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メモ : "マインドフルネス" (とワーキングメモリー)
2022年12月21日 (水) | 編集 |
なんか唐突ですが。(笑)


Amazonプライム・ビデオのネオ西部劇&SFドラマ『アウターレンジ 領域外』(2022)を見ていたら、待ち合わせ場所に先に来ていて時間潰しに何やら瞑想めいたものをしていた謎の美女("オータム")

ImogenPoots_OUTERRANGE

が、振り返りざまに「今マインドフルネスをやってたの」と言う場面があって、何だろうとなったのが知ったきっかけ。(先月)

早速Wikiを見てみると・・・

マインドフルネスWiki

現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程
・「今この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに捕らわれのない状態で、ただ観ること」といった説明がなされることもある

・とりわけ新しい考え方ではなく、東洋では瞑想の形態での実践が3000年あり、仏教的な瞑想に由来する
・仏教の重要な教えである中道の具体的内容として説かれる八正道のうち、第七支にあたるパーリ語の仏教用語サンマ・サティ(Samma-Sati、漢語: 正念、正しいマインドフルネス)のサティの英訳である。サンマ・サティは「常に落ちついた心の行動(状態)」を意味する。

・医療としてのマインドフルネスは、禅を学んだアメリカ人分子生物学者のジョン・カバット・ジンが1979年にマサチューセッツ大学で、仏教色を排し現代的にアレンジしたマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を始めたことが端緒となっており、当初はさほど注目されず、行動療法の一環として普及していった。
・2000年代に入るとアメリカでは東洋の思想実践への興味が高まり、アメリカ現代社会に欠けている「『今』への集中」が仏教の思想実践に見られると考えられ、マインドフルネス瞑想が改めて注目されるようになった。心理的・身体的健康や良好な人間関係、冷静な意思決定、仕事や学業への集中、全般的な生活の向上などに効果があるとして注目を集めている。

と言ったことが書かれていました。
仏教なのか、八正道なのかという意外性と共に、これを見て僕がピンと来たのは・・・という話をいきなりしても多分読者が呑み込めないので(笑)、もう少し「マインドフルネス」に関して書かれた他の文章も引用してみると。


マインドフルネスとは?意味やマインドフルネス瞑想のやり方と効果、メリットについて説明します (LITALICO仕事ナビ '21.5.20)

「マインドフルネス(mindfulness)」という言葉は、仏教の経典で使われている古代インドの言語の「サティ(sati)」という言葉の英語訳としてあてられたもので、「心をとどめておくこと」あるいは「気づき」などと訳されます。

英語には、「気づかう」「心配りをする」という意味の「マインドフル(mindful)」という形容詞があります。マインドフルネスの概念では、マインドフルとは「『良い・悪い』などの価値判断をすることなく、完全に『今この瞬間』に注意を向けている心の状態」を指します。

言葉の定義。
"マインドフル・ネス"だったのか。てっきり"マインド・フルネス"かと。"マインド"を、「現在」で"フル"に満たす的な。その解釈でもWiki自体は読めてましたし。(笑)


マインドフルネスについて (健康デザイン研究所)

マインドフルネスとは、サティ(sati)=「心にとめておく」という意味を持つパーリー語(古代インド語の一つ)の英訳で、本来はメソッドではなく、瞑想や呼吸法などを通して得られる、上のような心の状態を表す言葉だといいます。

私たちの心は普段、未来に向かってワクワクしたり、逆に不安になったり、過去のことを思い出して落ち込んだり、あるいは特定の考えに囚われて苦しくなったり、なかなか「今この瞬間」に留まることがありません。
また、留まったとしても、それが好きなものであれば固執したり、嫌なものであれば拒絶したりして、常に何かに囚われて煩ってばかりいます。

そういったことが一切なく、ただ受け取った刺激を純粋に意識したり、心に湧き起こった印象をありのまま感じたりするだけのシンプルな心の状態。
それがマインドフルネスと呼ばれる、今この瞬間をただ感じている状態なのです。

この説明で、だいたいイメージは掴めるかと思います。含意というか。
どういうタイプの"教訓"なのか。
補足的に言うとなぜこれが(Wikiにあるように)特に"アメリカ"で問題になっているかを考えると、「現在」を「未来」(将来)の為に役に立たせること、目的に対する手段としてのみ位置づけるという、功利的ビジネス的思考が余りにも強力になっている社会だからという、そういう文脈だろうと思いますね。そういうガチガチの目的手段関係、現在体験の空洞化からの、(一時的な)解放。
ほとんど脊髄反射的に習慣化している、選択と集中地獄からのというか。


それがどのようにWikiにあるように、"アメリカ"で"注目を集めている"かというと。

世界で成功する経営者が「マインドフルネス」に注目するわけ (logmi Biz '22.11.14)

入山:おそらく僕がアメリカにいた頃、つまり2010年前後ぐらいの頃からもうこの現象があったと思います。シリコンバレーの起業家とか西海岸の経営者が、まさに日本の「禅」の考え方という、非常にマインドフルネス的なものに行き当たって、それこそ今回のWisdomに出られている藤田一照さん[曹洞宗の禅僧]がアメリカの会社に行って講演されたりしていたみたいです。

非常に競争が厳しい社会で、非常にタフで(いなければいけない)。一方でやはり「自分はそもそもなんでこういう仕事しているんだ」とか、「なぜこの会社はあるんだ」という、深いところにちゃんと目指していかないと、心も疲れるしやっていけない。(中略)そういった自分の内面に入る時の1個の手段として「禅」がいいということで広がったのが......もっと前かな。2005年、2006年頃からだったと思います。

入山:僕が2014年から4年間、日本の『ハーバード・ビジネス・レビュー』で「世界標準の経営理論」を連載していたんです。その時の僕はあまりそういったものに詳しくなかったんですが、いくつか認知科学系のリーダーシップとか組織学習のような論文を読んでいると、けっこう「マインドフルネス」という単語が出てくるんですよね。「おぉ!? これって、あの?」ってなってくるんですよ。
それで、その論文をたぐってみたわけですね。実はその論文は、まさに同じ『ハーバード・ビジネス・レビュー』で連載中だったんです。

そこで書かれたマインドフルネスって、実は今なんとなく我々が理解しているマインドフルネスとちょっと違うんです。もっと「認知をうまく操作しよう」みたいな、メタ認知に毛が生えたみたいな感じでした。
人の心をどうやってうまく操作して、注意を特定のほうに払わせるかとか、いわゆる東洋的な、オーセンティックに心の中に入ってくるというものではなかったんですね。

ここで話している早大経営学教授の入山章栄氏自身が強調しているのはこの後の(より東洋的内面的な)話の方のようなんですが、とりあえずアメリカのビジネス社会のメインストリームの状況説明としてはここら辺まで。まとめれば「非常に競争が厳しい」「心も疲れる」社会/会社/業界において、それに対処する為に「心/認知をうまく操作して注意を特定のほう[現在]に払わせる」「メタ認知に毛が生えたみたいな」ものとしてのマインドフルネス。
自分自身の認知を変えてストレス状況に対処しよう。そうしたビジネス利用に対する批判的論点が次。


企業は利益のために、マインドフルネスを悪用していないか?──ブームに警鐘を鳴らす専門家に本来の意味を聞いてみた (サイボウズ式 '19.11.21)

アレックス 最近は、社内プログラムにマインドフルネスを取り入れている企業が増えていると聞きます。
職場でストレスを感じている人が、上司からマインドフルネス実践プログラムを勧められ、受講したとします。何が得られるのでしょうか?
パーサー プログラムでは「ストレスとは、状況に過剰に反応して感情をうまく調整できないときに発生する。つまり、あなたが頭のなかで作り出したものだ」と言われるでしょう。
これは企業から社員への暗黙のメッセージなんです。「健康やメンタルヘルスは自己責任です。でも、職場環境や組織文化に適応する支援はしますよ」というね。

パーサー 「キャリアで成功する代償として、抑圧的な職場環境に耐えるための軟膏だよ」ということですね。
アレックス 対処療法的にマインドフルネスを使って、「頑張ってなんとか乗り越えてね」と言っているのと同じですね。

パーサー 今流行っているマインドフルネスは、お金も権力もあるIT業界のエリートによって始められました。自身をスピリチュアル起業家と称し、企業利益のためにマインドフルネスをねじ曲げたのです。

パーサー 根本的な原因を解決せず、個人のストレスに対する対処能力や免疫力だけを強化するべきではないでしょう。
アレックス 現代人がストレスとうまく付き合えれば、企業は従業員をさらに追い込み、労働環境が悪化することも考えられます。
パーサー その通りです。マインドフルネスは市場から大いに歓迎されていますが、私たちは一度立ち止まって状況を把握するべきです。

まあアメリカで流行っている、しかもビジネス界でという時点で、おおかたそんなものだろう、そんなものになっていくだろうというのは見えている感じはしますけどね(笑)。対象が何であれ。
当事者も案外それは承知というかそれでもいいと思っているというか、コカインをやる代わりにマインドフルネス瞑想をやって、それでストレスをやり過ごせて(コカインと違って)中毒にもならなければそれで結構というか、社畜としての性能が上がるだけでもそれでいいと、そんなところはあるのではないかなと。(笑)
・・・"過剰に反応"しているというのが、上の僕の言い方で言えば目的手段関係の中で窒息しているような状態、かな?

ちなみに冒頭に出て来た"オータム"さんは、アウトドアグッズ一式担いで各地を転々としているヒッピー的な女性で、しかし実は富豪の娘らしくとある目的で牧場主の主人公に近付いて来て、牧場の片隅でテント暮らしを許されながら牧場の買収を持ちかけて来るそういうキャラ。だから自立独歩の西海岸ニューエイジ系意識高い個人の性格と、ビジネス社会/1%富裕層の申し子的性格を併せ持っているキャラな訳で、そういう人が空き時間に日常的にマインドフルネス瞑想をやっているという描写に、"マインドフルネス"という思想の現代アメリカにおける位置が何となく透けて見えるようではありますね。
実利本位のブームでもあり、一方で真面目に捉えている人は真面目に捉えてもいるという。



さてでは僕自身が"マインドフルネス"のどこに興味を感じたかというと・・・
この前紹介したこれですね。


本田真美『医師のつくった「頭のよさ」テスト』より ~認知特性及びワーキングメモリーの役割について ('22.11.9)

この中の"ワーキングメモリー"及びその機能に基づく思考や思考タイプについての(自分の)話。

逆に僕なんかはワーキングメモリーの容量ないしそこでの作業に多くを負っているタイプなのかなと。雑多に近い複数のことを同時に/気長に考えることは得意な方

人間が思考する時に、様々な知識やアイデアやシミュレーション試行を、未決のまま同時並行的に(作業台に)"並べて"保持しながら検討して、その結果が言語化されたり実行されたり反応に反映されたりする訳ですが


ワーキングメモリーとは。

目の前の作業(思考)を行う為だけに保持される一時的な記憶であり、「作業記憶」(作動記憶)という訳語が当てられる。

分かりやすく例えると机や作業台です。何かの課題に取り組んでいるとします。書類や辞書を並べたり、筆記用具をおいたり、参考書を開いたりします。机の上が広ければ広いほど作業はしやすくはかどります。それと大変似ています。

更に詳しくは元の記事を。(そんなに詳しくもないですが)

とにかく

本田氏の記述する"ワーキングメモリーが小さいゆえに出来ること"を見ると、これは必ずしも「能力」の問題ではなく、「タイプ」の問題でもあるのかなと。頭の良し悪しというよりも、頭の使い方の違い。一時保持に重点を置くか、置かないでどんどん次へ行くか。

目の前の作業台で出来ることが多めなので、大抵のことはそこで済ませてしまってその場限りになりがち

ワーキングメモリーが大きいか、ワーキングメモリーでの処理に相対的に多くを委ねているところに一つ自分の思考の特徴があるのではないかという自認・気付きが、前回の結論でした。
・・・正確に言うと、何らかそういう特徴がある、非決定的な一時保存的な状態でめっちゃ溜め込むよな俺、持てるだけ持ってから整理する形式化するよな、ポゼッション型(笑)だよなという自覚は元々あって、それに"ワーキングメモリーによる思考タイプ論"が可能的理論として与えられたという、そういう経験でした。

それを引きずりながら「マインドフルネス」という理論に遭遇して、そこにおける
・「現在」への集中性
・評価「保留」性

が、ワーキングメモリー(思考)の"一時的保存""一時的処理"性やそこにおける作業の同時並行・非決定的性格とリンクしてしまって、これかな?orこれもそうかな?と変に盛り上がってしまったという、そういうことです。シンクロニシティとまでは言いませんが。笑
ちなみに最初にざっとWikiを読んだ時点では"ビジネス利用"の部分は特に意識していなくて(かなり後ろの方に行かないと書いてない)、その後のリサーチ作業でその問題については知ったんですが。
確かにそう言われるとうさんくさいところもある訳ですが、例えば下の文章などは"発達障害"持ちの筆者によるもっと自発的個人的な"マインドフルネス"体験で、面白いというか説得的というか。


発達障害を持っている人はマインドフルネス瞑想をやった方がいい理由 (Bless Corporation '22.9.27)

マインドフルネス瞑想で変化を実感できるまでには2ヶ月かかると科学的な研究では言われています。まだ1ヶ月しか体験していないのに熱く勧めるというのも変かもしれませんが、私の場合は1ヶ月続けただけでも効果を実感できました。
(中略)
大きな変化その1.自分の感情をコントロールできるようになった
大きな変化その2.集中力がアップした
大きな変化その3.自分に自信が持てるようになった

結論だけ抜き出しちゃうと通販のサクラみたいですけど(笑)、読んでみると必ずしもそんなこともない印象を受けると思います。
それにしても日付の新しい文章が多くて、日本でも今正に流行中なんだな感。(iphoneアプリのカテゴリーにもなったとWikiに書いてありましたし)

マインドフルネス瞑想を行うことで、脳の構造に大きな変化がみられることがわかっているそうです。不安や恐怖を司る部位である扁桃体という部分が小さくなるそうです。
(中略)
マインドフルネス瞑想を行うと「メタ認知能力」が鍛えられると言われています。メタ認知能力とは自分の状態を客観視する力で、これがあると自分本位な行動が抑えられたり、ワーキングメモリ(作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する能力)が向上したりするといわれています。

そして出た"ワーキングメモリ"。やはりマインドフルネス/メタ認知とワーキングメモリーの間には浅からぬ関係があるのか。
ワーキングメモリーの方のWikiにも、ワーキングメモリーは後天的に鍛えることの出来る可能性が高いということが書いてありましたね。僕自身は別にワーキングメモリーを鍛えようとしていた訳ではなくて(僕の推測が正しければ)単に日々使い込んでいただけですけど、それによってマインドフルネス的な判断留保の現在集中傾向が育ったのかそれともそういう性向・思想が先にあって、それがワーキングメモリー酷使型の思考を定着させたのか、ここらへんはニワトリとタマゴというかぐるぐる回っています。

・・・一応何回も出て来る「メタ認知」についても。まあメタな認知なんですけど。(笑)

メタ認知(メタにんち、英:Metacognition)とは、「メタ(高次の)」という言葉が指すように、自己の認知のあり方に対して、それをさらに認知することである。

メタ認知は「客観的な自己」「もうひとりの自分」などと形容されるように、現在進行中の自分の思考や行動そのものを対象化して認識することにより、自分自身の認知行動を把握することができる能力である。

(メタ認知Wiki)

どちらかというとマインドフルネスの"判断留保"の部分に関係している、メタ的に距離を取ることによる感情的要素や価値判断の排除、"捕らわれ"からの解放みたいな部分に貢献しているのかなという、字面からの印象。
それによって「現在進行中の自分の思考や行動」をただただ"流す"という態度が、"現在への集中"にも間接的に繋がる?直接的には、むしろ何であれ集中"しない"ことがメタな感じはしますけど。
ただ実際価値判断排除型、曖昧なまま保持型の観察(広い意味では"観察"はみな基本そうですけど)って、メタ/俯瞰的な感覚と対象に近接して直接触れ合う、ある意味"集中"する感覚が、そんなに矛盾なく同居しているものなんですよね。集中するけど没入はしないというか。受け止めるけど受け入れるとは限らないというか。遠いけど近い、近いけど遠い、心を使うけど心を使わない。文化人類学者の研究対象の文化に対する態度なんかが、典型的かもしれませんが。


いずれにしても、「マインドフルネス」自体にそんなに興味があるかというと、そうでもない(笑)。瞑想する気も特にないし。それに近いことを日常的に勝手にやっている可能性はありますが。
興味があるのは自分の思考のあり方や観察のスタイル、あるいはそれを文章化したものの同ジャンルの他の人の文章(笑)やそこに現れている思考との違いが、どういう性格のものなのか何に起因しているのか、そこらへんを見定めること、何らか他人にも伝わる形で表現することで、その為に"ワーキングメモリー"という概念は当座有効であるように見えるし"マインドフルネス"という一つのまとまった流行・潮流とその中に現れている思考・行動様式は良い例えになるかもなと思ったということですが、いずれ仮説以前の仮説でしかないので、もっといいものが見つかったらすぐに乗り換えるという程度のものです。(笑)
そもそも前回も今回も、どれくらい伝わっているのかよく分からないというかさほど自信は無いというか。それでも何も無いよりはいいだろうと思いますし、特に日頃僕の文章を好きで読んでくれている人には、何らかなるほどという部分もあるのではないかなと。(笑)

結局長期記憶(的思考)を余り使わないらしい僕は、滅多に「定式化」はしないんですけど。
入れ替わり立ち代わり、似たような思考が形を変えてワーキングメモリー内に登場して、その成果が少しずつ溜まって形を成せば定式化もしないではないみたいな感じ。それ以外の時は、その時々の現在的表れを黙々と観察してその都度それをなるべく忠実に言語化するだけ。
多分ね。(笑)
またなんか面白そうなのが見つかったら、報告します。(笑)


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