2023年06月14日 (水) | 編集 |
試合中を中心に、今季のシティに関してはツイッターでだいたいその都度言いたいことは言っていた気がするのでそんなに言い"残し"たこともないとは思うんですが、それでもそういえば言ってないなということや言うタイミングが特に無かったことも無くはないので、1年(1シーズン)に一回くらいはという意味も含めて、ブログ記事として。
まあ内容的には、それこそツイッターで十分そうな内容ではあるんですけど。
「0トップ」と「ハーランド」の間
20-21シーズン限りのアグエロの退団及びそれ以前からの稼働率の極端な低下以来、長らく不在だったリアル・ストライカー役として、また特にCLでの同格以上の相手との試合での膠着状況の打破・決め手役として、言い替えればチーム悲願のCL制覇の切り札として(と、少なくとも日本の世論の大勢では目されて)今季シティに加入して来た、ノルウェーの若き大型ストライカーハーランド。
前者に関してはご存知の通り、プレミアリーグの得点記録を超時代的に更新する活躍で、十分過ぎる程期待に応えて見せました。
ただ後者に関しては、専ら格下相手の試合では順調に得点を稼いだものの、大会大詰めの準決勝以降、宿敵であり代名詞的な"同格以上の相手"レアル・マドリーとの準決勝2試合でも、続くインテルとの決勝でも得点を挙げることは出来ず、結果だけ見れば役目を果たせたとは言えない結果に終わりました。
ただそれによってチームがCLのタイトルを逃した訳ではなく、また一方で"ハーランドが点を取れない"ことへの対処(極端な例としては0トップへの復帰とか)によってタイトル獲得が達成された訳でもなくて、"テーマ・ストライカー"としては若干ボケた感じのシーズン終了となりました。
・・・こんなやや後出し的な"まとめ"などもありつつ。笑
ともかく、そのストライカー不在時代にペップ・シティが練り上げた、CLこそ獲れなかったもののそれはそれで世界的な名声を博した「0トップ」サッカーと、その限界を更に突破させるべく獲得された"ラストピース"としてのスーパーストライカー「ハーランド」、途中ハーランドのチームへの組み込みに苦しみ"虻蜂取らず"状態になりかけていたように見えていた期間は特にですが、この二極をめぐって、大きくは今季のシティが議論の対象となっていたのは、確かだと思います。
ただこの自明にも見える前提に、議論の優先順位の問題としてあえて口にはして来ませんでしたが僕はしっくり来ない/もやもやもするものを実はずっと抱えていて、それは0トップかそうでないか、専従的ストライカーなしかありかという一般的な問題構図と、そのストライカーが「ハーランド」であること(あるいは「ハーランド」をフィットさせるという課題)との間には、少し距離があるというか飛ばされているステップがあるのではないかということ。
つまり以前牽牛星さん(@kengyuusei0330)のストライカーありきの(ペップの)チームビルディング論に対して、それはサッカー界の中でも特別/特殊に能力の高いストライカーの存在を前提にした時に、主に機能する方法論/問題設定なのではないかという話を僕はしました。(『「徹底」と「最大」の微妙な違い ~今更牽牛星さんへの返答』)
ここで言っているのは何かというと、各時代に存在する一流ストライカーたちの中でも現代の彼らのような選手たちは特別に能力の高い、自己完結性の高い、"戦術〇〇"のような扱いがむしろ自然なような超絶的カテゴリーの選手たちであって、例え一流の部類ではあっても一般の(?)ストライカーたちとは区別すべき存在であるということです。
名前を挙げているように、勿論ハーランドもそうしたレベルの存在だと僕は考えているので、もしペップ・シティが一般レベルの一流/有能ストライカーを使った上でCLの壁に跳ね返されていたのなら、そこを超絶レベルに替えてみたらどうなるかというのは順当なステップな訳ですが、実際にはそもそもストライカーのいない"0トップ"のチームで試行を繰り返していた訳ですから、そこからいきなり超絶レベルの"ハーランド"では、試すべきステップが論理的に一つ抜けていることになる訳です。
ストライカーが必要か必要でないかではなく、超絶的ストライカーが必要かの話に一気に行ってしまったという。文脈的に名指しするのが若干躊躇われるところではありますが(笑)、シティ関連の名前で言えば例えば何度か名前の挙がったハリー・ケインとか、あるいはもっと若く健康でフル稼働の可能なアグエロ(笑)でもいたら、順番通りに前者(ストライカーが必要か必要でないか)の問題の検討が出来たかもしれませんが。
勿論実際の補強はその時獲得可能なそのポジションの最高の選手を獲りに行くのが普通で、ハーランドがリーズナブルな価格で獲れるのにそれをやめてわざわざより平凡な選手を獲る(うっかりするともっと高いかも知れない)なんてのは非現実的な話なので、まあ来てしまったものは仕方がない(笑)し誰を責めるつもりも無いんですけど。
そもそもそれ以前に、僕がこんなことを気にするのは0トップ基本で築き上げて来たチームに誇りや愛着や興味があって、その続きないし変えるにしても延長を見たいという気持ちがあるからで、その気持ちを共有しないあるいはもっと単純に"CLを獲る"ことへの最短距離に(のみ)興味がある人(それは当のペップやフロント自体がそうかもしれない)には関係の無い話でしょうし。
ただ大きくは"延長を見たい"派と思しき人でも、"ハーランド襲来"の陰て飛ばされた"ステップ"について言っている人が見当たらない(知らないだけでどこかにはいると思いますが(笑))ので、実はこんなことを未練たらしく気にしてたんですよということを、書いておきたくなりました。(笑)
細かいことを言うと、(超絶)"カテゴリー"だけでなく、ハーランド"個人"の資質的問題みたいなものも、あったような気がします。
同時期に移籍の噂があったり実際に移籍した選手の中でも、例えばエムバペならば3トップのどこでもプレー出来て試合中の移動もよりスムーズで、互換性を基本とする(それまでの)ペップ・シティのやり方に接続し易かった気がしますし、レバンドフスキならばポストプレーと言う分かり易い戦術要素を(得点能力とは別に)兼備していて、それはそれで使い易さがありそう。
対してハーランドはほぼセンター専門のワンタッチゴーラーであり、カウンター専用機的性格も強くて、シティにとってより文脈遮断的というか、あえて言えば相性の悪い選手だったような。(一方で"子供っぽく無邪気"に近い素直な性格は、この後に述べる"無限オープン成長マニア"としてのペップ監督のチームに相応しいとも言えるかもしれませんが)
いや、実際どうなるんでしょうね、来季以降のシティ&ハーランドは。
この1年に両者が実現した融合/化学反応自体にはそれなりに十分な見応えはあったと思いますが、言ってしまえば最大の"目的"は既に達成してしまったので、要らないとは言いませんが(笑)苦労してその作業を続ける意義は見え難いと言えば見え難い。"ハーランド"自体への興味や"ハーランド入りシティの最高到達点"への興味や夢を、別に描くことは可能ではありますが、ただそれはどんな選手についても言える訳で。なまじいち選手とは言いづらい存在感を、どうしても避けられないスーパーな選手であるだけにね。目標がぼんやりしているとどうもテンションの上げどころが。
実は見たいものははっきりあって、それは戦術的にどうとかではなく、今季のCLでは結局見せられなかった本当に決定的な試合で"理不尽"を振るうハーランドの姿。・・・まあその為に"戦術"が新たに必要となるのかも知れませんが、とにかくそれを見ないとそれこそ獲った甲斐が尽くされたとは言い難いようなそんな贅沢欲求。それは"0トップの延長"論とは、全く別の、ひょっとしたら反対の欲望ではあるのかも知れませんが。(笑)
最後にもう一度だけ本筋に戻ると、例のアルバレス大活躍のリバプール戦で、"0トップ+ノーマルストライカー"チームは、実現したと言って言えなくはないのかも知れません。たださすがに1試合だけの話ですし、それでCLを戦った訳でもないので。
はい。(笑)
ペップ・シティのサッカーはロボットサッカー?
持ち主の人柄のせいか、僕自身のTLはいつも至って平和で直接そんな騒ぎを目にすることは無いんですけど、@j0jene011 の人(元"ジェン"さん・・・の筈ですが今は?(笑))を筆頭とする好戦的なタイプのシティアカウントをたまに覗くと、シティは割としょっちゅう特定的なタイプの煽りをプレミア他サポから受けているらしく。(実際は試合の前後以外低浮上なので雑情報が目に入らないだけだろうと思います笑)
その中の代表的なものとして、「(ペップ)シティのサッカーはロボットみたい」「無感情でつまらない」的な、表現は色々でしょうがそういうものがあります。(あるようです)
それに対する僕の反応はというと。
分かるけど・・・。今?というものになると思います。
付け足すとすれば、プレミア見始めて何年?またはいつから?という素朴な疑問になりますか。
というのは僕自身、(初年度)16/17のペップ・シティに対してなら、そういう感想を持ったかもしれないし書いたこともあるような気がしないでもないので。その後ももう一回くらい、17/18のリーグ初戴冠の喜びが過ぎての3年目から0トップ本格稼働前のどこかの半年なり1年なりの期間にも、そんな感想を強めに持って、寝落ち頻度の高い観戦生活を送っていたような記憶。
まあ、そう言われ易いサッカー、チームではあると思います。
シティに限らずポジショナル・プレー濃度の高いサッカー全般の特徴としての、淡々と特定の論理的帰結に状況を追い込んで不確定要素(とそこから来る激情?)を抑え込んで行くようなプレースタイル、その中でもペップ・シティの、常軌を逸して真面目な監督と、その監督の指導に耐えた/耐えている真面目な選手たちによる、極端に波の無いクオリティの安定した、ほとんどいつ見ても黙々と真面目な(笑)試合ぷり。そしてそうしたチームがあげている長期に渡る安定して圧倒的な(特にリーグの)戦績。どうせ勝つんだろうな結局優勝するんだろうなという"結果"に対する若干の醒めた思い自体は、その結果を喜ぶシティ・ファン自身も抱いたことが無いと言えばそれは嘘になるだろうと思います。
ただ、ただですよ。
ある程度の期間見ていれば、上で既に"常軌を逸した"と書いてしまってはいますが、その"真面目さ"がいかに異様でそれ自体驚嘆の念を抱かせられるものか、ペップの探求心、向上心、自己改革の躊躇の無さ、"閉じ"たり落ち着いたりすることを知らないのではないのか普通の人なら働く特定の神経伝達物質の分泌が何らかの理由で休止状態にあるのではないか(笑)と疑わせる思考の活動性の止まらなさとそのサイクルの回転速度、その時々のアウトプットが何であれ見栄えがどうであれ、それ自体はもう「情熱的」としか言いようがないもので、逆にこれが"情熱"じゃなかったら何なのかな、あ、ごめん言い方が甘かったのかな狂気とか狂熱的情熱とかともっと絞り込まなかったから誤解されたのかな?え?そうではない、あそうみたいな。
ということに、一定期間以上ペップ・シティを見ていながら、あるいは同じリーグの専従的観戦者として暮らしていながら、何らか気付かない、感じないのだとしたら、感じない人なのだとしたら、それはもう、しょうがないよねという。"反論"の対象ですらないよねという。ただただ、しょうがないよねという。文章だからこうしてあえて書いてるけれど、もし面と向かってそういうことを真顔で言われたとしたら、僕はただ「はあ。」としか言わないだろうと思います。はあ。そうすか。(おっ、一言増えた)
一方で折に触れて見かける、当のシティ・サポもたじろぐような(笑)真剣さ熱心さで、ペップ・シティのサッカーについて語る他サポたちの存在よという。だからまさか今更、2023年にそんな批判を耳にするとは思わなかったので、目を白黒したという。(逆にだから歴が浅いんだったら仕方がないけどと言う、冒頭の話)
勿論プレーするのは監督ではなくて選手なので、監督の人格だけで話を終わらせる訳にはいかないでしょうけど。
選手の方は確かに、次々課される新タスクや新機軸を、実行するのに消化するのに手一杯で、監督の頭の中程"情熱的"でもいられないことはままあるでしょうが(笑)、一方でペップ・メソッドの代名詞的存在である「魔改造」の数々、"瞬間芸"ストライカー以外の何者でもなかったアグエロのタクティカルFW化あたりに始まり、出て来た時は繊細華麗な中盤テクニシャンにしか見えなかったフォーデンの強襲ウイング&ストライカー化(挙句のサイドバック化笑)、逆に剛球一直線のスペシャリストサイドバックであったウォーカーのMF化スルーパサー化、続く同ポジションのカンセロのご存知"カンセロ・ロール"、これは改造というより大拡張/名プロデュースという感じですが、それから今日に至るまで定期的に彼をチームの救世主たらしめているギュンドアンのセカンド・ストライカー化、これは元々持っていた能力の一つではあったでしょうがしかし本格化したのは0トップ(ストライカー不在)&デブライネ故障離脱のダブル・パンチ時に、狙ってペップが施したチーム改造の成果によるものだったと記憶しています。更にそれから今年のグリーリッシュのサイドのポストプレーヤー的無限列車化(字面の印象のみ)は、どの程度元々のプレーの延長なのかはよく分からないんですがとにかく目を見張るブレークぶりでしたし、そして勿論最終盤の話題を独り占めした感のあるストーンズの偽SB→偽CB→プロパー的ボランチ→プロパー的インサイドMFへというどこで止まるんだろうと思ったら結局止まらなかったドミノ倒し改造。(笑)
その他もっと地味にはハーランドのポストプレイヤー化や忘れてごめんジンチェンコ(&デルフ)の偽SB化、忘れようとしてごめんスターリングの一時のストライカーとしての覚醒、ロドリの2年目以降の成長も尋常ではなかったし、デブライネでさえペップに会わなかったらここまで怪物的選手になったのか、ただの物凄く上手いMF/クロッサーで終わったかもしれない(十分に凄くはあるんですけど(笑))と、思ったりもします。
とにかくこうした彼らの次々達成する飛躍/変化に、監督の情熱に応える前のめりな意欲や困難は伴ってもの自己改革の喜びを感じないことは僕には難しく、それを「ロボット」だの「無感情」だのという、最も表面的部分に対しての印象から来るのだろう紋切り型で処理するのはとても無理に思えます。"影の努力"なんてわざわざ見なくても、分かり易く目につく事象だけでも。
こんなに"情熱"的で、こんなに狂ったようにサッカーに真面目に打ち込んでいる監督やチームに、今後会えるのかなと。繰り返しになりますが、これが情熱じゃなければ何なのかな、これに心を揺さぶられない人って何なのかな、何を見ている人なのかなと。
ま、確かにある種「人間的」でなく見える部分はあります。これも再び話は戻りますが。
見た目の印象的にもペップ自身は結構百面相ですけど(笑)、"チームの顔"デブライネはどんな困難なプレーも献身的なプレーも、若干顔の血流に変化を見せるだけで(笑)極端と言っていいくらいに表情変わらずこなしますし。(内面は意外と瞬間湯沸かし器っぽいですけど)
だから(?)そういう印象を持ってもいいとは思いますが、あえて変なことを言うとその「非人間」性は、ロボット的機械的というよりも、「超人」や「聖人」に近いタイプのものだと思うんですよね。基準が高過ぎるor倫理性が高過ぎるゆえの、日常的"人間"味の喪失。感情の喪失ではなく、成熟というか変化というか錬成(?)というか。それ自体気持ち悪いと言えば気持ち悪いものなのかも知れないですけど。(笑)
まあそんな感じです。
まあ内容的には、それこそツイッターで十分そうな内容ではあるんですけど。
「0トップ」と「ハーランド」の間
20-21シーズン限りのアグエロの退団及びそれ以前からの稼働率の極端な低下以来、長らく不在だったリアル・ストライカー役として、また特にCLでの同格以上の相手との試合での膠着状況の打破・決め手役として、言い替えればチーム悲願のCL制覇の切り札として(と、少なくとも日本の世論の大勢では目されて)今季シティに加入して来た、ノルウェーの若き大型ストライカーハーランド。
前者に関してはご存知の通り、プレミアリーグの得点記録を超時代的に更新する活躍で、十分過ぎる程期待に応えて見せました。
ただ後者に関しては、専ら格下相手の試合では順調に得点を稼いだものの、大会大詰めの準決勝以降、宿敵であり代名詞的な"同格以上の相手"レアル・マドリーとの準決勝2試合でも、続くインテルとの決勝でも得点を挙げることは出来ず、結果だけ見れば役目を果たせたとは言えない結果に終わりました。
ただそれによってチームがCLのタイトルを逃した訳ではなく、また一方で"ハーランドが点を取れない"ことへの対処(極端な例としては0トップへの復帰とか)によってタイトル獲得が達成された訳でもなくて、"テーマ・ストライカー"としては若干ボケた感じのシーズン終了となりました。
まあ何をどうしたからというよりも、勝ち慣れした、CL慣れしたのが最大の勝因という感じがする。・・・0トップのままでも勝てたかも?笑
— アト (@atosann) June 10, 2023
・・・こんなやや後出し的な"まとめ"などもありつつ。笑
ともかく、そのストライカー不在時代にペップ・シティが練り上げた、CLこそ獲れなかったもののそれはそれで世界的な名声を博した「0トップ」サッカーと、その限界を更に突破させるべく獲得された"ラストピース"としてのスーパーストライカー「ハーランド」、途中ハーランドのチームへの組み込みに苦しみ"虻蜂取らず"状態になりかけていたように見えていた期間は特にですが、この二極をめぐって、大きくは今季のシティが議論の対象となっていたのは、確かだと思います。
ただこの自明にも見える前提に、議論の優先順位の問題としてあえて口にはして来ませんでしたが僕はしっくり来ない/もやもやもするものを実はずっと抱えていて、それは0トップかそうでないか、専従的ストライカーなしかありかという一般的な問題構図と、そのストライカーが「ハーランド」であること(あるいは「ハーランド」をフィットさせるという課題)との間には、少し距離があるというか飛ばされているステップがあるのではないかということ。
つまり以前牽牛星さん(@kengyuusei0330)のストライカーありきの(ペップの)チームビルディング論に対して、それはサッカー界の中でも特別/特殊に能力の高いストライカーの存在を前提にした時に、主に機能する方法論/問題設定なのではないかという話を僕はしました。(『「徹底」と「最大」の微妙な違い ~今更牽牛星さんへの返答』)
議論の土俵自体を変えてしまう選手の質の差
現代における自己完結的なアタッカー類型
(ハーランド、レバンドフスキ、ムバッペ、メッシ、クリロナと例を挙げて)
共通するのはプレーの"基準"、要求水準の決定的上昇と、更にはグローバル化によるその集約・集積的加速の試練を乗り越えることによって生まれた、歴史的視点で見てもある種突き抜けた"新しい"アタッカーたちだということです。
自己完結できるアタッカーを前提としたチーム作りの話と、しないチーム作りの話とでは(違う)
ここで言っているのは何かというと、各時代に存在する一流ストライカーたちの中でも現代の彼らのような選手たちは特別に能力の高い、自己完結性の高い、"戦術〇〇"のような扱いがむしろ自然なような超絶的カテゴリーの選手たちであって、例え一流の部類ではあっても一般の(?)ストライカーたちとは区別すべき存在であるということです。
名前を挙げているように、勿論ハーランドもそうしたレベルの存在だと僕は考えているので、もしペップ・シティが一般レベルの一流/有能ストライカーを使った上でCLの壁に跳ね返されていたのなら、そこを超絶レベルに替えてみたらどうなるかというのは順当なステップな訳ですが、実際にはそもそもストライカーのいない"0トップ"のチームで試行を繰り返していた訳ですから、そこからいきなり超絶レベルの"ハーランド"では、試すべきステップが論理的に一つ抜けていることになる訳です。
ストライカーが必要か必要でないかではなく、超絶的ストライカーが必要かの話に一気に行ってしまったという。文脈的に名指しするのが若干躊躇われるところではありますが(笑)、シティ関連の名前で言えば例えば何度か名前の挙がったハリー・ケインとか、あるいはもっと若く健康でフル稼働の可能なアグエロ(笑)でもいたら、順番通りに前者(ストライカーが必要か必要でないか)の問題の検討が出来たかもしれませんが。
勿論実際の補強はその時獲得可能なそのポジションの最高の選手を獲りに行くのが普通で、ハーランドがリーズナブルな価格で獲れるのにそれをやめてわざわざより平凡な選手を獲る(うっかりするともっと高いかも知れない)なんてのは非現実的な話なので、まあ来てしまったものは仕方がない(笑)し誰を責めるつもりも無いんですけど。
そもそもそれ以前に、僕がこんなことを気にするのは0トップ基本で築き上げて来たチームに誇りや愛着や興味があって、その続きないし変えるにしても延長を見たいという気持ちがあるからで、その気持ちを共有しないあるいはもっと単純に"CLを獲る"ことへの最短距離に(のみ)興味がある人(それは当のペップやフロント自体がそうかもしれない)には関係の無い話でしょうし。
ただ大きくは"延長を見たい"派と思しき人でも、"ハーランド襲来"の陰て飛ばされた"ステップ"について言っている人が見当たらない(知らないだけでどこかにはいると思いますが(笑))ので、実はこんなことを未練たらしく気にしてたんですよということを、書いておきたくなりました。(笑)
細かいことを言うと、(超絶)"カテゴリー"だけでなく、ハーランド"個人"の資質的問題みたいなものも、あったような気がします。
同時期に移籍の噂があったり実際に移籍した選手の中でも、例えばエムバペならば3トップのどこでもプレー出来て試合中の移動もよりスムーズで、互換性を基本とする(それまでの)ペップ・シティのやり方に接続し易かった気がしますし、レバンドフスキならばポストプレーと言う分かり易い戦術要素を(得点能力とは別に)兼備していて、それはそれで使い易さがありそう。
対してハーランドはほぼセンター専門のワンタッチゴーラーであり、カウンター専用機的性格も強くて、シティにとってより文脈遮断的というか、あえて言えば相性の悪い選手だったような。(一方で"子供っぽく無邪気"に近い素直な性格は、この後に述べる"無限オープン成長マニア"としてのペップ監督のチームに相応しいとも言えるかもしれませんが)
いや、実際どうなるんでしょうね、来季以降のシティ&ハーランドは。
この1年に両者が実現した融合/化学反応自体にはそれなりに十分な見応えはあったと思いますが、言ってしまえば最大の"目的"は既に達成してしまったので、要らないとは言いませんが(笑)苦労してその作業を続ける意義は見え難いと言えば見え難い。"ハーランド"自体への興味や"ハーランド入りシティの最高到達点"への興味や夢を、別に描くことは可能ではありますが、ただそれはどんな選手についても言える訳で。なまじいち選手とは言いづらい存在感を、どうしても避けられないスーパーな選手であるだけにね。目標がぼんやりしているとどうもテンションの上げどころが。
実は見たいものははっきりあって、それは戦術的にどうとかではなく、今季のCLでは結局見せられなかった本当に決定的な試合で"理不尽"を振るうハーランドの姿。・・・まあその為に"戦術"が新たに必要となるのかも知れませんが、とにかくそれを見ないとそれこそ獲った甲斐が尽くされたとは言い難いようなそんな贅沢欲求。それは"0トップの延長"論とは、全く別の、ひょっとしたら反対の欲望ではあるのかも知れませんが。(笑)
最後にもう一度だけ本筋に戻ると、例のアルバレス大活躍のリバプール戦で、"0トップ+ノーマルストライカー"チームは、実現したと言って言えなくはないのかも知れません。たださすがに1試合だけの話ですし、それでCLを戦った訳でもないので。
はい。(笑)
ペップ・シティのサッカーはロボットサッカー?
持ち主の人柄のせいか、僕自身のTLはいつも至って平和で直接そんな騒ぎを目にすることは無いんですけど、@j0jene011 の人(元"ジェン"さん・・・の筈ですが今は?(笑))を筆頭とする好戦的なタイプのシティアカウントをたまに覗くと、シティは割としょっちゅう特定的なタイプの煽りをプレミア他サポから受けているらしく。(実際は試合の前後以外低浮上なので雑情報が目に入らないだけだろうと思います笑)
その中の代表的なものとして、「(ペップ)シティのサッカーはロボットみたい」「無感情でつまらない」的な、表現は色々でしょうがそういうものがあります。(あるようです)
それに対する僕の反応はというと。
分かるけど・・・。今?というものになると思います。
付け足すとすれば、プレミア見始めて何年?またはいつから?という素朴な疑問になりますか。
というのは僕自身、(初年度)16/17のペップ・シティに対してなら、そういう感想を持ったかもしれないし書いたこともあるような気がしないでもないので。その後ももう一回くらい、17/18のリーグ初戴冠の喜びが過ぎての3年目から0トップ本格稼働前のどこかの半年なり1年なりの期間にも、そんな感想を強めに持って、寝落ち頻度の高い観戦生活を送っていたような記憶。
まあ、そう言われ易いサッカー、チームではあると思います。
シティに限らずポジショナル・プレー濃度の高いサッカー全般の特徴としての、淡々と特定の論理的帰結に状況を追い込んで不確定要素(とそこから来る激情?)を抑え込んで行くようなプレースタイル、その中でもペップ・シティの、常軌を逸して真面目な監督と、その監督の指導に耐えた/耐えている真面目な選手たちによる、極端に波の無いクオリティの安定した、ほとんどいつ見ても黙々と真面目な(笑)試合ぷり。そしてそうしたチームがあげている長期に渡る安定して圧倒的な(特にリーグの)戦績。どうせ勝つんだろうな結局優勝するんだろうなという"結果"に対する若干の醒めた思い自体は、その結果を喜ぶシティ・ファン自身も抱いたことが無いと言えばそれは嘘になるだろうと思います。
ただ、ただですよ。
ある程度の期間見ていれば、上で既に"常軌を逸した"と書いてしまってはいますが、その"真面目さ"がいかに異様でそれ自体驚嘆の念を抱かせられるものか、ペップの探求心、向上心、自己改革の躊躇の無さ、"閉じ"たり落ち着いたりすることを知らないのではないのか普通の人なら働く特定の神経伝達物質の分泌が何らかの理由で休止状態にあるのではないか(笑)と疑わせる思考の活動性の止まらなさとそのサイクルの回転速度、その時々のアウトプットが何であれ見栄えがどうであれ、それ自体はもう「情熱的」としか言いようがないもので、逆にこれが"情熱"じゃなかったら何なのかな、あ、ごめん言い方が甘かったのかな狂気とか狂熱的情熱とかともっと絞り込まなかったから誤解されたのかな?え?そうではない、あそうみたいな。
ということに、一定期間以上ペップ・シティを見ていながら、あるいは同じリーグの専従的観戦者として暮らしていながら、何らか気付かない、感じないのだとしたら、感じない人なのだとしたら、それはもう、しょうがないよねという。"反論"の対象ですらないよねという。ただただ、しょうがないよねという。文章だからこうしてあえて書いてるけれど、もし面と向かってそういうことを真顔で言われたとしたら、僕はただ「はあ。」としか言わないだろうと思います。はあ。そうすか。(おっ、一言増えた)
一方で折に触れて見かける、当のシティ・サポもたじろぐような(笑)真剣さ熱心さで、ペップ・シティのサッカーについて語る他サポたちの存在よという。だからまさか今更、2023年にそんな批判を耳にするとは思わなかったので、目を白黒したという。(逆にだから歴が浅いんだったら仕方がないけどと言う、冒頭の話)
勿論プレーするのは監督ではなくて選手なので、監督の人格だけで話を終わらせる訳にはいかないでしょうけど。
選手の方は確かに、次々課される新タスクや新機軸を、実行するのに消化するのに手一杯で、監督の頭の中程"情熱的"でもいられないことはままあるでしょうが(笑)、一方でペップ・メソッドの代名詞的存在である「魔改造」の数々、"瞬間芸"ストライカー以外の何者でもなかったアグエロのタクティカルFW化あたりに始まり、出て来た時は繊細華麗な中盤テクニシャンにしか見えなかったフォーデンの強襲ウイング&ストライカー化(挙句のサイドバック化笑)、逆に剛球一直線のスペシャリストサイドバックであったウォーカーのMF化スルーパサー化、続く同ポジションのカンセロのご存知"カンセロ・ロール"、これは改造というより大拡張/名プロデュースという感じですが、それから今日に至るまで定期的に彼をチームの救世主たらしめているギュンドアンのセカンド・ストライカー化、これは元々持っていた能力の一つではあったでしょうがしかし本格化したのは0トップ(ストライカー不在)&デブライネ故障離脱のダブル・パンチ時に、狙ってペップが施したチーム改造の成果によるものだったと記憶しています。更にそれから今年のグリーリッシュのサイドのポストプレーヤー的無限列車化(字面の印象のみ)は、どの程度元々のプレーの延長なのかはよく分からないんですがとにかく目を見張るブレークぶりでしたし、そして勿論最終盤の話題を独り占めした感のあるストーンズの偽SB→偽CB→プロパー的ボランチ→プロパー的インサイドMFへというどこで止まるんだろうと思ったら結局止まらなかったドミノ倒し改造。(笑)
その他もっと地味にはハーランドのポストプレイヤー化や忘れてごめんジンチェンコ(&デルフ)の偽SB化、忘れようとしてごめんスターリングの一時のストライカーとしての覚醒、ロドリの2年目以降の成長も尋常ではなかったし、デブライネでさえペップに会わなかったらここまで怪物的選手になったのか、ただの物凄く上手いMF/クロッサーで終わったかもしれない(十分に凄くはあるんですけど(笑))と、思ったりもします。
とにかくこうした彼らの次々達成する飛躍/変化に、監督の情熱に応える前のめりな意欲や困難は伴ってもの自己改革の喜びを感じないことは僕には難しく、それを「ロボット」だの「無感情」だのという、最も表面的部分に対しての印象から来るのだろう紋切り型で処理するのはとても無理に思えます。"影の努力"なんてわざわざ見なくても、分かり易く目につく事象だけでも。
こんなに"情熱"的で、こんなに狂ったようにサッカーに真面目に打ち込んでいる監督やチームに、今後会えるのかなと。繰り返しになりますが、これが情熱じゃなければ何なのかな、これに心を揺さぶられない人って何なのかな、何を見ている人なのかなと。
ま、確かにある種「人間的」でなく見える部分はあります。これも再び話は戻りますが。
見た目の印象的にもペップ自身は結構百面相ですけど(笑)、"チームの顔"デブライネはどんな困難なプレーも献身的なプレーも、若干顔の血流に変化を見せるだけで(笑)極端と言っていいくらいに表情変わらずこなしますし。(内面は意外と瞬間湯沸かし器っぽいですけど)
だから(?)そういう印象を持ってもいいとは思いますが、あえて変なことを言うとその「非人間」性は、ロボット的機械的というよりも、「超人」や「聖人」に近いタイプのものだと思うんですよね。基準が高過ぎるor倫理性が高過ぎるゆえの、日常的"人間"味の喪失。感情の喪失ではなく、成熟というか変化というか錬成(?)というか。それ自体気持ち悪いと言えば気持ち悪いものなのかも知れないですけど。(笑)
まあそんな感じです。
(ペップ)シティは「金満」チームなのか
若干上と似たような話。
勿論どう見ても現在のシティは世界有数の金持ちクラブではある訳でしょうし、それについて"国"がバックについていて原理的には資金はほぼ無限なのでずるいとか、会計的にやばいトリックをやっていて本来罰せられるべきだ/罰せられるかもしれないなどといった話はある訳ですね。
それらについて僕の知識で言えることは特に無いですし、それもあって実際問題ほとんど(無駄な?)関心は持っていなくて、唯一あるとすればその金で八百長や審判買収のような直接ゲームに関わる不正をやっていたとしたら、それはさすがに引くけどなと、そんな感じの僕ですけど。
それはそれとして、一方でやはり金満クラブである、金の力に物を言わせて強くなったという批判や反感は、上の"ロボット"云々と比べても広範にあるだろうことは想像に難くありません。僕自身極東二部リーグのいち身の丈クラブ東京ヴェルディの応援者でもあるので、たまに見比べて空しい気持ちにはなるというか(笑)、少なくともヴェルディのことを心配するような切実さで、シティのことを心配するのは難しいです。(笑)
ただだから"金で強くなった"チームなのかと言われると、ペジェグリーニ時代(まで)はともかくとして、ペップのチームに関しては、僕及び僕の知る限りのシティ・サポの実感からは、少なからずずれるところがあると思います。
金持ちなのは確かでしょうし、金が無ければ現在の地位/位置にまで来れなかったのは間違いないでしょうし、ペップが監督になってからも一般の基準から見れば十分にお金を使って何人もの有力選手を獲得して来たのも明らかではあるんですけど。
ただ、"買って"強くなったチームなのか、買いまくるチーム/クラブなのか(多くの時期のレアルマドリーのように)、"買う"ことが強さの主体のチーム(例に挙げて悪いですが現在最も印象的に典型的なのはパリSG)なのかと言われると、どうもそういう分かり易い「金満」チームのイメージには合わない気がするというか少なくとも内部的にそういう自覚は無い。
むしろもっとちゃんと買ってくれ、金満チーム(笑)らしく、堅実なのはいいけれどその財政均衡論そこまで必要か?的な疑問・抗議の声の方を、多く目にする気がします。僕自身、今季ハーランドが本当に来た時は、喜ぶ前に戸惑いの方が先に立ってしまったくらいで。あれ?そういうことウチでもあるんだと。本当に"買って"来ちゃったんだと。それで"解決"するんだと。
つまり買うことは買うんだけれど、買うことで"解決"するチーム/クラブではないという意識を持っていたということですが、では何で解決するかというと・・・「育てる」かな。うん。事情を知らない人は、えっと思うかも知れませんが。
別にフォーデン的な"下部組織"上がりの選手の話をしている訳ではなくて、移籍獲得選手全般の話です。
それなりのお金で、それぞれに既に実績のある、まあ"名前"的には詳しい人しか知らない比較的渋い名前が多いような気はしますがとにかくある程度完成された有力選手を獲っては来るんだけど、その"獲って来た/買って来た"選手の"力で"勝つというよりも、そうした"素材"を改めてペップのチームで「育てて」「伸ばして」勝つ、チームの問題を解決する、そういうチームだというのが僕のペップ・シティのイメージであり、自認であり実感です。"本物"の育成型クラブのファンからのふざけんなという抗議は甘んじて受け止めますが(笑)、少なくとも金満界メガクラブ界の中での比較で言えばそうです。地道だよねえウチという。J2ジェフ千葉を定点観測していた数年間の方が、よっぽど"金満"感は味わっていたわという。(とばっちり失礼(笑))
なぜそんなことになるのかと言えば、一つはよく言われるようにペップのチームに馴染み、ペップの基準をクリアするのはどんな有能な実績選手にも容易ではないということであり、また上の"魔改造"列伝にあるように、ペップ自身が"馴染む""クリアする"というようなただの減点法的なアプローチを選手にしないので、どうしても"買ったまま"使うという形になり難いというそういう事情。"ペップのチーム"における新たな自己実現が、改めて必要になる。
後は単純に少しケチ(笑)、特に左サイドバックとストライカーはメガクラブ基準じゃなくてもまじにいない時期が長かったという、そういう"事実"も。
勿論中にはそのまま"使った"、言うなれば"金で解決した"選手、ポジションも無くはないですけどね。
特に2年目の右ウォーカー左メンディのサイドバック一挙獲りは、2人の見るからに怪物的な能力(程なく片方いなくなっちゃいますが)のインパクトもあって、金か、金なのか?!とさすがに思いました。あとルベン・ディアスにはひたすら助けてもらっているので、あれはちょっと「ウチが育てた」とは言えません。エデルソンも元からああいう選手ではあるんでしょうが、いかにもチームスタイルと相思相愛なので、そこは野暮なことは言いっこ無しでお願いします。買ったんじゃない、愛したんだ。たまたま金銭も介在しただけなんだ。
という訳で、「育成型クラブ」ペップ・シティということで、今後はよろしくお願いします。
金満と呼ばないで。
真面目な話、ここ数年のヴェルディの"大卒選手"路線(ユース中心からの)の方が、うっかりするとアンチ育成型、丸投げ即戦力"買いあさり"補強に感じなくもないから恐ろしい。お金的には、冗談も休み休み言えという話でしょうが。要はペップ恐るべしということなんですけど。
以上です。
来季も鬼が出るか蛇が出るか。ペップ・シティと過ごす貴重な時間を、楽しませてもらいたいと思います。
若干上と似たような話。
勿論どう見ても現在のシティは世界有数の金持ちクラブではある訳でしょうし、それについて"国"がバックについていて原理的には資金はほぼ無限なのでずるいとか、会計的にやばいトリックをやっていて本来罰せられるべきだ/罰せられるかもしれないなどといった話はある訳ですね。
それらについて僕の知識で言えることは特に無いですし、それもあって実際問題ほとんど(無駄な?)関心は持っていなくて、唯一あるとすればその金で八百長や審判買収のような直接ゲームに関わる不正をやっていたとしたら、それはさすがに引くけどなと、そんな感じの僕ですけど。
それはそれとして、一方でやはり金満クラブである、金の力に物を言わせて強くなったという批判や反感は、上の"ロボット"云々と比べても広範にあるだろうことは想像に難くありません。僕自身極東二部リーグのいち身の丈クラブ東京ヴェルディの応援者でもあるので、たまに見比べて空しい気持ちにはなるというか(笑)、少なくともヴェルディのことを心配するような切実さで、シティのことを心配するのは難しいです。(笑)
ただだから"金で強くなった"チームなのかと言われると、ペジェグリーニ時代(まで)はともかくとして、ペップのチームに関しては、僕及び僕の知る限りのシティ・サポの実感からは、少なからずずれるところがあると思います。
金持ちなのは確かでしょうし、金が無ければ現在の地位/位置にまで来れなかったのは間違いないでしょうし、ペップが監督になってからも一般の基準から見れば十分にお金を使って何人もの有力選手を獲得して来たのも明らかではあるんですけど。
ただ、"買って"強くなったチームなのか、買いまくるチーム/クラブなのか(多くの時期のレアルマドリーのように)、"買う"ことが強さの主体のチーム(例に挙げて悪いですが現在最も印象的に典型的なのはパリSG)なのかと言われると、どうもそういう分かり易い「金満」チームのイメージには合わない気がするというか少なくとも内部的にそういう自覚は無い。
むしろもっとちゃんと買ってくれ、金満チーム(笑)らしく、堅実なのはいいけれどその財政均衡論そこまで必要か?的な疑問・抗議の声の方を、多く目にする気がします。僕自身、今季ハーランドが本当に来た時は、喜ぶ前に戸惑いの方が先に立ってしまったくらいで。あれ?そういうことウチでもあるんだと。本当に"買って"来ちゃったんだと。それで"解決"するんだと。
つまり買うことは買うんだけれど、買うことで"解決"するチーム/クラブではないという意識を持っていたということですが、では何で解決するかというと・・・「育てる」かな。うん。事情を知らない人は、えっと思うかも知れませんが。
別にフォーデン的な"下部組織"上がりの選手の話をしている訳ではなくて、移籍獲得選手全般の話です。
それなりのお金で、それぞれに既に実績のある、まあ"名前"的には詳しい人しか知らない比較的渋い名前が多いような気はしますがとにかくある程度完成された有力選手を獲っては来るんだけど、その"獲って来た/買って来た"選手の"力で"勝つというよりも、そうした"素材"を改めてペップのチームで「育てて」「伸ばして」勝つ、チームの問題を解決する、そういうチームだというのが僕のペップ・シティのイメージであり、自認であり実感です。"本物"の育成型クラブのファンからのふざけんなという抗議は甘んじて受け止めますが(笑)、少なくとも金満界メガクラブ界の中での比較で言えばそうです。地道だよねえウチという。J2ジェフ千葉を定点観測していた数年間の方が、よっぽど"金満"感は味わっていたわという。(とばっちり失礼(笑))
なぜそんなことになるのかと言えば、一つはよく言われるようにペップのチームに馴染み、ペップの基準をクリアするのはどんな有能な実績選手にも容易ではないということであり、また上の"魔改造"列伝にあるように、ペップ自身が"馴染む""クリアする"というようなただの減点法的なアプローチを選手にしないので、どうしても"買ったまま"使うという形になり難いというそういう事情。"ペップのチーム"における新たな自己実現が、改めて必要になる。
後は単純に少しケチ(笑)、特に左サイドバックとストライカーはメガクラブ基準じゃなくてもまじにいない時期が長かったという、そういう"事実"も。
勿論中にはそのまま"使った"、言うなれば"金で解決した"選手、ポジションも無くはないですけどね。
特に2年目の右ウォーカー左メンディのサイドバック一挙獲りは、2人の見るからに怪物的な能力(程なく片方いなくなっちゃいますが)のインパクトもあって、金か、金なのか?!とさすがに思いました。あとルベン・ディアスにはひたすら助けてもらっているので、あれはちょっと「ウチが育てた」とは言えません。エデルソンも元からああいう選手ではあるんでしょうが、いかにもチームスタイルと相思相愛なので、そこは野暮なことは言いっこ無しでお願いします。買ったんじゃない、愛したんだ。たまたま金銭も介在しただけなんだ。
という訳で、「育成型クラブ」ペップ・シティということで、今後はよろしくお願いします。
金満と呼ばないで。
真面目な話、ここ数年のヴェルディの"大卒選手"路線(ユース中心からの)の方が、うっかりするとアンチ育成型、丸投げ即戦力"買いあさり"補強に感じなくもないから恐ろしい。お金的には、冗談も休み休み言えという話でしょうが。要はペップ恐るべしということなんですけど。
以上です。
来季も鬼が出るか蛇が出るか。ペップ・シティと過ごす貴重な時間を、楽しませてもらいたいと思います。
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