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『ヒロイック・エイジ』 〜”ニュータイプ”側から見た世界(1)
2007年10月02日 (火) | 編集 |
ヒロイック・エイジ II ヒロイック・エイジ II
矢崎広、石川由依 他 (2007/08/08)
キングレコード

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まああくまで分かり易い一つの言い方・イメージで、別に『ヒロイック・エイジ』中で”ニュータイプ”という言葉が使われているわけではありませんが。>タイトル
勿論文中取り上げている『エヴァンゲリオン』でも。


”ニュータイプ”

言わずと知れたガンダム・シリーズ創始の、日本の商業アニメ近辺のある種の共通言語である”ニュータイプ”という「新人類」「超人類」概念が何を意味するのかをめぐっては、想像するだに途方に暮れるような議論が百出しているのだろうと思いますが。
言い出しっぺの富野氏によればさほど明確な定義はない、あるいは単なる”エスパー”の言い換え・ぼかし程度から出発したらしく、ガンダム・シリーズが次々作られる中で、言わば一つ一つ既成事実化していったという、そういう概念なのでしょう。

僕自身はガンダム・シリーズは1stからゼータ、ダブルゼータを経てV(ヴィクトリー)まで(あと映画)という、ライトなような標準よりちょいディープなような微妙なファンですが、その経験とむしろ引きの視点でパブリック・イメージ的に定義・・・・というより特徴を抽出するとこんな感じかと。
 1.コミュニケーション能力/感応力の拡張。準テレパシー的能力。
 2.機械を筆頭とする事物の本質の直接看取性。
 3.少年少女的感受性、価値観。理想主義傾向。

1番目と2番目は同じことのような気もしますが、まずはこんなところでいいんじャないかと思います。ともかくこんな把握を前提に。


ガンダムのアムロとエヴァンのシンジ

いやあ本当はエヴァンは触れたくないんだけど、「パブリック」イメージなんで外すわけにも。(笑)

言いたいのは2人とも部分的に大人を越えた能力や感応力で戦争・戦闘の主役を演じ、同時にいかにも思春期的な懊悩と自意識過剰と臆病で、視聴者をいらいらさせる存在(笑)だったということです。ここらへんは他の/以後の”ニュータイプ”的キャラにも共通のお約束ですね。
とある僕の大学時代の友人などは、「どんなに能力が高くてもあんなウジウジしてるのなら、ニュータイプなんて要らない!」と結構マジで憤然としていて笑わせられましたが。

結論的に言ってしまうと、彼らが「いらいら」キャラである理由の大きなものとして、”ニュータイプ””少年少女”を描くことを目的としつつ、描いてる側作ってる側は所詮”オールドタイプ”であり”大人”である、本当の意味で彼ら本位ではあり得ないということがあるのだと、これが僕の論の前提的中核です。
あれはあくまでオールドタイプが見たニュータイプ、大人が見た子供だということですね。

ここらへんについては『ガンダム』の場合、少年アムロを取り巻く大人や現実世界とその2つの対照が立体感を持って描かれていて、それ自体がこの作品の一つの売りになっています。そういう意味では確信犯というか、うまいこと昇華されているというか。
ただ2作目『Z(ゼータ)』で立派に”成長”して”大人”になった男らしいアムロを見て、ある種の感銘は受けましたし、何よりも視聴行為の快適さは大いに増しましたが(笑)、一方でなんか丸め込まれたような、「何?”ニュータイプ”は成長すると”オールドタイプ”になるの?」的な大人本位の視線の限界みたいなものも暗に感じなくはなかったです。繊細さを残すシャアは”出来そこない”だし、結局過渡的概念扱いかよと。理論的にはともかく人物像的には。

『エヴァン』のシンジらの場合は、僕自身は正直それほど熱を入れて見た方ではないのですが、ファンの反応・熱狂の性格を見ていても、よりディープにダイレクトに子供側思春期側ニュータイプ側(オタク側?)にコミットしようとしているのは確かでしょう。
ちょっと笑えるのは他ならぬガンダムの富野氏は(シンジのような)「あんな腺病質なキャラは嫌だ」と駄目出ししているらしいことで、言うほどアムロと違わねえだろうというのと(笑)、あくまで(健全な)大人社会の中の位置付けメインで描くという(富野)ガンダムの立場の確認が出来ます。

そういう意味では『エヴァン』はより”ニュータイプ”側に立って描いていると言えるのでしょうが、一方でそうして描かれたシンジたちの姿から受ける、色々あるでしょうが結局のところネガティヴで救いのない印象はいかんともし難く、真意は知りませんが現象としては贔屓の引き倒しみたいなところがあると思います。ニュータイプは要するにアレであるという。

(2)に続く。


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