2020年07月25日 (土) | 編集 |

アフタヌーンだけ少し浮いてしまったので、ついでに普段は(読んでるけど)書かない女性誌2誌についても、今月は書いておこうかなと。
ちなみにアニメの方は、先週と変わらずです。
『スポットライト』
またも目を見張るような内容の新連載。
ここんとこのアフタヌーンはおかしい。
作家自体も新人らしいし。
よくあるコミュ障もののように一瞬見えますが、セリフ一つ一つのしっくり感というか核心掴んでる感がいちいち半端なくて、痛いわ気持ちいいわという。


この2コマですかね、とりあえずのハイライトは。密かに撮り溜めた憧れのコの写真を、全て消せと迫られる場面。
直接的には「当事者になれ」ということを言ってるんでしょうけど、ひいては"ファン"というあり方の根本的なおかしさというものを指摘している事にもなっていると思います。
「作品」や「技能」とかに対してならともかく、生身の人間に対して"ファン"ですという距離の取り方はおかしいんですよね。「あなたを人間だとは見ていません」という宣言になるので。
言う方が思っている以上に、言われている方は冷えた心持でいると思います。まあそういう「職業」があるのは確かですけど。
迷惑ではあっても、"ストーカー"の方が本質的にはまともだと思います。直接コミュニケーションを求める方が。
『ブルーピリオド』
「美術史」(批評)の面白さと、「歴史」だけで見る必要は無いんだとということを同時に説明している面白い回でした。
『おおきく振りかぶって』
なにげに骨っぽいキャラですよね、篠原女子マネ。
あんまり言うと安易になりますが、ここまで"女子マネ"(自体の価値観・動機)の視点が描けるのは、やっぱり女性作家ならではだなという事は感じてしまいます。
『波よ聞いてくれ』
突然の外国からのお客様。思いもよらない展開で、コメント不能。(笑)
どういう発想からのアイデアなんだろう。実際にあったことがベースになっているという可能性が、高そうですが。
『友達として大好き』
色々想いが溢れてこちらもコメント不能。
ここんとこずっとそうかも。
とにかく読んで下さい!とか、作者の導きに従います!とか、批評放棄の言葉しか出て来ません。(笑)
『メダリスト』
コーチにヒロインにライバルに、それぞれタイプの違う"度外れた熱情"がぶつかり合う、怪獣大行進みたいな話になって来ました。(笑)
『ダーウィン事変』
こちらは逆に、極力感情的にならないように描いているのが、まだハマり切っていなくて読みづらいというか面白いのか面白くないのか、判断が付きにくい状態。
"メッセージ"というのは論理だけではなくて、テンションによっても形作られるので。
『フラジャイル』
地獄のような話になって来ましたが、そこから"医師"も含めた「専門家」と「一般人」の関係性全般の危うさの問題にまで話を持って来たのは、さすがだなと。
・・・比べると『ダーウィン事変』は言いっ放しな感じで、自分の"指摘"を最終的にどのように"問題"化したいのかが、よく見えないところが難点。どうだ、俺賢いだろうと言っているだけというか。(今の段階では)
弁護士の件に戻ると、どこまでが「倫理」の問題でどこからが「詐欺」の問題になるのかが、よく読まないと難しくてなかなか分からないですね。多分非法律家からは最初から全部詐欺に見えるんで。(笑)
『マージナル・オペレーション』
戦闘そのものよりも、その戦闘をこれから誰かに"売りつけ"ないといけないという局面の方が、地獄感ありますね。

初登場&今後登場するかも未定なので、作品紹介的なことを中心に。
『御手洗家、炎上する』
昼ドラ的な女の陰謀と復讐の話なんですが、変に品がいいのが不思議な作品。
それ以上の何かを見ている作者の視点が、堅固に存在し続けているというか。
『モトカレマニア』
スタート時の"モトカレマニアなダメ女の生態"的な話から、二転三転して相当遠いところまで来ていると思うんですけど(笑)、あんまり作者が動じてない感じが面白いと思います。(て、これは"読者"向けのコメントですね、"紹介"というより(笑))
『無能の鷹』
仕事の「有能/無能」の枠組みを破壊的なまでに広げてしまった、空前絶後の"ビジネス"漫画。
むしろこれからお仕事漫画を描こうとする人は、読まない方がいいんじゃないかという。(笑)
描けなくなるから。
『やんごとなき一族』
これも昼ドラ的な「名家の女たち」ものなんですが、同様に一定の品が保たれているのが"新世代"感ありますね。
一周二周した後、改めて描かれている感というか。
『世界で一番早い春』
『少女漫画』であることと『SF漫画』であることと『漫画家漫画』であることが、不思議なくらいにフラットに結び付いている作品。
"タイムスリップ""パラレルワールド"もの、"SF"としての謎解きの面白さは本格的なんですが、作品全体のトーンは"SF"的情緒とは無縁の正統"少女漫画"なんですよね。恋愛漫画というか。
『おいおいピータン!!』
結構真剣・深刻な"女の悩み"漫画なんですが、"フェミニズム"臭というか"女陣営"に立てこもらないいい意味の俗っぽさが面白い作品だと思います(笑)。読み易いというか。

EKISSと同様の方針で。
『ふたりぐらし』
どうしてこうした?という感じの余りにもありふれたタイトルで、内容も"タイプの違う女二人の不思議な友情関係"とでもまとめられるだろう、基本的にはよくある感じなんですが、それぞれのパーソナリティと関係性の"壊れ"っぷりというか"不思議"さが予想を遥かに越えて来て、結論"新しい"なと感じさせる作品。
説明難しいなあ・・・(笑)
『漂流真珠』
個人的には余り好きではない、レトロというか大正ロマンティシズムタイプの恋愛漫画なんですが、そういう味わいがありつつも"型"にはまらない瑞々しさが心地良くて、読める作品。
『上京したあの子』
これもまあ、『ふたりぐらし』同様の"同居"ものというか"奇妙な友情関係"もの的なシチュエーションものに一瞬見えるんですが、ヒロインの"不器用な恋愛"の意外な力強さで、毎回思わぬ着地点に導かれる作品。
"入り口"は割りと普通なんですけど、"出口"が違う。
油断大敵というか。不意打ち御免というか。(笑)
『透明なゆりかご 産婦人科医院看護師見習い日記』
タイトル通りの作品です。
予想通りではありますが、期待通りの読後感。
『さよならしきゅう そのあと』
子宮摘出の大手術をした女性漫画家の闘病&奮闘記。
これもまた"予想通りで期待通り"の作品。
別に手抜きではなく。(笑)
まあ堅いんですよね、こういう題材は。
『サギ、欲情に鳴く』
これも説明が難しい。
自虐女と確信犯的モラハラ夫とコミュ障非モテ少年のトライアングル。
いかにもありがちではあるんですけど、一つ一つ(一人一人)の描写の深度がただ事ではないというか、"ありがち"で流せない緊張感をこちらに与えて来る新連載作品。
今月の回で、「サギ」を象徴とする(ネイティヴ・アメリカン的)"自己探求"の物語であるというテーマが表明されましたが、その行方やいかに。
『ON THE ROAD GIRLS』
都市&現代の常識の通用しない田舎に里帰り(都落ち)したヒロインが、因襲と女同士の足の引っ張り合いに巻き込まれて激闘を続ける作品。
割りと伝統的な枠組みだと思いますが、力作。
『リカラフル』
『世界で一番早い春』とある意味同種の、「女性漫画」文体のまま本格「SF」設定の動いている作品。そういう世代(安易な言い方ですが(笑))が存在しているんですかね。
おまけ。必ずしも"好き"な作品ではないんですけど。
『サイソウフレンズ』
いじめて自殺させてしまった(多分。不明な部分多し)高校のクラスメートの体に、大人になってからタイムスリップして過去をやり直す作品。
"いじめ"の描写もタイムスリップ関係のややこしさも、やや"徒"(いたずら)な感じで余り好みではないですが、作者なりに真摯な思いで描いていることは伝わって来ます。
ただ"いじめ"ってそれ自体に"取り込む"力みたいなものがあるので、ガッツリ「描写」する(できる)こと自体に不吉なものを感じて余り賛成出来ません。本当に嫌なら描けない筈というか。
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