だセンスだ自由だついでにやんちゃだー」の"ヴェルディユース"のイメージ(ぎりぎり河野・祥平あたり?)だと、いかにも判断は勘でやってそうではありますけど(笑)、最近の三竿だ(潮音・・・は事情により飛ばす)皓太だ藤本だ森田だ理仁だとかになると、およそそういうイメージからは遠ざかりますね。"永井監督"との馴染みとかは、また別にしても。
どうなんでしょう。まあここらへんの"原因"特定の行方によって、"いつ"からなのか10年なのか何年なのかみたいな部分も、ある程度定まっては来るでしょうね。これからどうなるかの予測も、場合によっては。


関連して浮かぶ、厄介なのでいじらない方が良さそうにも思える(笑)問い。

問3 "ヴェルディの選手"とはなのか。

つまり今仮に下部組織・育成という"原因"候補について触れましたが、そうは言ってもそんなにヴェルディも毎年毎年、下部組織出身選手が大部分を占めているわけでも中核を成しているわけでもないわけですし。増して"長年"ですから。
少なくない外部加入選手や新加入選手まで含めて"ヴェルディ病"にかかるのだとすれば、その理由は何なのか、その培養母体としての「ヴェルディ」は、具体的に何を意味しているのか。文化なのか風土なのか慣習なのか(全部同じだ)、不文律なのか秘密結社なのかOB会の陰謀なのか。少しまともに考えてロティーナ以前のOB監督たちに、何か傾向や限界があったという可能性は、ぼんやり言えそうではありますが。つまらん説ですけど。それがつまりはOB会の陰謀だと、余計なオチをつけたくなるくらい。(笑)

例えば"ヴェルディらしいサッカー"とかなら、外から来た選手が意識的無意識的に"合わせ"に行ってしまう可能性も想像は出来ますが、わざわざ「判断を悪く」しようとするわけはない(笑)ので。まあそれこそ今回の大久保選手のように外部選手がヴェルディの"問題"を指摘することも定期的にはあるわけですけど、例えば10年というスケールで問題が継続しているのならば、結果的には呑み込まれてしまっているわけでしょうね。何かに。


まあ見ての通り、僕もそんなに積極的な主張があるわけではないので、こういう"素朴な疑問"を契機に、"ピンと来てない"勢にももう少しピンと来るようなより親切な説明でもいただけないかなと、そういう話です。
勿論それ以上の指摘になってても構いませんが(笑)、あんまりそういうつもりもない。
そもそも"問1"の答えが完全noだと、物凄く一般的な"判断"の話に過ぎなくなりますけどね。
さすがにもう少し強い主張を、している人はしているように見えるんですが。"ヴェルディ"の問題として。

・・・分からないなりに先取りして一つの答えを考えてみると、結局判断が"悪い"というより判断していないんじゃないかという疑問は、僕にもあります。大久保のところで勝手に飛躍しましたが。(笑)
頭が足りないんじゃなくて主体性が足りないんだという。だから特に「包括的」な判断が出来なくて、結果ばらばらの判断の集合体になる(それが"不協和"であり"不適合"になり"誤り"になる)。個人レベルでも、集団レベルでも。それならば"文化"の問題だという一見取り留めのない原因論にも、ある程度の具体性が出て来るでしょう。

ふかばさんが最近はとみに"メンタル"や"意志"に言及する頻度が高いように見えるのも、あるいはそういう事なのかなと思ったりもしますが、さて。(笑)
まあとりあえず言ってみてるだけなので、余り気にしないで下さい。
今回はこれくらいで。


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テーマ:Jリーグ
ジャンル:スポーツ
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