ヴェルディ、代表、グラドル、漫画、アニメ、等
オタクと評論家
2008年02月05日 (火) | 編集 |
オタク論三部作の第二部(の1)。オタクの定義or類縁概念との差別化。

前回は要するに『げんしけん』を見た/読んだ人向けでしたが、今回はもっと一般的な話。
とはいえ一般的な”定義”ではありません。俺はオタクじゃねえと主張するとしたら、こういう論法だ!(笑)的なもの。別に主張しなくてもいいんですけど。


”オタク”の類縁概念

”オタク”という語の起源とかは、どうせ諸説あるでしょうからこの際無視。あくまで現象的定義。
ちなみに僕が初めてこの言葉を聞いたのは、『三宅裕司のヤングパラダイス』というラジオ番組で、当時中学生だったでしょうか高校生だったでしょうか、その時の説明としてはコミケか何かでそういう趣味を持つ人たちが、互いを「おたく〜」とぼそぼそ呼び合う様子から来たというもの(笑)。以来特に検証しないまま、今日に至る。

僕はというと漫画は小学生の時はチャンピオンくらいは読んでましたがジャンプすら読まず、その後はそれ以来の連載の続いているもの(『ドカベン』とか)や、たまたま友達に紹介されて気に入ったもの(『リングにかけろ』とか)をポツポツ単行本で買うくらいの至ってライトな読者で、アニメはゴールデンタイムのものを普通に週3,4本見るという、まあこれもノーマルな子供。
ゲームは全く興味がなくて、学校帰りに友達が駄菓子屋(笑)でやっているのを横で見ているだけ。健康的だったなあ(笑)。・・・・だからつまり自分に関係のある話だとは、露ほども思わなかったわけですが。強いて言えば『ベルばら』とか『花の子ルンルン』とか、女の子ものへの相性が当時から良かったのは趣味と言えば趣味か。

で、ともかくそういう言葉が出て来る前からも、非実利的な分野対象に特に詳しい/嗜好を持つ人たちは当然いて、それに対する名称も色々あって、あんまり遡ってもあれですから現代に限定すれば、代表的にはやっぱり”マニア”ですかね。それに付随するものとして、”コレクター”
そして非実利的な対象ではあるけれど(あっても)、それに対する趣味の開陳を社会的経済的に行っている人たちを”評論家”と。”専門家”まで行ってしまうと広げ過ぎでしょうが、”オタク”が確立普及した後では(笑)、そうしたアプローチまでまとめて改めて、何やら揶揄的に見られる傾向が無きにしもあらず。ほとんど何かに詳しいということ自体が、恥ずかしいことであるかのように。

まあ何だかんだ、アプローチの対象の世評が印象を規定しているんでしょうけどね。


”オタク”の特徴

人相風体含めた「風俗」「文化」的なものについては第二部の2で扱うとして(あ〜あ)、ともかく従来的一般的好事家趣味人道楽者(笑)、なんでもいいですがそれらと”オタク”に何かはっきりした違いがあるかというと・・・・あるようなないような。要素としては特に目新しいものは無いんだと思います。
ただ何やら程度が一線を越えたような感覚を受ける、印象を外部や一般市民(笑)に与えて、それでそれまでになく画然とした概念形成が社会的になされたのかなという。(かったいなあ)

具体的には
(1)ディテールへの没入、業界内的情報をめぐる際限の無い饒舌
(2)コレクター性、周辺的生産物への偏愛
(3)非社会性、対象の価値の相対性の無視、距離感の喪失

といったことそれぞれの特徴について。

その内(2)については、僕は今まで折りに触れて、「自分にはコレクター志向が皆無だ」ということを言って来たと思います。(ログ等の保存は律儀ですが、これは一応別ですよね?(笑))
身近なところで言えば、例えば「サッカー・ファンが選手のサインを欲しがる」的な行動も、種類としては同じだと思います。
ぶっちゃけ僕にはこの心理もほとんど理解できません。僕が選手だったら困ったちゃんだったでしょうね(笑)。「サインが欲しい?なぜだ?俺は書道家でもないし文筆家ですらもない。なぜ俺の『字』なんかが欲しいんだ。30字以内で述べよ」とかファンを問い詰めて、泣かしたかも知れません。(笑)

・・・・なお「オタク」と「サポーター」、「アニヲタ」と「サカヲタ」(?)の関係については、第三部で詳しく書く予定です。

ちなみにこの(2)に由来するオタクの購買力・忠誠心については今日では広く知れ渡っていることで、その社会的プレゼンスを確固とした、ある意味重要なものであります。
とにかく少なくともこの1点について、僕はオタクと呼ばれることを断固拒否します(笑)。僕が興味があるのは純粋に使用価値のみ、それもオリジナルの最低限のものに限ります。


”オタク”と”評論家”の違い

あえて言えば自分を「評論家」だと規定することで、分かり易く差別化を図りたいように思うんですが。自慢に聞こえると困るんですけど。(笑)

・絶対化と相対化

上の(1)と(3)参照ですが、要するにオタクは中へ中へ入って行くわけです。包まれよう包まれようと(僕から見ると)。あたかも母胎回帰のように。”二人の為に世界はあるの”状態、でもあるかも知れません。
とにかく目の前にあるもの今関わっているものとその外との繋がりや一般的遠近感を拒否して、『絶対化』を目指す。それで幸せになろうとする。「普遍と個物」という伝統的な対比で言えば徹底的に個物の側、手の中の物一つ一つが、固有の絶対的意味を持つかのように思い込む/振る舞う。そういうモチベーションが根底にある。

それに対して僕ら(笑)評論家タイプは、基本的に相対化の道を歩む。比較し、歴史的に規定し、カテゴリー的に整理して、性格付ける。意味付ける。価値付ける。・・・・この最後の独自の価値化の段階では、または全プロセスにおける”独自のアプローチ”という点において、そうしたことを特にしない一般市民(笑)にとって似た者どうしというところは確かにあるわけですが。
ただ求められた時の説明の準備、またはその説明の目指す「普遍」度の高さという点では、やはりアプローチの違いの意味はある、影響して来るわけです。正直『アニメ夜話』のゲストとして出て来る”ガンヲタ”や”エヴァヲタ”などを見てると、ムズムズして来るというか殺してやりたくなることは、「評論家」としては無くは無いです。(笑)

お前ら自足し過ぎ。気持ち悪い。一緒にされたくない。贔屓の引き倒しだそれ。もっとビシッと言ってやってくれ岡田斗司夫。ちなみに『マンガ夜話』の方のいしかわじゅんなんかも、常に「距離感」が不明で気持ち悪いです。

・二次創作と評論

これは最近気が付いたことですが。この世には「二次創作」という独立した欲望があるらしいと。僕には無い。無いので気が付かなかったんですが。
「二次創作」というのはつまり、「同人誌」みたいなものですね、代表的には。ていうかまあ、同人の世界が確立拡大したからこそ、ここまで”社会内社会”としてのオタク・カルチャーのプレゼンスが重くなったんでしょうけど。限りなく自給自足出来てしまうのでね。”消費者”であることを越えて。

とにかくある”ブロ”の、”商業的な”生産物としての「作品」に触れてそれに感銘を受けた時に、そこからその世界のキャラクターや設定を使って/元に、二次的な創作を行おうというモチベーションが、必ずしも例外的なものではなくこの世にはあるわけです(ようです)。小説なり漫画なり、イラストなりなんなり。”フィギュア”とか”コスプレ”みたいなのはまた別かも知れませんが。
また一定の才能や手間と時間が必要なそれらまでは行かなくても、あたかもキャラクターを実在の人物として作品の文脈から飛び出させてああでもないこうでもないと真剣に妄想したり激論したり、そういう性向も基本的には同じタイプのものだと思います。
・・・・僕にとってこうしたものが違和感を覚えるものであるように、逆にそうしたことが好きな人にとってはそれらは自然なことで、特にあるタイプの傾向・行動であると自覚している様子は無いんですけどね。勿論邪魔する気も批判する気もありません。(笑)

ただ僕は違うわけですね。あくまで元の作品そのもの、それらの構造や意味や、要素の作品内的な意味の考察(つまりは”評論”)といったもののみが興味の対象というか、”自然な”行動というか。つまりはこの二つは独立した別の欲望だと思うわけですが。
勿論要素を作品の外に持ち出すことも別の文脈を持ち込むこともありますが、その場合はそうであることその目的・意味を明示して、決して地滑り的にやったりはしない。なぜなら作品は虚構であって実在はしていないので、元の”枠”を外したら壊れてしまうか別のものになってしまうから。その自覚が常に強くある。・・・・まあ、これも「相対化」や「距離感」の話ですね。


ちなみに結果として「作り手」に回るのは、圧倒的に『二次創作』派の方が確率が高いように見えます、当然予測が出来るように。上で僕が「気持ち悪い」と言っている(笑)”ガンヲタ”や”エヴァヲタ”や”いしかわじゅん”も、ジョブとしては創作者に当たる人たちなんですよねたいていは。言っていることだけ聞いてると、こんな理解力でよく物なんて作れるなあと不思議に思うんですけど、それは多分僕のそういう感じ方が間違っている。
これはまあ、「作家」と「評論家」あるいは「編集者」は、別の才能であるというよく知られたテーゼとも一致する話ですが。ただし本当の一流(の作家)は両方備えているとも思いますけど。

こんな感じで、評論家でありオタクではない身の証を立てつつ(笑)、次へ。

(補)評論と創作


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