2006年07月31日 (月) | 編集 |
についての最近の科学的研究。
この前のCBSドキュメントより。かなり面白かったのでまとめておきます。
・・・・と、その前にちょっと補助線を引いてみますと、こういう問題についての考え方としてはいくつか基本となる対立図式があって、代表的なものとしては
『先天的か後天的か』
『遺伝か環境か』
『生物・生理学的か心理学的か』
というもの。
これらは通常ほとんど同じ意味(前者どうし、後者どうしが対応)で通るわけですが、研究の精度が高まるにつれてあちこち境界が崩れて言葉のイメージが錯綜して行きます。そこらへんにも注意しながら以下を読んでみて下さい。
マイケル・ベイリー博士(ノースウェスタン大学、心理学)の研究
『性的嗜好(異性愛か同性愛か)は先天的』と主張。
研究1:異性愛か同性愛かに関わらず、男女の性的行動はあくまで男性的/女性的である。
具体的には例えば「パートナーを外見で選ぶ」「セックスを気軽に考える」という”男性的”な特徴(笑)は、ストレートでもゲイでも全く変わらないというようなこと。
ここからベイリーは、『同性愛者は異性愛者と全体的に違っているのではなく、パートナーの選択(性的嗜好)のみが違っている』という結論を引き出し、『脳の性に関する特定の部位のみが”異性化”しているのではないか』と推測します。
研究2:”ゲイ化”は本人がそれを意識しない子供の頃から既に起きている。
別にベイリーは「ビデオ撮影された仕草や話し方のみで一般被験者に対象がゲイかストレートかを当てさせる」という実験をやっているのですが(ちなみに結果はほとんどの人が百発百中に近かった)、恐らくはそれと同時に行なわれた研究。
成長して同性愛傾向の有無がはっきりしている対象者の子供時代のホームビデオを収集して、ほぼ例外なく発達の早期から既に(上記実験同様)素人がそれと分かる将来の性的嗜好の予見可能な行動をそれぞれの子供が見せていることを証明。
・・・・まあベイリーは心理学者なので、直接の原因の特定はしていません。力点としては例えば「強い母親と弱い父親が子供をゲイにする」的な、子育てや人生経験などのいわゆる”後天的”な原因を想定する立場への反論ですね。人はゲイになるのではなく、ゲイに生まれるのであると。
一卵性双生児でゲイとストレートが分かれるケースの研究
単純な「遺伝子原因説」への反証。
”先天的”(非後天的)ではあるが”遺伝的”ではない。
・・・・では”環境”なのか。イエス。
しかしそれは生まれる前、胎児期の子宮内の”環境”である。
”ゲイのラット”実験
・誕生時のホルモン分泌を操作することによって、ラットの性行動を変えられる。
・具体的にはテストステロン(いわゆる男性ホルモン)を増やすと、メスでも交尾時に必要な”ロルドーシス”という反射行動をとらなくなり、逆にテストステロンの分泌を抑えると、オスでも”ロルドーシス”反応を示すようになる。
・・・・ここで注意しなくてはならないのは、ラットの新生児はヒトの8ヶ月程度、つまりまだ子宮内にいる段階に相当するということです。少し回りくどいですが、だからこの実験はヒトの胎児についての実験/現象を想定しているわけです。
そこらへんはまだあやふやなわけですが、要は「性行動を決定しているのはホルモンである(遺伝子ではない)」「遺伝的に決定された性が(胎児期の)ホルモン異常によって干渉を受けることがある」という実験です。”生物・生理学的”ではあるが”遺伝的”ではない、というケース。
この前のCBSドキュメントより。かなり面白かったのでまとめておきます。
・・・・と、その前にちょっと補助線を引いてみますと、こういう問題についての考え方としてはいくつか基本となる対立図式があって、代表的なものとしては
『先天的か後天的か』
『遺伝か環境か』
『生物・生理学的か心理学的か』
というもの。
これらは通常ほとんど同じ意味(前者どうし、後者どうしが対応)で通るわけですが、研究の精度が高まるにつれてあちこち境界が崩れて言葉のイメージが錯綜して行きます。そこらへんにも注意しながら以下を読んでみて下さい。
マイケル・ベイリー博士(ノースウェスタン大学、心理学)の研究
『性的嗜好(異性愛か同性愛か)は先天的』と主張。
研究1:異性愛か同性愛かに関わらず、男女の性的行動はあくまで男性的/女性的である。
具体的には例えば「パートナーを外見で選ぶ」「セックスを気軽に考える」という”男性的”な特徴(笑)は、ストレートでもゲイでも全く変わらないというようなこと。
ここからベイリーは、『同性愛者は異性愛者と全体的に違っているのではなく、パートナーの選択(性的嗜好)のみが違っている』という結論を引き出し、『脳の性に関する特定の部位のみが”異性化”しているのではないか』と推測します。
研究2:”ゲイ化”は本人がそれを意識しない子供の頃から既に起きている。
別にベイリーは「ビデオ撮影された仕草や話し方のみで一般被験者に対象がゲイかストレートかを当てさせる」という実験をやっているのですが(ちなみに結果はほとんどの人が百発百中に近かった)、恐らくはそれと同時に行なわれた研究。
成長して同性愛傾向の有無がはっきりしている対象者の子供時代のホームビデオを収集して、ほぼ例外なく発達の早期から既に(上記実験同様)素人がそれと分かる将来の性的嗜好の予見可能な行動をそれぞれの子供が見せていることを証明。
・・・・まあベイリーは心理学者なので、直接の原因の特定はしていません。力点としては例えば「強い母親と弱い父親が子供をゲイにする」的な、子育てや人生経験などのいわゆる”後天的”な原因を想定する立場への反論ですね。人はゲイになるのではなく、ゲイに生まれるのであると。
一卵性双生児でゲイとストレートが分かれるケースの研究
単純な「遺伝子原因説」への反証。
”先天的”(非後天的)ではあるが”遺伝的”ではない。
・・・・では”環境”なのか。イエス。
しかしそれは生まれる前、胎児期の子宮内の”環境”である。
”ゲイのラット”実験
・誕生時のホルモン分泌を操作することによって、ラットの性行動を変えられる。
・具体的にはテストステロン(いわゆる男性ホルモン)を増やすと、メスでも交尾時に必要な”ロルドーシス”という反射行動をとらなくなり、逆にテストステロンの分泌を抑えると、オスでも”ロルドーシス”反応を示すようになる。
・・・・ここで注意しなくてはならないのは、ラットの新生児はヒトの8ヶ月程度、つまりまだ子宮内にいる段階に相当するということです。少し回りくどいですが、だからこの実験はヒトの胎児についての実験/現象を想定しているわけです。
そこらへんはまだあやふやなわけですが、要は「性行動を決定しているのはホルモンである(遺伝子ではない)」「遺伝的に決定された性が(胎児期の)ホルモン異常によって干渉を受けることがある」という実験です。”生物・生理学的”ではあるが”遺伝的”ではない、というケース。
おまけ
/「兄の数」によってゲイ確率が上がる理論
嘘みたいな統計的事実。
”上に兄が多ければ多いほどゲイになる確率が大きくなる”らしいです。
具体的には長男においては2%程度であるゲイ率(笑)が、次男、三男・・・・と下に行く(兄の数が増える)につれて、そのたびこどにおよそ3割増しになるのだとか。
ちなみにこれは右利きの子にのみ当てはまる現象で、左利きの場合は兄だろうが弟だろうが何番目だろうが変わらないそう。具体的には分かりませんが、何らか脳的な問題が関わっているようには見えますよね。これもまた同性愛が生物学的根拠を持つ(単に心理的・人生経験なものではない)という傍証の一つとして。
なお全くの仮説ですが、これについてはこんな説明をしている人もいます。
『”異性”である長男を母体の免疫システムが”異物”と認定して抗体を形成し、それが次男以降の男児に影響を与える』。うーむ、怖い話だ。(笑)
(結語)
という研究がありますよという話なので殊更僕のまとめというのはないのですが、ただ一つ。
一卵性双生児とラットのあたりでポイントとなったこととして、「胎児期の重要性」というのがあると思います。つまりひと昔前までは”人生”というのは誕生=出産を暗黙の起点として考えて、先天/後天、遺伝/環境というような区分けもそれに従って考え、同一視されていたわけですが、近年各方面の研究によりで胎児期(経験)の影響の根本的な重要性が認識されるようになって来た。
これにより、ライフサイクルとしてはむしろ受精(誕生)→胎児期→出産以降の3段階、遺伝/環境の区別で言えば受精卵(遺伝)→子宮内環境→子宮外環境の3区分くらいに考えるのが妥当と、そう言ってよくなって来たのではないかと思います。
そして同性愛の原因論もそれに従って組み直されつつあると、言ってみればそういうことでしょうね。
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